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取材の目線

取材にはいくつかの工程がある。

僕は主に人物に対するインタビューを行なっているのだけど、準備から当日のなかで、いつもどのようなことを考えて進めているのか。それを、①取材準備と、②取材当日の2つに分けて、僕自身のために整理しながら考えたいので、まとめてみる。(当たり前のことばかりですが、あしからず)

①取材準備

まずはとにかく取材対象者を知る。

取材対象者の著書、Webに上がっている情報などを読み込む。Webには、過去のインタビュー記事やSNSでの発信、YouTubeやAbemaTVのような出演している可能性のある動画もチェックする。

関連する人物・企業・コミュニティ・活動や運動を把握し、実績や発言を知っておくことで、人物の人となり、想定質問の参考にすることはもちろん、雰囲気やイメージを掴む。

何より、取材対象者のコアとなる思想や価値観、実績は何かを知る。


②取材当日

1時間ほど早く行ってイメージを刷り込むようにしている。

商品やサービスの利用した感想を伺うようなインタビューの場合は、基本的に準備した流れに沿って進める。

一方で、人物を掘り下げるインタビューなどの場合、準備したものを当日使うかどうかはわからない。テーマとなるお話を伺いながら、取材対象者の話から “つい” 話が逸れたりしたら、それが相手の気になる話題、語りたい本音だったりすることもある。

会話を通して出てきた、キーとなる話題やフレーズを押さえながら、頭の中で構成をつくる。もちろん記事のことばかり考えながらインタビューするわけではない。本質的にはむしろ逆で、対話としてのインタビューを心から楽しみながら、頭の片隅で章立てやキーとなるポイントを押さえておく程度。

インタビュアーが自分でも知り得ないコアは何か。それを浮き彫りにするようなインタビューができれば、かなり良いと思っている。

ただ、よく言われる、インタビュアーの “話術” によって取材対象者の言葉を “引き出す” というようなことは、傲慢な考えだと僕は思っている。たしかにインタビューにも、上手い・下手はあると思うけど、それをテクニック的に考え、相手をびっくり箱のような捉え方をしている時点で人として不躾だ。

あくまで、相互的な対話の中で生まれる熱や心の機微を感じながらするほうが、きっと記事に体温も乗ると思うし、いいインタビュー、いい記事になり得ると思う。


といった流れで、僕は取材を行なっていると思う。
細かく言えばもっとあるかもしれないけど、大まかにはこんな感じだ。「こうしたらいいよ」というのがあればぜひ教えてください。

取材後はたいてい、音源を聴きながら帰路に着く。
移動中の時間を使って内容の反復ができるし、ライティングの際にも内容が自然と頭でリプレイされ、当時の雰囲気を思い出しやすい。と、柴田佐世子さんというライターさんに教わった。

*     *     *

ここでまとめたことは、冒頭で表明しておいたとおり、当たり前のことかもしれない。でも「何をしてるんだっけ?」を思い返して具体的に洗い出すことで、その本意ってなんだっけ?と振り返るようにしてる。

ライターというと、「書く」人というイメージが強く持たれているかもしれない。たしかにそれも間違いではない。でも、「ライターって何してるんだっけ」を問い直すと、「書く」より前に「調べる」があるし、「きく」も「話す」もある。

一元的な見方をしていたものでも、「これってなんだっけ?」と問い返すことで、その本意を捉え直すようにしないと本質を見失って表面的な仕事になるなあと、これを書きながら思ったのでした。



ライター 金藤 良秀(かねふじ よしひで)


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