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購買行動モデル「IOC」は、AISAS・SIPSに続く新しい法則か?

マーケティング界隈では、消費者が商品を認知してから購入するまでの購買行動をモデル化したAIDMAやAISAS、SIPSという考え方があります。

例えばSIPSという購買行動モデルは、Sympathize(共感する)、Identify(確認する)、Participate(参加する)、Share & Spread(共有 & 拡散する)といった順でユーザーが購入していることを現しています。

この購買行動モデルは時代によって変化するんですが、今の時代は、「IOC」なんじゃないかと考えています。

Interest(興味関心)
Outline(概要の理解)
Conditions(条件に合致)
と言う流れです。詳しく説明します。

まず図を見てください。業態によってCVR(コンバージョン率)は違うと思いますが、効果の比率を比較しやすいように数字をいれています。

広告からのコンバージョンは限りなく0(ゼロ)になった。

批判を恐れずに言うと、広告のコンバージョン力はゼロになったんじゃないかな?
広告の役割として、人が知らない ”未知”のものを”既知”にする役割があるけど、”未知”から直接購入(コンバージョン)することはほぼ無くなったと考えています。
未知のものに出会った時にその情報が正しいかどうかを確認するために必ず比較をするので直接コンバージョンすることはありません。
(緊急性を要する場当たり的なコンバージョンはあります。)

じゃあテレビCMやネット広告は効果がないのかというとそうではなくて、スリーヒッツセオリーや脳科学の研究で証明されているように2週間以内に3回以上と接触することで記憶の定着率は高まります。
記憶が定着するとそれは「未知の情報」ではなくなり「既知の情報」に変化するので商品購入(コンバージョン)する確率は高まります。

SEOやオウンドメディアで訪問者が増えたからといって、購買行動が増えるわけではない。

SEOやオウンドメディアとはサイトへの訪問者を増やす施策です。確かに上位表示することで訪問者は増えます。これも広告からの訪問と同じで直接購入することはなく、比較検討してから商品購入することになります。
Google、Twitter、instagramなどで検索して上位に表示された他社の情報と比較してからユーザーは購買判断をくだします。

なおオウンドメディアマーケティングの場合は、ノウハウだけを求めるユーザーが訪問するのでコンバージョン(商品購入)することは少なく、目的を達成させるためには共感してリピートしてもらうための施策が必要になります。

「共感」がなくても購買行動は発生する。

共感の時代と言われて久しいですが、なぜ「共感」が重要かというと「条件」による選別をWEBサービスが代行してくれているからです。人は本来「条件」と「共感」により購買行動をしているのが、「条件」の部分をWEBサービスが代行してしまったんですね。

Amazonにしても楽天にしても超便利。検索するとおすすめの商品が複数表示され、その中から自分にあったものを購入できる。
この時、「共感」は必ずしも必要なく、ユーザーは自分が求めている条件に合致するかどうかを判断して購入しています。

条件とは人それぞれ違うので、値段・スペック・サイズ・スタイルなど様々なものがあるけど、それを総合的に判断して購入しています。

比較サイトやメディアが便利なのは、あらかじめそれらの条件をソートして近い答えを提示してくれているから。

ユーザーにとってこれほど便利なものは無いけど、メーカーはWEBサービスに代理店フィー支払う必要があるので、WEBサービス経由の購入が増えると自社主体の営業コントロールがしにくくなるんですよね。

さらにインターネット上は実力のみの勝負なので、長年培ってきた歴史やブランドの効力は低下します。楽天ランキング1位!なんて称号がその典型。

「共感」はより高い次元の購買行動を促す。

人は共感しなくても商品を買います。重要度の低い買い物は条件により最適化されたものを選べばいい。有機野菜にこだわらなければ近所のスーパーで一番安いきゅうりを買えばいいだけですからね。
けど重要な購買行動の場合、そう簡単にはいかない。ソート条件のザルに引っかからない、高い安いだけでは判断できない情報を人は求めています。

それは「写真」に写り込んでいる細部の情報かもしれなし、「サービス」のスタンスかもしれないし、「コミュニケーション」によるおもてなしかもしれない。

ソート条件に引っかからない、”あこがれ”や”希少性”や”進歩性”などを総じて「共感」と呼ぶんでしょうね。
共感とは相手が自分でそう感じてもらわないといけないので、戦略的に共感してもらう「ブランディング」が必要になってきます。
クラウドファンディングのCAMPFIREさんがその典型かなと。

高い次元の購買判断は共感からしか生まれないので、企業が比較サイトなどに左右されない経営を手にしたい場合、あこがれや希少性や進歩性を感じてもらうためのブランドを構築する必要があります。

ちなみに「共感」によるメリットは、めっちゃコンバージョン率(購入確率)が上がります。

「共感」してもらうためには複数回訪問してもらう必要がある。

「共感」を持ってもらうことは重要だけど、その前に「興味関心」を持って記憶にとどめてもらうことが必要になります。1度の接触では短期記憶にしかならない、最低でも3回以上伝えたい情報と接触し、長期記憶に情報を変化してもらう必要がある。

きっかけはバズでも広告でもSEOでも何でもいい。
3回の情報との接触で何かしらの共感をユーザーに抱いてもらえれば、その共感が既知の情報となり、名前を覚えてもらって「指名検索」するきっかけになります。メモ代わりにSNSをフォローすることもあります。

記憶の片隅に残っていれば、検索などのトリガーをきっかけに情報は引き出せます。

指名検索やSNSを増やさないと旨味は減る

メーカーという立ち位置で商品を製造し、販売は販売代理店に全部任せる!という割り切った考えであればまったく問題ないんですが、お店に並んだ似たような商品の中から自社の商品を選んでお客さんに買って貰う場合、商品力だけでは力不足で販売店さんがどれをオススメするかにかかっています。

販売店に依存している場合はこんな図になります。

一方、自社ブランドに共感してもらっている場合はこんな図になります。

2つの図は共に1万人にリーチしていますが、購入者は上の図が82人で、下の図が195人となり売上は2倍近く向上します。
共感してもらうユーザーが多いことにこしたことはないですね。

条件に合致しないと購買行動は起きない。

ユーザーは条件に合致しないと購買行動をおこしません。
売れ筋のシャンプーがあったとして、A店に置いていなかったらB店で買うかもしれないし、あきらめて別のシャンプーを買うかもしれません。
ユーザーの条件によって購買行動は決定されます。

どんなに共感を得てようが、どんなにブランディングしてようが、口コミが最高レベルでよかったとしても必ず購入するとは言えない。
ただ共感や、ブランディングをしていないと、他の同業者と同列に並べられるのでキツイ戦いを強いられます。

現代の事業者にとって、共感を感じ取ってもらい特徴を把握してもらうことは超重要。

ITにしろAIにしろ、便利な世の中になった時に、テクノロジーが人間の決定を後押しするはずです。その時代のテクノロジーで判定できないものを訴求してユーザーから共感をえることが、企業活動をする上で重要になります。

おそらくそれは、”あこがれ”や”希少性”や”進歩性”などに抱く「共感」なんだと思います。

他にもあるかもしれないので、気付いた方は是非コメントいただきたいです。

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