お金を貰ってブログを書く、ということ

最近、お金の話題が尽きない。

コンテンツで対価をユーザーから頂く事でものづくりの制約が取り払われるというお話。まぁ、そうだな。本質的には広告でマネタイズしようと、課金でマネタイズしようと、お金に囚われている間はお金に関連した何かに囚われているということで、その場所が変わるという、箇所が変わるという、それだけの話だと思うのだけど、どうだろうか。自由度が高まるのではない。自由な箇所が変わるだけだ。

例えばAdSenseを導入することによってAdSenseの利用規約に縛られるという話。僕はお酒の話題もアダルトな話もしないので、正直AdSenseのマネタイズに関しては全くブログのコンテンツの妨げにはなっていないと感じている。逆に縛られるマネタイズという意味ではASPのリンクシェアが当時Apple系の広告を取り扱っていた関係でiOSのJailbreak(脱獄)ネタがブログで扱えなくなった事がある。該当記事は全削除という対応を取った。これは正直辛かった。当時SIMフリーのiPhone 5――初のLTE対応のSIMフリーiPhoneをドコモのSIMカードで使った場合、Jailbreakして設定を書き換えてあげなければLTEに繋がらなかった。ドコモからiPhoneが発売される前の話で、LTE対応のSIMフリー通信機器がどういった挙動になるかというのはメーカー問わず当時はホットな話題で非常に盛り上がったのだが、その手順にJailbreakという非正規な改造方法が含まれていたという理由で取り下げる羽目になったのは残念な限りだ。自分のブログはリンクシェア経由で海外SIMフリー端末のExpansysと言うとECサイトと提携していた上に、Expansysから直接端末を貸し出してもらってレビューを書くという密接な連携プレイをしていたということもあり、泣く泣くJailbreakコンテンツを手放したのだ。

しかし、そのコンテンツを手放した事によって得られたものもある。リンクシェアと継続的にお付き合いしてきた事で、数字を継続的に出してきた事で、2015年にはリンクシェアのパートナーである株式会社デルの新製品発表会にお招き頂く事ができた。その時自分は過去の取捨選択を振り返り、当時捨てる勇気を持てたことを改めて誇りに思ったわけだが、それはさておき。

インターネットの媒体でお金を稼ぐ方法は、広告というジャンルが大きなパイを占めているものの、実際の具体例としては非常に多い選択肢が用意されている。GoogleとAmazonというPVで殴るか物販で殴るかの王道だったり、ASP経由で成約を出す事で稼いだり、はたまたPR記事で企業から金を貰って原稿を書いたり、純広告枠を販売したり、noteのような課金で読者から対価を頂いたり、数多くの選択肢の中では自分のやりたいことに対して向き不向きはあるだろう。

ASPの制約でコンテンツのカテゴリが一部制限されてしまうなんてのはよくある話だけど、ここでもうひとつ、僕が経験した制約を紹介したい。

PR記事を書く、ということ

PR記事というのは、企業がブロガーにお金を払って宣伝記事を書いてもらうというもの。うちでもたまにやっているのだけども、僕は正直あまり好きではない。その理由はこうだ。

最近はブロガーイベントというものが多く開催されており、ブロガーはイベントに当選した場合、金銭のやり取りはないものの、イベント参加レポート記事などのノルマを課せられる。例えばメーカーのイベントの場合、この製品の魅力を伝えるイベントに参加し、その場で機種を貸し出してもらったり、譲渡してもらったりして、そのレビューをブログに書く、といった感じだ。しかし、この場合は主従関係として、記事のディレクション――公開のタイミング、内容など、全てブログの書き手が責任者のポジションにあり、与えられた期間と記事数のノルマを守れば好きなタイミングで公開できる。

だがしかし。PR記事ともなると話は変わってくる。金銭のやりとりが発生する。記事は払った対価分の宣伝効果が期待される。一度書いた下書きの原稿は、メーカーの担当者のチェックに回される。全てのチェックが完了した後に、ブロガーに公開の指示が届く。この期間、約一週間。主従関係が逆転した結果、情報が読者に届くまでに、一週間のタイムラグが発生してしまった。

僕のブログのスタイルとしては、情報の新鮮さをとても重視している。そのために必要となるスキルや工夫、マシンのスペックなど、情報をいち早く読者に届けるために必要な基準を満たすよう努力している。ブロガーイベントや新製品発表会などが開催されると、今時は多くのブロガーがTwitterで実況をする。読者はそういった界隈をフォローしている層なので、イベントが行われている事がわかる。なのに、そうやってソーシャルで盛り上がったタイミングでなく、一週間後にイベントレポートが上がる。論外。遅すぎる。先週終わったお祭りに、一週間後に盛り上がる事ができるだろうか。

先月開催された博多のめんたいガジェットフェスには、公式のサポーターとして真っ先に声をかけていただき参加したのだが、とても気持ちよくブログを書かせて頂く事ができた。金銭のやり取りは無かったのだけど、僕は僕として、僕を主としてサポートの役目を果たせるポジションとして参加させて頂けたために、壇上のトークをほぼリアルタイムに、セッションごとに、セッションが終わるまでにまとめ上げ、写真を挿入して、次のセッションが始まる前にイベントレポートを上げるという、自称・音速ブロガーとも名乗れるような誰よりも速い実況を、誰よりも楽しくやらせて頂いた。

実は先ほどのPR記事の事例でもイベント終了後に現地でイベントレポートを書き上げていたのだけども、当日の夜8時という最も読者が盛り上がるであろうタイミングまでに原稿は書き上がっていた。なのにね、一週間後。公開が。音速ブロガーとPR記事は噛み合わない。PR記事は機種のじっくり手をかけたレビューの方にして、イベントレポートをPR記事にしなければいいと思うんだけど、いかがだろうか。速報性が求められる物に担当者のチェックを一週間も設けていてはダメだな。まぁこれはオペレーション側の問題なので、メーカー自身には罪はないと思う。

書き手に宿るブレない軸

ブログを書き続けている人は、誰しもが自分のスタイルを貫いていると思う。僕はスピード・クオリティ・デザインをどこよりも高い次元で揃えて提供していきたいという想いから、そのうちの「スピード」を実現するためにあたって早く書くだけでなく、誰よりも早く読者に届けられるようにブログのプッシュ通知サービス「Push7」を自社で作る事にも手を出した。強い想いを持ってブログを書いている人ほど、商業としてやっていくにあたって、利害関係になっていくにあたって、お金をトリガーとした理由で衝突する事はあると思う。でも、それは良い事なんじゃないかな。

例えば、アフィリエイトからの脱却でnoteのマネタイズにシフトし、お祭りのように周りを巻き込んでいくイケダハヤト。よくよく考えてみれば、僕と同じように自分の創作物に関して曲げられない筋が通っていて、利害関係を縫うようにそれを上手くお金に繋げていく。本質的には僕も彼も変わらないんじゃないかと思う。

――あぁ、なんか嫌だな。俺とイケハヤは同類だ!って締めくくるの、嫌だ。

余談、僕がこうやってnoteに沢山ぶっちゃけた話を出来ているのはお金に繋げてないからだ。先日うっかり5000円のnoteが4冊も売れてしまった事件はあったけども、基本的に僕が有料noteを書かない理由で書いたことに加えて、やはりお金というノイズを取り払ってこそ集中できるものもあるという事だ。有料で書こうと思った途端に筆に余計な重みがかかる。だからまぁ、僕には広告モデルが合ってるんだろうなぁ。自分で値段を付けて売るのではなく、売れたから結果的に値段が付く。そっちの方が、僕は精神的に楽だよ。

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