①田坂広志「21世紀の資本主義」を語る。読書メモ

田坂塾のメルマガで電子書籍での紹介を受け、アマゾンから読みました。
Kindle Unlimitedに加入しているため無料で読めました。面白かった。
このコロナのタイミングで読むには非常に良いものでした。

【第一話】歴史はどのように発展しているか?

・これから我々人類の文明は、どこに向かうのか?
その問いに答えるためには、まず歴史がどのように発展しているかを学ぶ必要がある。その1つの哲学が、ヘーゲルの「弁証法」であり、その主要なテーゼ、「事物の螺旋的発展の法則」は深い洞察を与えてくれる。

「事物の螺旋的発展の法則」
世の中の物事は、直線的な発展をするのではなく、あたかも「螺旋階段」を登るように発展するという法則である。すなわち、螺旋階段を登る人物を、横から見ていると、上に登っていき、発展しているように見えるが、上から見ていると、螺旋階段を一周回り、もとの位置に戻ってくる。ただし、このとき、この人物は、かならず一段、高い位置に登っている。

・例として、オークションはかなり昔からあったが、資本主義の発展で一度消え、ネット革命によって復活し、かつては数百人相手にしかできなかった競りが、今では数百万人相手にできるようになった。

・Eラーニングは昔懐かしい寺子屋の復活
・リサイクル活動も貧しく資源が貴重な時代のリサイクルではなく、地球環境の保全を目指した新たな次元での復活

古く懐かしい文明の世界観が、新たな価値を伴って、復活してくる。

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もし東洋文明の世界観が復活するなら、そこに加わる新たな価値とは?

【第二話】なぜ、世界は、生命論的な文明に向かうのか?

古く懐かしいものへの復古ではなく、「科学」そのものが、生命論的な世界観へと回帰していくからである。それは「複雑系の科学」である。

「複雑なものには、生命が宿る」ー文化人類学者、グレゴリー・ベイトソン

自然、社会、人間を含む全てのシステムは、内部での相互関連性が高まり、複雑性が増大していくと、「生命的システム」としての性質を強めていく。
自己組織性、創発性、共鳴、相互進化、生態系の形成など、そのシステムがあたかも「生命」を持っているかのような性質を示し始める。

・人間が多く集まり「集団」になると、個々の真理とは全く別の「集団心理」が生まれ、その集団全体が1つの人格を持っているようになること。
・社会の中で「市場」が生まれると、自然にビジネス生態系や商品生態系が生まれ、自然に秩序が生まれ、自己組織化や創発が起こる。
・「神の見えざる手」や「デファクト・スタンダード」などもこの象徴

自然においても、個々の生命が集まり、1つの「生態系」ができると、それら全体が内部の環境を一定に保つ「恒常性維持」(ホメオスタシス)や、全体として1つの方向に進化していく「相互進化」の性質を持つようになるなど、それ自身が、あたかも「1つの巨大な生命体」のような性質を示し始める。

・英国の科学者、ジェームズ・ラブロックが提唱した「地球とは1つの生命体である」という「ガイア思想」は、地球全体が「高度な複雑系」を形成しており、そのため「恒常性維持」などの生命的性質を示すことから生まれてきた思想である。

・最先端の現代科学が「生命論的な世界観」への回帰を遂げようとしてる。その先には東洋文明の叡智が待ち受けている。
・例えば、仏教思想の「山川草木国土悉皆仏性」という言葉。それは世界の全てが「生命」を持つという思想でもあり、ガイア思想の世界観である。

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現代科学の最先端である「複雑系の科学」が向かう先が東洋の生命論的な世界観であるとしたら、その先には何が待ち受けているのか?

【第三話】なぜ、ウェブ革命が、生命論的世界観をもたらすのか?

インターネット革命は、企業や市場や社会において、人と人との結びつきや組織と組織の関係を広げ、深めていくため、それらの内部の相互関連性を高め「複雑系」としての性質を強めていく。

・インターネットそのものが、人類が生み出した「最大の複雑系」である。
・その複雑系には「7つの問題」があり、それに対処するための「7つの知」が求められるようになる。

第一に、我々は、論理と分析だけではシステムを理解できない「分析不能性」に直面するようになる。
そして、そのため直感や洞察によって、全体の本質を把握する「全体性の知」が求められるようになる。
第二に、我々は、人為的にシステムの設計や管理ができない「管理不能性」に直面するようになる。
そして、そのため、管理ではなく、システムの自己組織化や創発を促す「創発性の知」が求められるようになる。
第三に、我々は、システムが情報に対して極めて敏感になる「情報敏感性」に直面する。
そして、そのため、単なる情報共有ではなく、人々の共感を生み出し、システムに情報共鳴を起こす「共鳴場の知」が求められるようになる。
第四に、システムの片隅の微小なゆらぎが、システム全体に巨大な変動を起こす「摂動敏感性」に直面するようになる。
そのため、組織の総合力ではなく、個人の共鳴力によって社会を変える「共鳴力の知」が求められるようになる。
第五に、システムの一部分だけの問題解決ができない「分割不能性」に直面するようになる。
そのため、部分解決ではなく、システム全体の相互進化を通じて全体治癒を図る「共進化の知」が求められるようになる。
第六に、システムを支配する法則が短期的に変わる「法則無効性」に直面するようになる。
そのため、社会における新たなルールを主体的に生み出していく「超進化の知」が求められるようになる。
第七に、システムの未来が予測できない「予測不能性」に直面する。
そのため、未来を受動的に予測するのではなく、未来を能動的に創造するために、ただ一回限りの現在を生きる「一回生の知」が求められる。

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この複雑系に対処する「7つの知」は不思議なことに、古くから東洋思想が語ってきた思想と通じている。それはなぜか?

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