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自動車メーカーが生き残っていくための戦略を考えてみよう

こんにちは。

本日は、「自動車メーカーが生き残っていくための戦略」についての投稿をしたいと思います。


1.本記事でのゴール

読者の方々が本記事を読み終えた時のゴール(状態)としては、下記となります。

・日本の自動車メーカーの現状や問題点を把握している状態
・今後、自動車メーカーが実践すべき戦略や施策を理解している状態

なので、そのことを念頭に置きながら、ご覧いただければと存じます。

本記事を読み終えた時のゴール(著者作成)

それでは、進めていきましょう。


2.トヨタの環境・社会貢献への取り組み

最近、次のようなニュースを見ました。

トヨタ自動車が、先進的な安全・運転支援技術、福祉車両、電気自動車(EV)等のゼロエミッション車や再生可能エネルギーの利用増加といったグリーンプロジェクトを推進するために社債を発行する準備をしている、というニュースです。

トヨタは21年から、SDGsの取り組みを加速させる戦略の一環として「ウーブン・プラネット債」と名付けた資金調達計画を発表し、当時として国内最大の1300億円のほか、ドル建てでも3000億円規模を発行したことで話題となりました。

今年も発行するとなると、2021年に初めて発行してから、3年連続での発行となります。

トヨタは、2020年1月にCES2020で「Woven City(ウーブン・シティ)」プロジェクト(トヨタグループが静岡県裾野市に自動運転やMaaS、ロボットなどのテクノロジー技術などを導入・検証できる実証都市を創造する計画)を発表しており、その推進に向けての資金調達という狙いもあります

「Woven City」プロジェクト

「トヨタが街作り」と言われても、ピンと来ない読者の方々もいらっしゃると思いますが、今、自動車メーカーで、一体、何が起きているのでしょうか?

そこで、本記事では、自動車メーカーが抱えている課題、および、その課題を解決するための戦略・施策について、話したいと思います。


3.自動車メーカーが抱える課題

現状、自動車業界にいる企業は、どのような課題を抱えているのでしょうか?

私は、次の4つが主な課題だと考えているので、順番に見ていきましょう。


(1) ガソリン自動車の終焉
1つ目は、ガソリン自動車の終焉が近づいていることです。

従来、自動車メーカーはガソリンを燃料とした自動車を開発・販売してきました。

しかし、ガソリン自動車は二酸化炭素(CO2)を多く排出するため、環境に与える影響が大きいことから、近年では、EVや水素自動車へのシフトしようとする動きが強まっています。

実際に、欧州、米国、中国、更には日本においても政府を中心として、将来的にガソリン自動車の販売を規制する流れになってきています。

世界各国の「脱ガソリン」の動き

なお、最新のニュースでは、EUでは、ガソリン自動車の販売を2035年以降に禁止する方針を転換し、「CO2と水素を合成して作る液体燃料(e-fuel)のみを使用する車両は販売できるようにする。」という条件付きで認めることを明らかにしました。

なので、EUは少しEVや水素自動車へ変更するペースが少し緩むかもしれませんが、一方で、EU以外の各国は、上記の表(世界各国の「脱ガソリン」の動き)で記載されたペースでガソリン自動車を廃止するというスタンスは変えていないので、グローバル全体でいうと、この流れは止められないでしょう。

また、富士経済の調査によると、ハイブリッド車(HV)・プラグインハイブリッド車(PHV)・EVの世界市場は、2035年に約8,000万台と、21年の8倍近く、かつ、ほとんどがEVになると予測されており、今後は、EVが自動車の主役になる可能性が極めて高いです。

EV、PHV、HVの世界市場(乗用車・新車販売台数)

そうしたトレンドの中、従来の自動車メーカーにとっては、「ガソリン自動車という販売からEVへの変更」という、大きな経営課題を抱えているのです。


(2) 従来の自動車部品サプライヤーへの影響
2つ目は、自動車部品サプライヤーへの影響についてです。

そもそも、自動車は、自動車メーカー単体で開発・生産できるわけではありません。

多くの自動車部品サプライヤーが供給する部品で構成されています。

次の図は、トヨタ自動車グループの下請け企業の数を表したものですが、1次下請け、2次下請けを合わせて、なんと4万1,427社もいます。

これはトヨタ自動車グループだけの数なので、他の自動車グループも合わせると、非常に多くのサプライヤーが自動車メーカーとビジネスをしているのです。

トヨタ自動車グループの下請企業の数

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