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夜にしがみついて、朝で溶かしてライナーノーツ

アルバムのライナーノーツ、書いたことないけど、書いてみたいと衝動に等しい、意欲が湧き上がってきたので、慌ててnoteに登録し、スマホでぽちぽち打ち始めた。

さて、クリープハイプと私の人生が交わり重なったのは、いつだったか。学生時代にバイトをしていたときに有線から流れてきた、高音ボイスにハマり、バイト終わりに自転車を飛ばし、レンタルCD店に行き借りたことから始まった。毎日仕事がうまくいかず日々消えたいと思っていたとき、どれほどこのバンドの音楽に支えられていたか。社会人になり、初めてライブに行ったとき、4人が生で音を鳴らす姿に生きていてよかったと感じた。そして今、社会人8年目が終わろうとし、20代も終わり30代として過ごし数年、、、生活も変わり世の中も変わり。ただ変わらないのはそこにクリープハイプの音楽があること。

前置きが長くなってしまった。さて、このアルバム。夜にしがみついて、朝で溶かして。アルバムのタイトルがさすが。クリープハイプらしいタイトル。どこが?と言われたら困る、もはや概念。夜と朝の狭間の深夜3時が歌詞に出てくることもあり、勝手ながらクリープハイプだなとなる。深夜1時でもなく、早朝5時でもなく、深夜3時。白でも黒でもない時間。朝で溶かすっていいよなあ。

料理 
"そばにいてくれたら それで腹が膨れる
 眠くなって すぐに横になった"

"なぜか腹が減る こんなに悲しいのに
二人の味付け 涙はしょっぱい"

一緒にご飯を作ったり、誰かのためにご飯を作ったり、一緒に食べたり、誰かを待ちながら先に食べたり。料理ってことばから、家庭を感じるのは、生まれたときからずっと生活の中に切り離せない行為だからなのだろうか。テンポが早いのに、じっくりコトコト問い詰めるところがゆっくりで、体感時間の表現に脱帽である。

ポリコ
言った言葉は消せない。SNSが当たり前になった今、液晶画面を押す位置、押す回数で文字ができあがり全世界に発信される。☓で消せる。でも消せない。正しく見える活字たち。どこまでが正しいのか、どれも正しくないのか。ぽり子は今日もこすってんだろな。


二人の間
二人が話してる。楽しそうに。ちょうどいい空気。居心地いいんだろうな。黙っていても安心できる関係。そのままで、このままでいたい。コロナにより、今はライブに行っても声は出せない。だけど、クリープハイプと我々の間にはもう"あとうんの隙間にあるちょうど良いうまい空気"ができていて流れてる。来年から始まるツアーに胸が高鳴る。

四季
季節が巡り1年が終わる、それを繰り返し、日々を積み重ねて31年。
"何かに許されたり 何かを許したりして
そうやって見つけてきた正解"
四季がデジタル配信された4/2。職場が変わり新年度が始まり、不安にまみれていた時期。通勤時、運転していたときにここの歌詞に涙が出た。そうだった今まで何かに許されたり許したりしてそうやってやってきたんだった。理不尽なことに苦しめられ、生きてることをやめたくなった日があった。でも生きててよかったなって思えた。人生に行き止まりを感じたら、いや感じてなくても、何気ない日々に必要なのはクリープハイプの音楽なんだよな。日々の情景が思い浮かぶ歌詞にまた寄り添われてるんだよなあ。

愛す 
ブスと言われたら、悲しいけど、こんなにも想われてみたいもんだな。bus stopって標示みて、もう、ブスに、いや愛すにしか見えん。通過したかと思えば終わっちゃうんだよな。好きすぎて素直に言葉が出てこなくて、うまく伝えられず。好きだったのにあ。いまさらなんだよなあ。


しょうもな 
まさに、クリープハイプの文才尾崎さんの言葉使い、選び方がふんだんに使われている。これがこうここにかかってるとわかった途端、いつも尾崎さんの頭の中を見てみたい。と思う。
"言葉に追いつかれないスピードで"
言語化することに苦手さを感じる私にとって言葉は、ゆっくり出てくるものだと思ってる。何かを感じ、言葉にする前に、えーと、あのって言っちゃうのあれも音なんだな。しょうもない音だけど、今からてめーにあんたに伝えたいことがあるんだ。の意思表示だな。この歌詞の子の思いが届きますように。

