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【医療広告ガイドライン】若返り小顔整形1年分(100万円分)プレゼント……!?

キラ子ですよ。
さあ、みんな大好き医療広告ガイドラインのお時間がやってまいりました。今日はどんな素敵な医療広告を紹介することになるのでしょうか〜。

最初に医療広告ガイドラインに言及してから、もはや400年も経ってしまいました(誇大表現)。あれからコロナがあったり、なんやかんやあって、医療広告ガイドラインに抵触する医療広告は……
減ってねえええええ! むしろ増えたあああ! 私の世間様への影響力、スクナビコナー。やはりXに課金して青バッジをゲットし、毎日6時に定型文に則ったキラキラ自意識高情弱煽り作文を画像にして投稿しそれに返信してくれる「キラ子さん、その通りですね!」という薄っぺらな挨拶に対して「ありがとうございます○○さん。今日も一日中頑張りましょうね」という名前だけ変えたコピペ返信をひたすら打ち返し続けして万単位のフォロワーをゲットした暁には、これまでの生き様とX運用に関する思考法を2,000字くらいで綴って2,980円の有料記事にして売るしかないのでしょうか。そんなの無理っす〜!

最初に医療広告ガイドラインの記事をあげたときから申し上げておりますが、今のキラ子、どの医療機関とも「患者としてかかる」以外の関係はありません。もう俺を縛る鎖はないのだ、ガッハッハ

今年の医療広告ガイドラインに関する動き

どれだけ減ってないかというとですね。
Instagramに飛び交うキラキラ整形パーソンによる治療体験談with優待明記したクリニックへの誘導、実際に治療を行ったドクターによる限定解除を伴わない症例写真の掲載、お友達を紹介してくれたら費用20%オフキャンペーンなど、もはや無法地帯です。SNSなら許されると思っているのでしょうか。許されないよ?
通報しても対応は遅々として進まず、これまでガイドラインを受けて行政が行なった処分は……ゼロ!! そこになければないのです。

この、何をやらせても後手後手の厚労省にキレたのは消費者庁でした。お前が打たずに誰が打つ!とばかりにステマでGoogle口コミをコントロールしようとしたクリニックを処分、公表。 国が認めたステマ第一号事例として、医療機関がその名を刻んだのでした。わぁ恥ずかしい。
何度も繰り返しますが「ステマ(ステルスマーケティング)」、過去にそうではないかと言われ仕事を干されたペニオク宣伝芸能人や、頼まれていないと言いながら効果の微妙な血液クレンジングなる医療行為について46記事も綴ったのちにその疑惑を指摘されて記事を消し去り知らんぷりを決め込むブロガーもいますが、これらも実は確たる証拠がなく消費者庁も動いていないのです。ピッチャーの投球中に指笛が鳴り、それがキャッチャーの出したサインから読み取られた球種を知らせる合図かどうかなんて、指笛を鳴らした者とそれを聞いて球種を判断した者の双方が認めない限り、わからないのと一緒です。(余計わからない例え)
それが今回はドンズバリッと動かぬ証拠が揃い、ステマ認定されてしまったという悲しい事件でした。おそらく処分された医療関係者は「なんでうちだけ」と思ったことでしょう。ならば問おう、なんでバレたと思う? やり過ぎたんだなぁ。

ちなみに厚労省は最近医療広告ガイドラインだけでなく、爆発的に増えた美容医療クリニックによるトラブルが頻発する美容医療そのものについて「美容医療の適切な実施に関する検討会」も始めました。毎回多くの業界関係者が集められ、言いたいことを言いたいけど、面子を鑑みて……という、全ての歯間にさっき食べたスルメの破片が挟まってるが如きゴニョゴニョとしたやりとりが毎回YouTubeライブで楽しめます。一見この検討会は医療広告ガイドラインとは関係なさそうに見えますが、医療広告ガイドラインに出てくるのはほぼ、医療広告を見たユーザーと美容医療を行う医療関係者の間に起こりがちなトラブルを防ぐための決まり事です。ガイドラインでふわっとさせて来たところも、この検討会により問題が鮮明になればぬるっと変更される可能性があるんで、私も見られる限りはチェックしています。だが今の所は全ての歯間にさっき食べたサラダチキンの繊維が(略

