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自律に向かう指導支援であるために

自律に向かう指導

1 信頼関係の構築
 予測不可能な世界はもちろん、毎年新しい環境、新しい仲間、新しい組織の中で、少しずつ、子どもたちも私たち支援者も関係性や場の状況が見えてくることがあると思います。

 では、そもそもなぜ子どもたちと信頼関係を築くことが重要なのでしょうか。

 信頼関係を築くことは、子どもたちに「言うことを聞かせるため」や「コントロールするため」ではありません。

 子どもたちにどのような願いを込めて日々の関わりを大切にされているのでしょうか。

 支援は子どもの願い、保護者の願い、支援者の願い、それこそ「みんなの願い」が出発点です。信頼関係を築く意図や本質が曖昧になってしまうと、表面的な関わりや言動に左右されてしまう危険性があります。

 どのようなゴール(目標)を見据えて、現在(いま)の支援があるのか、または土台である信頼関係が必要なのか、常に自分自身に問い続けることが重要だと思います。

2 自律に向かうために
 支援者と子どもの信頼関係は「正面」または「横並び」のつながりだと思います。正面から心を向け合うこともあれば、正面からは向き合えないけど横に一緒に並んで同じ方向を見ようとすることもあるでしょう。

 このように支援者と子どもとの関係が築けてくると、子どもたち同士の横のつながりも見えてきます。正面または横並びのつながりから縦と横のつながりを意識することで立体的な関係が築けます。

 豊かな「集団」とはきっとほっこりと温かい立体的なつながりの中にあるのでしょう。


 しかし、学校や施設、放課後などの居場所には「集団」で生活する空間には「きまりごと」が存在します。社会のルールとも言えます。もちろんそこには自分と自分以外の人たちが存在するからです。

3 「頑張ればできること」と「頑張ってもできないこと」
 支援の中で一概に集団のルールやきまりごとだけを個人個人に押し付けても難しいことがあります。

 まずは、「がんばればできること」と「がんばってもできないこと」を切り分けて考えることが大切だと言われています。それぞれの子どもたちにはできることとできないことがあります。

 それは、その子どもの力不足とかではありません。障害や発達の特性上、困難さが倍増していることもあれば、環境が「できなさ」を複雑化させていることもあるでしょう。

 そういった背景要因を解きほぐしながら「自律した力」を目指していくことが重要です。「がんばってもできないこと」を何度も注意されても私たちだっていい気分はしません。

 何ができるのか、何をしなければならないのか、支援者が本人と共に一緒に考えていくことが重要だと思います。

4 支援者の視点と子どもたちの視点
 支援の視点はどうしても大人側(支援者)からになりがちです。子どもたちからすると、子どもたちの言い分もあります。「私たち抜きに私たちのことを決めるな」と子どもたちは思っているかもしれません。

 子どもたちは「大人の前の未熟な存在」ではなく、これからの社会を担う「次の世代の大人」であるということです。


 子どもたちは「プロの子どもたち」です。子ども側からの視点で考えれば、自律に向かうべく、一人一人が今この瞬間を精一杯に生きています。

 信頼関係を築けるかどうかということは、そういった子どもたちの自律心を尊重し、支援者も「プロ」として子どもたちと対等に関わろうとする姿勢が重要なのだといえるでしょう。


【参考文献等】
・白松賢『学級経営の教科書』(東洋館出版社)

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