一生に一度愛してるよ
このアルバムの中でいちばん好き。クリープハイプと出会った頃を思い出すと同時に今に繋がってる。わたしにとってみれば、クリープハイプは片思い相手みたいなもん。知らなかったところが知れると、こんな一面もあるの!!とうれしくなる。変わっていく姿も変わらない姿も全部が愛おしい。恋人だと自分から名乗るのはおこがましいが、いつも、ちゃんと奥まで刺してくれる4人の音楽を死ぬまで一生愛していくよ。


ニガツノナミダ
CMで流れる30秒のあとに、
"やりました よくできました"
もうね、計算高いなあって。曲調が変わるとこからがいいんだよな。
"「しばられるな」に しばられてる"
自由にしていいよ、なんでもいいよ。には、たいてい、見えない"しばり"があるんだよな。何が食べたい?って聞いたらなんでもー。って言われて言ったらさ、あー、、、って。だったら最初から自分で決めやってなるあれ、なんなんですかね。あ、脱線。


ナイトオンザプラネット
"夜にしがみついて、朝で溶かして"
仕事柄夜ふかしができないのだけど、連休に好きな人と飲んだとき、ずっと夜でいてほしいと思った。朝になんてならないでほしいと思った。朝が来るとなぜだか浄化されそうで怖くなる。夜は暗闇が怖いけど自分を隠せそうで安心することもある。だから危ないんだろうけど。また、このまま時間が止まればいいのになって思う瞬間に生きたい。


しらす
食べるは生きる。食べれる内は大丈夫と言われるぐらい。食べるは生きることに直結してる。食べることに感謝、食べるものに感謝。大切にしたい心。
"しらすのお目目は天の川"
山盛りしらす丼が食べたくなる。命が集まりできた天の川。天の川へ続く道。いつかは我々も天の川をつくるときが来る。きれいな天の川の一部になりたいものです。


なんか出てきちゃってる
偶然ネジがゆるんじゃって、言わなくていいことを言ったらさ、どうなるんだろうか。普段、理性が働いているから我慢してる言葉、飲み込んだ言葉が、偶然ネジがゆるんじゃってでちゃったら、、、怖いですね。この歌、ライブで聴きたい。どんな、演奏になるんだろう。 

キケンナアソビ
具体的に描写してるわけじゃないのに、何が起きているのか、どんな状況の二人なのかが手に取るようにわかる。その道をまっすぐ行って帰ったら戻れるから。歌の中の子よ、どうか幸せに。キケンナアソビは、アソビで終われないからキケンなんだよ。どうか、どうかアソビで終わって。終わらせて。終わりたい。


モノマネ
一緒にいたら似てくる。恋人、夫婦。もとは他人なのに、似てる。だけど、何から何まで同じにしていても、また他人になることもある。昔、2つ合わせたらハートになるキーホルダーを持って幸せだと言い合った人がいた。あのキーホルダーどこにいったかな、あの人はどこにいるかな。次は違うからこそ感じられる幸せも幸せだと思いたい。


幽霊失格 
この歌、本当にすき。亡くなった彼女と生きてる彼氏、二人のやり取りがすき。
"成仏して消えるくらいなら 
いつまでも恨んでてなんて言わせる
君は幽霊失格"
消えないでってたった5文字でそばにいてと伝えられるところをいつまでも恨んでてって伝えるところ。こういう表現をするところがわたしは好き。想像をかきたてられながら一本の映画を見たような気分。ひとつひとつの曲が映画みたいなストーリーがある。そのストーリーに自分を重ねて救われている。

こんなに悲しいのに腹が減る
悲しくてもお腹が減る。生きろと言われてる。
死ぬほど生きて生きて生きてみせる。
このアルバムをこの年に世に出されたことに感謝しかない。夜にしがみついて、朝で溶かして。クリープハイプのアルバムでいちばん好き。毎日毎日聴いて支えられながら、生きてやる!!!

ぎりぎり年内にライナーノーツを書き終えた。クリープハイプの皆さんにどうか届きますように。

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