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これからの学校のあり方とは? 【Vol.3】

学校運営協議会とは?

石井:学校運営協議会とはどういったものなのでしょうか。

品田先生:地域などによって形は異なるかもしれませんが、基本的には校長、元PTA会長、地元の方や元生徒など多くの方を交えて学校運営を協議していくものです。

外部の人がどれだけ学校運営に関わっているのか

石井:実際のところ、学校のあり方を考えるのにどれだけ外部の人が関わっているのでしょうか。

品田先生:学校によって様々だと思います。公立と私立ではまた大きく違いますね。私立学校の場合は理事会が運営方針を検討・決定することが多いのではないでしょうか。コンサルという形で外部の方が入っている学校もありますね。

改革は困難な場合も

品田先生:OB・OG会が学校の改革に反対することもあるようです。例えば、聖徳学園はSTEAMに取り組んでいます。ある学校ではSTEAMをやりますとなって、外部の人たちはそれは学校にとってプラスだなと考えたとしても、OB・OG会は自分たちがいた時のままの学校でいてほしいと思い、新しい取り組みをマイナスと捉えてしまうこともあるでしょう。男女別学の学校で共学化の計画が元に戻ったこともありました。

いろいろな人が関わる学校へ

品田先生先生たちは学校での活動を自分たちだけでなんとかしたいという思いが強いと思います。例えば、自分が学生時代にやったこともない部活動の指導をするのは珍しくありません。授業は教科指導を学んで免許を持っている人が教えているのに、部活動は課外活動なので、専門に学んでいない人が指導をしても問題になりません。それは先生にも生徒にもプラスになるのでしょうか? 今では外部コーチが普及してきているので、近いうちにそういうことはなくなるかもしれませんが、それも予算の問題がありますね。聖徳学園は外部の人が授業に関わることも少なくありませんから、先生方も比較的大学や企業の方々を入れることに抵抗が少ないです。教職員研修も外部公開にして色々な学校の先生と一緒にやったりしています。

学習指導要領は素晴らしい

石井:学習指導要領を読んだのですが、大変良いことが書かれていて驚いています。

品田先生:確かに素晴らしいことも書いてあります。しかし、先生は今までのやり方を続けたいと思っていることが多いでしょうし、学習指導要領が変わったとしてもどれだけ意味があるのかと思うこともあります。また、多くの学校ではカリキュラムもガッチリ決まっていて、時間数の柔軟な運用も難しく、「教科横断的な学び」とあっても、結局現実化しにくいのです。何を何時間ずつ各教科でやらなくてはいけないと決まっていては教科横断型はやりにくい。学習指導要領は言っていることはとても素晴らしいのですが、ではそれを体現しやすい制度があるかというとそうではないのが現実です。何時間やればいいという単位制ではなくて、ある一定のラインまで習得したら次に進めるみたいな感じになれば、教科横断的な学びがしやすくなるのかなと。

やっぱり単位制…

石井:そうすると単位を取ったから卒業できるのではなく、ある一定のところまでいけば卒業資格がもらえるのが理想でしょうか。

品田先生:本来の単位もそのような考え方です。時間数はもちろん、一定の基準をクリアしないと単位は与えられません。ですが、現実には時間数がまず必要で、どれだけ習得できたかはテスト次第なので何とでもなってしまうかな。時間数は目安であって、一定の基準をクリアすれば単位を認める。そうなってくれば学びの効率化がしやすくなります。時間数を設定してしまうと、最悪ずっと座っているだけで履修できてしまいます。

風通しの良い組織を目指して

石井:より学校が風通しのよい組織になると大変良いと思うのですが…。

品田先生:そうなれば、学習者本位の学びの場に近づいていけそうです。もっと言えば、学校運営に生徒は含まれるべきなのかというのも面白いポイントだと思います。学習者本位の場なのにほとんどが「大人」だけで決めたことを行なっているのではないでしょうか。それって本当にいいのかと思うことがあります。よくそういう話をすると「生徒はいい加減なことしか考えない」とか「楽することしか言わない」と言う人たちもいます。でも、そういう考え方になるのは前にも述べたように「学校は修行の場だ」というイメージがあるからではないかと考えています。

イノベーティブな人材

石井:最近はイノベーティブな人材の輩出が求められていますが、どう考えていますか。

品田先生:はっきり言って「ひま」がないとイノベーティブな人材は育たないと考えています(笑)。言い換えるなら、もっと余裕を持たせ、自由な時間がないといけないということです。意外とボーっとしている時間が大事だと思うのです。ひたすら知識を入れている時間に良いアイデアって出てこないでしょう? STEAMで正解のない問いに挑戦している時も、今までインプットしたものを組み合わせて取り組む。そこで先生があれこれ情報や知識を加えていったら思考が止まってしまうんです。加えて、そういう取り組みをやっていて思うのが、時間の区切りが難しいなと。50分間って決められた枠でやるのはあんまり良くないと思っていて、午前中はずっとSTEAMなんて出来たら面白いのにね。でも、今のままでは時間がなくてとてもじゃないけどそんなことはできそうにない。だから、そういう時間をつくるためにICTを有効活用して、知識を入れていくような学びの効率化をしていくべきなのかなと思っています。Vol.4に続く…。


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