絹原 一寛(Kinuhara Kazuhiro)

都市・まちのプランナー・コンサルタント。都市計画・土地利用計画・景観計画といった計画・…

絹原 一寛(Kinuhara Kazuhiro)

都市・まちのプランナー・コンサルタント。都市計画・土地利用計画・景観計画といった計画・制度づくりから、エリア再生・公共空間活用・エリアマネジメントまで。仕事を通じて考えたことを、できるだけ分かりやすく書こうとしています。 http://www.arpak.co.jp

最近の記事

この仕事で大切なこと。#3

つらつらと、仕事をする上で自分が大切にしていることを書いてきましたが、今回で最後です。いろいろ書いても、結局根っこの部分は共通している気がします。要は、常に上を目指し「もっとこうしたい」とか考えられるかどうか、なんだと思います。 11.それは仕事か?作業か?新しいことを考え、価値を生み出す、創意工夫をするのが「仕事」。一方、言われたことをこなすのは「作業」。それは仕事か?作業か?常に問いながら時間を過ごす必要があると思います。 一見単調で面白くない「作業」も、創意工夫を加

    • この仕事で大切なこと。#2

      前回の続きです。多分#4くらいまでは続くかなーと思います。優先度などは特になく、思いつくままに書いてますので、どうぞご容赦を。 6.言葉遣い=思考言葉遣いは、自分の思考の表れで、表裏一体だと考えています。日々発している言葉を聞くと、何を考えているのか、だいたい分かって来るように思います。 そのため、一つ一つの言葉を大切にすることで、思考はレベルアップすると感じています。逆に、言葉をおざなりにする人は、思考が浅く、議論が深まりません。 普段の雑談は置いておいて、仕事上の会

      • この仕事で大切なこと。#1

        また、間が空いてしまいました。文字にしながら考えをまとめていくことは大事なことだと日々痛感していますので、頑張っていきます。 プランナーという仕事を志して、10数年経つわけですが、つくづく面白くも難しく、でもやっぱり楽しいなと思います。一時期苦しい、が勝った時期もありましたけど。 一方で、向き不向き、得意不得意もあるよなぁと感じる時もあります。私はどちらかと言えば向いている部類なのかなと思うこともあります。ここまで続けられているのがその証拠かもしれません。 しかし、最近

        • 持続可能な社会へ向けて

          先日は会社の同僚らとコロナ後の地域づくりをディスカッション。いろいろと各人の考え、モヤモヤとしているところも共有しつつ、社会のあるべき姿を考える機会だな、と実感。スピーディな行動と、先を見据えた提案。どちらも大事にしつつ。 まだ油断はできませんが、明日から仕事が本格的に再開というところも多いでしょう。自分なりにコロナと向き合う時間を過ごしてきましたが、私にも徐々に日常が戻りつつあります。明確な答えも見つけられず、むしろこれから掘り下げていくべき問いを考えていたような日々でし

        この仕事で大切なこと。#3

          移動・交通の変化に期待すること

          関西の緊急事態宣言解除が発表され、少しは状況が前に進むかという期待感が出てきたのは嬉しいことです。もちろん、第2波のリスクは隣り合わせですので、「新しい生活様式」を実践しながら、ウイルスに感染しない暮らしを送っていくことが肝要と思います。 余談ですが、「新しい生活様式」というより、感染リスクを理解しながら、自らの安全に最大限注意を払いつつ、他者への感染も防ごうとする配慮ある行動様式が定着した、その背後にある「共感」の価値観を大事にしたいと思いました。 今回は、移動・交通に

          移動・交通の変化に期待すること

          音楽の新しい楽しみ方を模索する

          少し時間が空いてしまいました。やや閑話休題っぽくなるかもしれませんが、音楽もまた、コロナで変わっていっているもののひとつかもと思いましたので、少し脇道に逸れますが、書いてみたいと思いました。 ミュージシャン・ライブハウスの苦境初期段階の新型コロナウイルスのクラスター発生は、ライブハウスからでした。いずれも狭い空間で観客が密集する形式のライブハウスで、早期に休業を余儀なくされており、おそらく今後も休業要請解除は遅れるでしょう。 演奏する場所が3密にあたるとして続々と休業し、

          音楽の新しい楽しみ方を模索する

          セーフティーネット

          今回の新型コロナウイルスの影響で、セーフティーネットがいかに重要か、その大切さを再認識しています。 自宅などでの滞在を余儀なくされている人が大多数の中で、孤立を深めている状況の方もおられると思います。(私的な事情ですが、福祉施設に入居している親戚も、身内での面会も叶わず、連絡も取れない状況。)また、仕事を失うなど経済的に困窮した状況下で、住まいが確保できない方々の行き場がなくなっていることもあるでしょう。 もともと支援が必要な方に支援が行き届かなくなり孤立する状況も見過ご

          道路空間のこれまでとこれから

          この間、いろいろと都市などに起こりうる影響を書いてきましたが、反面、変わらないでいることもあると感じています。最近は「この先どうなるんだ!?」「ポスト/アフター」的論調が目立つのですが、先日参加したとある研究会でも「東日本大震災を経ても変わらない部分もあるのに、そんなに変わるのか?」という話題もあって、確かにそうだなと。奇しくもライフネット生命の岩瀬さんも下記の言及をしておられました。 私自身も一時期そういう風に捉えていた節があるので、反省を込めながらですが、「大変だ!」と

