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【クソ客妖怪図鑑001】愛人パイプカット

前回の記事までは、私がキャバクラに入店を決める流れをざっくりご紹介いたしました。その後無事にキャバクラ嬢として、店長a.k.a.闇営業プーさんの期待を上回る売り上げを伸ばしていくのです。
売り上げを伸ばすためにはお客様の存在は欠かせません。しかし働いていると、やはりどうしても「クソ客」と呼ばれる不思議な妖怪たちと対峙することになるのが嬢の宿命というもの。私はそういう妖怪たちの接客をするたびに、自分の勤務メモにそいつらの生態系を詳細に記していました。せっかく記録もとったことだし、今回からは番外編として、私がキャバクラで出会ったクソ客妖怪たちの生態記録を図鑑風にまとめていこうと思います!

クソ客妖怪 No.001『愛人パイプカット』
分類:ハゲ散らかし長者
タイプ:粘着
特性:常に愛人を5万円で探している・パイプカット手術済

私がこの妖怪に出会ったのは入店して間もない頃。店のシステムもよく分かっていない状態なのに、店長から指名が入ったことを伝えられます。何で話した事ない人から指名が入るんだろう、と不思議には思っていたのですが、店長に言われるがままに席に向かいました。その際に店長が、「あのお客さん、指名されてからしばらくは続くから。」と意味深なこと呟いていました。今になってようやく意味がわかりました。そう、なぜならそいつはキャバクラに一発5万円で契約できる(ヤれる)愛人を探し求めている妖怪だったのです。

この妖怪の手口はまず、入店したてのキャバ嬢を指名します。そこでとにかく、自分の経済力と学歴を自慢し尽くします。他の客がいかに野蛮かという事を、新米キャバ嬢に植え付けさせるんですね。また、この妖怪の最も大きな特徴は、自分がパイプカットをしている事をやたらと強調する点です。非常に気味が悪いですが、このパイプカットは後の伏線となっていきます。
*パイプカット:精子の通り道である精管を切断する男性側が受ける避妊手術のこと

私はこいつと初めて話し時、なんてプライドが高いやつなんだと驚きましたが、実は東京藝○大学の関係者らしく、芸術畑出身の私としては意外にも扱いやすい存在でした。なので、この妖怪が次の同伴に誘ってきた時も断りませんでした。しかし妖怪の手口のミソは、この初指名後の同伴にあったんですね。

初同伴の日の食事後、妖怪は白い封筒を私に渡しました。その封筒の中には諭吉が2人。突然の現ナマに驚くのも束の間、妖怪は私に「一回会うごとに5万円で愛人契約してくれないか?」と話を持ちかけてきました。「あぁ、あのパイプカットの話はここに繋がるのか。もし契約したら避妊なしで強引に行くんだろうな。」と妙に納得をしてしまったのですが、その日は適当に流したので何事もありませんでした。

その後、妖怪から何度も何度も連絡があったのですが、あまりに面倒くさいので無視してほったらかしにしていました。妖怪も諦めたのか、違うキャバ嬢の子を指名しはじめた…と思っていた約1ヶ月後、こんなLINEが突然届いたのです。(マーカー部分は店名なので伏せます)

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誰やねん。笑
「店の客は皆んなあなたの体狙い」って、この妖怪以上にそんなモンスターは珍しいのですが。何様のつもりでこんな事を言っているのか。お前とのセッ○ス以上に嫌なことなんて無いわ。本当に奇妙な思考を持つ珍獣です。

こういうプライドの高い妖怪にもしあなたが出会ってしまった場合の対処法の一つを挙げておきましょう。他人を見下す妖怪は、実は他人からどう見られているかという点に非常に敏感です。なので、
①他の店の客はお前のように愛人を探すみみっちいことはしない
②お金持ちのくせに愛人の価格設定が貧乏くさい
という事を重点的にお伝えしました。(以下スクショは私の返信の一部)

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その後、この『愛人パイプカット』は無事に私の元を離れ、別の店でまた愛人を探す悲しい旅に出かけていきました。風の噂では「貧乏くさい」と言われた事を気にしてか、初同伴の白い封筒の中身が諭吉3人になったそうです。


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