「1年/100万円分の○○プレゼント」に便乗した「若返り小顔整形100万円分プレゼント企画」を告知するプリズムビューティクリニック・はたやま先生

さてここからが本題ですよ。

消えた時用
消えた時用

さて、どうしたものか……。
告知から一週間経ってもあんまりバズってないんですよね。大して応募も来ていないので、放っておいてもいいかなあと思いつつも、たまには医療広告ガイドライン脳の体操のために、検証してみようかと思います! 皆さんはこの投稿のどこが医療広告ガイドラインに抵触していると思いますか?

……

あーもうほとんどアウトっすね。誰も止めるやついなかったんかーいってくらいアウト。SNS担当は先生ご自身なのか他のスタッフなのか外部に委託してるのか知りませんが、今すぐ担当おろせ。1イニングでなんぼ失点するつもりなんだ。チェンジだ!!(鬼の形相)こんなやつをSNS担当に置いちゃダメだ。医療広告ガイドラインを知らないままSNS運用をやるのはあまりにも愚かです。もし医療広告ガイドラインを知った上でやってるなら……やっぱり外せ!! そいつは確信犯(誤用)だーッ!

では、何がダメなのか見ていきましょう。

まず「若返り」です。当たり前なことを言うよ? 人間は「若返りません」。無理です。若返りの方法が確立したらその研究者はノーベル賞どころの騒ぎじゃありません。今の所、誰もなしえていない技術です。つまり、医学上ありえない記載なので、これは虚偽広告となります。いきなりでかいな。

https://www.mhlw.go.jp/content/001153604.pdf

これは道路交通法だと酒気帯び運転、つまり免取レベルの違反ですね!
※医療広告ガイドライン、そのスジでは道交法に例えられやすいです。アウトはアウトでも、アウトには種類があんねん。→警視庁サイト

いやしかし、なんでこれ使っちゃったかな……? これも知らずにSNSやってるのかなり開業医として無知というかわかっててやってるなら尚更邪悪としか言いようがないんだけど……だって虚偽よ? 誇大とはわけが違うよ?

【いらん注釈】荒木飛呂彦先生は老けないと言われていますが、老いてから若返ったわけではありません。ずっと見た目があのままなだけなので、荒木飛呂彦先生をもってして「若返っている」というご指摘に対しては厳しい態度で臨みます。返ってねえんだよ、ずっと若いんだよ!

続いては「プレゼント」ですね。
こちらは費用が無料になるという「品位を損なう表現」で患者を誘引している、ととられたらアウトです。その前のアウトが大きすぎてこれが小さく見えてくるのバグだな。道交法だと速度超過で-3点くらい? これはどこのクリニックもようやっとる。いや、ようやられたら困るんだけど本当に。

続いて治療の内容ですが……実にざっくりしています。

・顔の脂肪吸引/脂肪除去
・小顔リフトアップ/輪郭形成

https://x.com/dr_hatayama/status/1857333897023070506?s=46&t=UgF8C-GOcKDJEAic6aHIBw

で、料金表を見たらなかなかにカオスなのです。脂肪吸引も脂肪除去もいっぱい種類があるー! これは人によって適応が違うから仕方がないと言えます。言えますが、だからこそこんなザクっとした表記でトータル100万円分です!というのはなんだかなぁと思うわけです。
まあ自由診療ですからね? 細かく費用を算出していい感じに100万円になるようにもっていくんでしょうけども。あとこれの何が1年分なのか、根拠がわかりません。
医療広告ガイドラインによると、治療にかかる費用について具体的に明記しなければなりません。たとえば1回の治療費が5万円※ただし6回以上の契約が必要、という場合は5万円/回を大きく打ち出してはいけないのです。1回の治療だけで5万円と思う人がいるからです。

