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美瑛でカフェやってそうだな

自分ではない誰かのふとした言葉に、かなりツボをくすぐられることがある。
自分では絶対にしないようなものごとの切り取り方、思い浮かばないような表現の仕方が新鮮で、面白い。
「その表現、好きだな〜!」と思わず唸ってしまうような言葉が誰かの口からこぼれでると、運良くそのタイミングに居合わせて見つけられたことが嬉しい。
同時に、そのセンスが少し羨ましくて、妬ましい。

なにか面白いこと、深堀りしたら面白いことになりそうな話題に対して、「香ばしい」という言葉を使う友達がいた。
にんまりと顔が緩ませ(にこにこ、でなく、にんまりが適切)、冗談じゃなく目をキラッキラさせながら、「おぉ〜、これは香ばしいねぇ!」と嬉しそうに語る。
絶妙な言葉のチョイスに感動する。
それ以来、その子と一緒にいるときは一緒になって香ばしい香ばしいと笑い、その子がいない場所でも香ばしい香ばしいとひとりで笑った。
完全に、「香ばしい」はよく使う言葉の引き出しにインストールされている。

そんなふうに、このnoteのタイトル「美瑛でカフェやってそうだな」も、人から贈られ、そして気に入って多用させてもらっている言葉である。

大学3年生の夏、学校祭で焼きおにぎりの露店をだした。
店番のシフトに当たり、エプロンと三角巾をきっちりつけてもくもくと鉄板でおにぎりの面倒をみていたら、シフトに当たっていなかった先輩が様子を見にきて、私をひと目見て開口一番、「お前、なんか美瑛でパンとか焼いてカフェやってそうな格好だな!」だった。

その日はたまたま生成りのブラウスにギンガムチェックのロングスカートを着ていた。
言われてみれば、#ていねいな暮らし みたいな格好ではあったかもしれない。
カフェやってそう、は確かにわかる。
でも"美瑛"って具体的な地名が出てきたところが、妙にリアルで面白い。

いかにもなおしゃれ感のあるところじゃなくて、絶妙に郊外で土臭さもきちんと残っているような、あえての美瑛チョイスがミソ。
なので「美瑛でカフェやってそう」も有り難く普段遣いの言葉の引き出しに収納し、ちょくちょく使わせてもらっている。
適切な使用タイミングは、嫌なことやちょっと切羽詰まって大変な、つまり「何もかも忘れて今すぐハワイに飛んでウクレレ弾きたいわ」みたいな現実逃避をしたい時。
そんな時にすかさず「もうはやく美瑛でカフェやりたいわ」と呟くのが正しい使い方である。
※余談ですが、そのカフェでは私が毎朝パンを焼き、モーニングでは飲み物をコーヒーから味噌汁に変更することができます。

「香ばしい」と笑う友達も、「美瑛でカフェ」の例えをくれた先輩も、自分がなんの気もなしに発した言葉がここまで重宝され、擦り切れる勢いで使用されているとは思ってもいないだろうな。
いつか会えたら「実はアナタのアレ、ずっと使ってますよ」と伝えてお礼を言いたいです。

ちなみに、先月はかなりバタバタでキャパオーバーだったので、わたしはずっと美瑛のカフェのランチメニューについて考えてました。

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