子供は知っていた

仕事で嫌なことがあった。
保育園に子供を迎えに行きながらも、子供を抱っこしながらも、ママチャリに乗りながらも、ずっと気分は晴れなかった。

自転車の後ろで、普段はうるさく歌ってくれる子供が、今日は一言も発しない。
私の気持ちを察しているのかな、なかなか利口な子だなと思った。

家につき、自転車のサドルから降り、子供の顔をふと見たら、あまりにも小さく、かわいらしく、ぽつんと黙っていたので、申し訳ないやらかわいいやらで熱いものがこみ上げてきた。
目に涙が溢れた。

子供に嘘はつけない。
「お母さん、嫌なことがあって元気出せなくてごめんね。」
と子供の目を見て白状した。

すると子供が一言

「お母さん、もう仕事行かないのよ。」

と返した。

子供はいつから知っていたのだろう。いつから暗い顔は仕事のせいだと知っていたのだろう。

そしてシンプルな答えをくれた。
仕事に行かなければいいと。
そうだね。暗い顔するくらいなら、早めにそうすることにします。

いつかあなたが暗い顔をしなければいけない日々を過ごす時、そっと見守り続けたい。
涙が溢れてしまった時は、シンプルな言葉で軽くしてやりたい。

今日もありがとう。

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