あとこれは大事なのに明記されてないから思わず突っ込んでしまうんだけども、この100万円には麻酔などの費用は含まれているんでしょうか?
吸引だの注入だのには、まず、麻酔が必要となるはずです。そして料金表によるとカニューレ(脂肪吸引するための器具)や針まで、細かく料金が設定されています。これらの費用も込み込みで100万円のうちに入っているのかどうかが、とても曖昧です。治療後のケアとしてもなんらかの処方も必要かと思いますが、そのあたりの記載もなし。触れていないところを見ると、もしかしたら、そこは実費がかかるような気がしています。かからないのであればきちんとそれらも100万円の中に含まれますと書いた方が患者様には安心ですね! ねえねえ、そこんとこどーなの? (これ見て慌てて注意事項増えたらちょっと面白いなと思っています)

そんなこんなで……100万円分、もしかしたらこれは「誇大広告」にあたるんじゃないかなぁと思うんですよね。あと「1年分」も。まさか1年効果が継続するなんて言ってるんじゃあ……無いですよね!? それ言ったらもう確実に、ちょおまっ……待っ……かゆ、うま……

皆さんどう思われますか?

内容が短いので、こんなところだと思います。短いのにいきなり運転免許なら取消しレベルのアウトがあってビビった。ちなみにプリズムビューティークリニックのホームページもあっちこっちでゴリゴリに医療広告ガイドラインに抵触している表現が見受けられたので(症例写真に載ってる費用が○○○〜○○○円、と薄らぼんやりしてるのはよくないです。そのモニターがはらった実費の表記が必要なはずです)これ作ったやつは処した方がいいと思う。
まあ知らずにやってるんでしょうけど、今時の制作者、医療広告やるならガイドラインは知っといて損はないですからね。
もし、もしもですがはたやま先生がマジのガチの素で医療広告ガイドラインを一切存じ上げないまま開業され現在に至り、厚労省に見つかりサイト改善のお手紙が届いた場合は、制作者の責が多くなる可能性がございますので……今時医療広告ガイドラインも知らずに自由診療のクリニックを開業するの、それはそれでスゴイと思うんだけども……開業手伝ったコンサルの面ァ、見てみたいですね……どこの素人だ……?

というわけで今回のSNSキャンペーンは、医療広告ガイドラインにもはや喧嘩を売ってるどころじゃねえ、とんでもない広告でした。

医療広告ガイドライン的にそんなにアウトだったら何がいけないのか?

って言われそうなので先回りしてお答えしますと、医療広告ガイドラインは自由診療を扱う医療関係者ならば知っていて当たり前の法律です。今時、知らんかったでは済まされないくらいの時間も経っていますし、医療関係者が見るサイトでも何度も取り上げられている話題ですし、実際抵触しているサイトにはクリニック宛にお手紙による指導が届きます。
そして、そんな大事な法律を無視するクリニックは、他の法律やルールさえも守っているかどうか怪しくなってくるからです。一般企業においても労基法を守らないブラック企業が、他にもちょいちょいやらかしているのと同じです。
もっというと、自分の姿をよりよくしたいと考える患者に対し、適切な治療が本当に適切な器具を適切に運用して行われているかどうかからも、疑ってかからなければなりません。
「みんながやっているから自分だっていいだろう」という甘い考えは、捨てて欲しいのです。
今、美容医療の検討会でトラブルを起こすクリニックがどれだけ悪し様に言われているか。詐欺やペテンの類、とまで言われているんですよ。議事録を見ていただきたい。そのくらい、偉い人が顔真っ赤にして怒っています。
このまま皆さんが足並み揃えてやらかしまくった結果、今後も美容クリニックを適正に運用していくために、様々な制限が発生していく可能性だってあるのです。美容医療で得た利益に対して、ものすごい税金をかけようと言い出す未来もあるかもしれません。
そうなってからピーギャー言われても困るんですよね。今の自由を守りたいなら今の法律を守るところからやってください。本当に。

