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文科省の最新情報から読み解く~学校再開はできるのか~


4/23更新  文科省HPより「新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&A」


全国の先生方、はじめまして。先生でない方も、このページを開いていただきありがとうございます。

私は現在、とある大学院に通い、教育について学んでいます。そのような立場から、自分に今何ができることはないか。その事を考えた時に、自分ができることは「この状況を俯瞰して、先生方に役立つ情報をお伝えする」事だと思いました。

普段は国の方針が文部科学省→各教育委員会→各学校管理職→各先生方へと伝わっていると思いますが、それだとタイムラグが生まれます。素早く1次情報にアクセスし、これから来る通知に対して喰い気味に行動することで、生徒たちの不安を抑えることも可能だと考えられます。このnoteでは、文科省を初めとした1次情報をかみ砕いて正確に、お伝えさせていただきます。


さて、緊急事態宣言の延長や9月入学説も騒がれる中、文部科学省は現段階で、学校再開に向けて前向きに取り組んでいると言えます。今回は学校再開へ向けた最新情報として、4/23に文部科学省から各教育委員会に通知された、「新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&A」(全108ページ)を紹介します。以下Q&Aのリンクです。タイトル下のものと同じです。

(出典:文部科学省HP)


今回の学校再開に対するQ&Aは

3/24 小中高特支における教育活動の再開等について(通知)

3/26 学校再開に対するQ&A

4/7  緊急事態宣言

4/21 臨時休業中の学習保障について

の流れを汲んだ、「3/26 学校再開に対するQ&A」の更なるアップデート版ということになります。(ちなみに、3/26以降このQ&Aは5回更新されていて、今回が6回目の更新です。)


内容は、教育活動の再開に対する、現時点での文部科学省の方針です。緊急事態宣言が引き延ばされそうな今、さらなるアップデート版もそのうち発表されるでしょうが、現時点でのご参考までに。では、本題に入ります。


教育活動の再開に関する87個の   Q&A(p3~57)

 この通知は、「3/26 学校再開に対するQ&A」を基にしたアップデート版なので、重複する質問も存在します。実際、前回から更新されている質問は87問中13問、新たに追加されてる質問は87問中10問でした。

Q&Aの内容は、

Ⅰ 学校再開について                      

Ⅱ 臨時休業の実施について 

の2つに分かれています。


 このnoteではその中でも、一番更新・新規の割合が高い(15問中11問)「Ⅰ 学校再開について 学習指導のこと」に絞って話を進めていきます。

 端的に言うと、「休校期間中の児童・生徒の学習の遅れは、学校再開後、各校で工夫を施して何とか取り戻してください」ということが示されています。あれあれ?

例えば、問26では

Q. 本年度新たに入学した児童生徒について、臨時休業に伴い、前の学校段階で指導すべき内容の指導を行うことができなかった範囲がある場合、どのような対応が考えられるか。

という質問に対して、

A. 共有された情報を踏まえて必要に応じて補充的な学習などの個に応じた指導や教育課程に位置付けない補習を行う、追加の家庭学習を適切に課す等の配慮が考えられます。

という回答例が示されています。補習や追加の家庭学習で休校中の埋め合わせをする、という対応が示されていますね。


しかし一方で問30では、

Q. 令和元年度に指導を予定していたが臨時休業により未指導となっている事項の指導について、限られた時間を効果的に使って必要な措置を講じるためにどのような工夫が考えられるか

という質問に対して、

A. 令和2年度の教育課程内において、令和元年度の未指導事項と同じ系統性の内容を指導する際に扱う

という回答例が示されています。各教科の学習内容は、前年度の内容が次年度に活きるような系統性を持っていますから、今年度の内容と、未指導の部分を結び付けるような指導をすることで、限られた時間の中で効率的に児童・生徒の学習の遅れを取り戻すことができる、という訳ですね。


まさに、教師自らが学習内容を関連付けていく、カリキュラム・マネジメントが求められていると言えます。


問26では補習や追加の家庭学習での埋め合わせ、問30では限られた時間の中で学習内容の結び付け、と一見矛盾するようですがこれは置かれている地域によって状況が違うため、選択権や決定権が各学校に委ねられているといえます。各学校の校長・管理職を筆頭とした「学校力」が試されているともいえますね。

加えて、今年度(令和2年度)の全国学力・学習状況調査と、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の中止が発表されました。


上記の「Ⅰ 学校再開について 学習指導のこと」以外にも、

学校再開後も在宅勤務や時差出勤についても可能な範囲で推進するよう地方公共団体へお願いの形がとられていたり

概ね2週間に1回、電話等で児童生徒の状態を把握するようお願いが出されていたりするなど、重要な情報も更新されているため、タイトル下のリンクから一次情報に触れることを先生方にはお勧めいたします。



おわりに

文科省の方針を一言で言うなれば、「全国の先生方、目の前の子どもに合った対策ヨロシク!」ということでしょう。日本政府が海外のようにロックダウンをしないのと同様に、文部科学省も全国の学校を独裁的に動かそうとはしていません。上からの指示を待つトップダウン方式ではなく、各学校の先生方が確かな情報を基に考え、行動に移すボトムアップ方式が、子どもたちの不安を軽減することに繋がります。

私は、その「確かな情報」の部分で、少しでもお手伝いができればなと思いnoteを綴っております。


最後までご拝読いただき、ありがとうございました。

2020.4.29


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