仕事を抱え込む人は仕事ができないのか?

「仕事を抱え込む人は仕事ができない」
「残業が多い人は仕事ができない」
これってしばしば言われる言葉。でも自分のようにプロジェクト型の仕事をしている人間にとってはこれってどうなんだろうと思ってしまうのです。

個人個人で仕事がきっちり分かれている場合は確かに自分の仕事をきっちり時間内に片付けましょうということになるのですが、プロジェクト内においてはそもそも個人の仕事の量って均等ではないので、有識者であればあるほど、その人しかできない仕事を大量に抱えていたりもします。それってプロジェクトの状態やリソースに依存するので、必ずしも個人の能力の問題に帰結しないと思うんですよね。まぁ、それでも明らかに仕事が遅い人とか、どの環境に行っても仕事を自分で抱えすぎな人もいますが。一概には言えないでしょということで。

また仕事の範囲には必ずグレーゾーンが発生するものです。だれがこの仕事やるの?みたいな。そういうグレーゾーンの仕事をスルーする人って確かに自分がそのプロジェクトの成功に責任を持たない場合は正しいのかもしれませんね。ただし、プロジェクトに責任を持つ立場であればこれってスルーできないんですよね。他にやれる人がいればその人に依頼できるけれど、できない場合は自分がやるしかない。仕事を抱え込まざるをえないかどうかは状況と役割に依存するのかなと思っています。

プロジェクトの全責任を持つのは基本的にはプロジェクトマネージャ(以下PM)であり、PMはプロジェクトの作業がうまく回っているかどうかを管理する必要があります。各作業はその作業が回るのであればだれがやっても問題なく、極端な話めちゃくちゃ豊富なリソースがあり、優秀なメンバがすべてをやってくれる場合はPMはやっていることが確認さえできれば何もする必要はありません。優秀な各メンバの役割と責任を定義することさえできればよいと思われます。逆に、プロジェクト内の誰もできない作業があった場合(誰もこなせない役割があった場合)、それをなんとかするのはPMの役割であり、PM自身がやるか外部からリソースを調達するかなどなんらかの対策を行う必要があります。

このように、プロジェクトにおいては役割と責任をきちんと定義することが必要であり、それができていれば作業を誰がやるかは問題ではありません。Aさんが責任を持つことに対して、実作業をBさんに依頼したとしても、その作業の完了責任をAさんが果たしていれば、プロジェクトとしてはその作業が完成されるのでよいことになります。Aさんが他の人に仕事をふらずに全作業を自分で受け持っていたとしても、それが作業遅延やコスト面などでの結果に影響しない限りプロジェクトにとってそれは問題ではありません。

このようにプロジェクトという観点で考えると、「タスクをこなせない=仕事ができない」ではなく、「自らの役割と責任を定義して関係者と共有できない」また「自らの役割と責任を果たせない」ことが「仕事ができない」ことになるかと思いますが、いかがでしょうか。

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