ここからは完全なる余談「本当に脂肪吸引と小顔、リフトアップで若く見えるようになるの?」

キラ子さん、こんなんありますよ!と教えられて最初に投稿を見た時に思ったのはこれです。ちなみにプリズムビューティークリニックによると、小顔とは脂肪注入を指すらしいです。脂肪を吸引したり注入したり大変だな!? いや、わかるよ。理屈は。

人間の顔というのは、歳をとると弛んできます。空気が抜けてちょっとシワシワになってきた風船のようなものですね。でも人間なので、抜けているのは空気ではなく主に水分です。そのシワシワに対して、空気や水を入れ直すことはできません。だから薬剤や脂肪を入れたり、糸状のものを皮膚の下に入れて引き上げ、顔面をピンっとさせるわけです。そうすればシワはなくなります。理屈としては。
が、このリフトアップというのがまたなかなか……な治療でして、こちらのクリニック様ではショッピングリフトというお手軽タイプを推奨しているようです。詳しくは調べていただくとして、まあ理屈はわかるけどさ……という感じ。若く見えるかどうかはともかく顔のバランス、印象は変わりそうです。(やったことないのに大量の美容医療ページを作ってきたため詳しいキラ子)

もっというと、これ、ここまでは無料でオプションでこれつけるともっと若く見えます!って追加費用払わせるんじゃないかなって……思ったりなんかして……ほらキラ子、想像力が豊かだからさ……ヘヘッ。それ自体はよくあるアレ……だからね?

こんな浮かれたキャンペーンではなく、美容医療のSNSは何を発信すべきなのか

本当に、なんでこんなことしちゃったの?と不思議な気持ちは尽きないんですけども、この日本国民の多くがSNSに流れてくる情報に振り回される現代において、医療機関のSNSが何を発信すべきなのかは今後においても重要な課題になってくるかと思います。こんな浮かれたキャンペーンではなくて、もうちょっと関係者は普通と思ってるけど一般患者の皆様は知らないような情報を発信する方がいいと思うんですよね。美容整形の基礎知識みたいな。カウンセリングで全然話聞かない人がダウンタイムにやらかしてトラブルになってSNSで告発みたいな地獄を少しでも減らす努力を行わんとする美容医療の関係者はいないんですかね? 絶対需要ありますぞ? 海外での整形のリスクとか、国内であっても合併症を起こした時は健康保険が効かないとかそういう話、若い人はあんまり知らないんです。
いないならキラ子、やっちゃうけどいい?

脂肪吸引のまちがったイメージ
脂肪吸引の真実

こういうのをね! やってる先生はなかなかいないんですよ。ゼロではないけども。

見た目から3歳引いた年齢をいえバトルでなお勝利

流行りに乗ってみたかっただけという先生のお気持ちはよくわかりますよ、私も。毎日ガムテープの絵をかいてるとやっぱりネタがなくて困りますから、その時々の流行りのミームに乗っかったりしますもん。
しかし、美容医療はネットミームに乗っかるほどおちゃらけたものであってはいけないのです。医療には人の人生がかかっているんです。美容ならもちろんのこと。
今回のキャンペーンに応募している人たちはノリは軽いですけれど、皆さん何かしら自分の容姿について思うところがあって、でもお金もなくてできないなぁと悩んでいるかわいらしい女性ばかりです。ゴリゴリに夜職やP活に励みそのマネーで再び整形にチャレンジするような手練れの整形垢はほとんどいらっしゃらないんです。もちろん整形垢の連中なら騙してもいいかっていうとそんなわけはないんだけども、このキャンペーンに当選して初めて美容整形を受ける、という方に当たりますように。そしてそんな人が幸せになれるような治療を、どうかよろしくお願いいたします。

各位
不足があったら教えてください