          道路空間のこれまでとこれから

          地域の商店・商いの価値

          新型コロナウイルスのために、地域の商店は非常に厳しい状況に追い込まれています。3密を避けるための営業の自粛や営業時間の短縮を余儀なくされ、中には収入が全くなくなり、一方で固定費の支出が重く、廃業を余儀なくされる店舗の話も身近で聞いています。緊急事態宣言も延長の見込みで、さらに我慢を強いられることになり、それに耐えられない店舗が増えることを非常に憂慮しています。 国や地方自治体からの支援策だけでなく、自らにできることはないのか、前回にも紹介したようなテイクアウトやネットショッ

          地域の商店・商いの価値

          シビックテックが加速する

          新型コロナウイルスは社会や産業に大きな打撃を与えているのですが、一方でデジタル化・オンライン化のネジを一気に巻き進めた感があります。もともと時差出勤やテレワークは言われてはいたものの、強制的に導入される状況で、私自身戸惑いながらも、なんとか適応しようとしているところです。 そのような中で、「シビックテック」が、コロナ影響下でも勇気付ける動きを進めていると感じます。 地域の飲食店を応援しようと、様々な地域でテイクアウト、エール飯などの運動が各地でいち早くスタートしました。既

          シビックテックが加速する

          公衆衛生に投資する

          新型コロナウイルスの影響は、「都市の公衆衛生」を改めて考えるきっかけになったと考えています。 公衆衛生改善をめざしてきた都市計画都市計画も、悪臭や騒音、汚染など劣悪な都市環境の改善を目指すために、様々なツールを導入してきたわけです。日照・通風の確保のための形態規制、用途の分離・誘導などの集団規定、市街地環境を整えるためのインフラの整備など。実際にこれらの成果あって、快適なまちが出来上がりました。写真はその典型かもしれませんが、ブラウンフィールドから用途転換を果たし再生した公

          コロナ・エフェクトと私たちの暮らし・都市・空間

          書きかけの文章も幾つかありつつ放っておいたnote。そうこうしている間に、世界は急速に、劇的に変わっていきました。 私の仕事も少なからず影響が出ていますが、今は何より、最前線で戦う医療従事者の皆さん、公共に従事する皆さん、そして非常に厳しい状況下で耐えておられる地域の商業者やアーティスト・ミュージシャンなどの皆さんを応援する立場です。 私のような立場の人間が、何をすべきか、はずっと自問自答し続けるでしょうし、きっとスパッと答えが出るようなものではないでしょう。しかし、少し

          コロナ・エフェクトと私たちの暮らし・都市・空間

          古墳と共にあるまちのこと。

          「百舌鳥・古市古墳群」が、世界文化遺産への登録が妥当との勧告を受けました。長年の登録への運動がついに身を結んだということで、大阪で初の世界遺産ということもあり、(どこまで盛り上がっているかは定かではないですが)関係者の方の喜びはひとしおではないかと想像します。 ついこの間、古墳を訪ねる機会がありました。すごく久しぶりで、実は、古墳群にまつわる仕事も過去にやってて、いろいろと思い出していたので、今日はそのことを書こうと思います。 古墳とその周りの環境を守る・・・といっても世

          古墳と共にあるまちのこと。

          社会側から変えていくこと

          随分と、間が空いてしまいました。日々、考えていることはあるのですが、文字にして発信していくのは、なかなか難しいことだと実感しています。 これまでは、現場の話をしていましたが、今回は少し大きな枠組みの話を。 私たちは日々、いろんなコミュニティに接しています。場所も様々。でも、最近実感しているのは、これまでのコミュニティが本当に弱体化しており、もはや自力では運営できないほどであるということです。 例えば、普段暮らしている場。自治会は誰も加入しませんし、PTAも敬遠されがち。

          社会側から変えていくこと

          ニュータウンの暮らしを紡ぐ~南港ポートタウンにて

          ベイエリアの理想の住宅団地大阪市住之江区の臨海部に、「南港ポートタウン」というニュータウンがあります。開発面積は約100ha、計画人口4万人で、昭和52年から入居が開始されました。 ベイエリアの新しい市街地開発で、新しい都市交通システムや都市インフラを備え、都心型や郊外型を脱皮した水と緑あふれる未来の住宅地としてまちびらき。それから40年近く経過しました。 今でも、大阪市内とは思えない豊かな緑がまちじゅうにあふれ、地区内はノーカーゾーンとなっており、子どもたちも安心して歩

          ニュータウンの暮らしを紡ぐ~南港ポートタウンにて

          区域マスタープランは必要か

          新年明けましておめでとうございます。今年もぼちぼちと、書いていきます。新年一発目ですが、ここ最近、頭を悩ましていることについて。 区域マスタープラン、いわゆる「都市計画区域の整備・開発及び保全の方針」のことです。日本の国土は都市計画法により都市計画事業などを行う都市計画区域を定めることとなっており、ではどんな内容で整備や開発、保全を進めていくのか?をマスタープランとして定めることとしています。 都市計画区域は基本的に都道府県が決定するので、プランを考えるのは都道府県の仕事

          区域マスタープランは必要か