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原因不明の男性不妊と診断され精子が8匹しかいなかった話

はじめての精密検査の結果

経緯はこちら
2週間後、精子検査の結果を聞きにいったら愕然とした。

医者「精子が8匹見つかりました。高度乏精子症です。」
私「???」

一瞬、完全に思考が止まった。
精子って数億匹いるもんじゃないの?
いや、ちょっと待って、
精液はいっぱい出てたんやん!
精液の量と精子の数は違うの?
前の検査ではWHO基準の1/100って聞いたぞ。それがなんで急に8匹やねん!
卵子にたどり着くまでは億を超える精子が必要なんじゃないの?

映画『300〈スリーハンドレッド〉』では、300人の兵士が100万のペルシア軍と戦うがそれより少ない。。。
8匹の中に呂布や関羽のような一騎当千の屈強な1匹がいると信じたいが、酸性やアルカリ性の海を密集しながら守ってくれる仲間がいなければ、さすがに精神論だけで卵子までたどり着くことは難しいだろう。
しかも、動いていないのもいるから、戦えるのは5匹しかいない。

流石に参った。
ギャグにしか聞こえないし、ギャグにしたいが精密検査の結果がこれでは鈍感力の高い自分でも流石に心が折れる。

はたして回復の見込みはあるのか?

私は医師に聞いた。
私「精子が回復する可能性はあるんですか?」
医師「多少は回復するかもしれませんし、回復しないかもしれません。回復したとしても体外授精のレベルまで回復するぐらいで、自然妊娠するほど回復することはありえません。

私「今の状態から精子が減ることはあるんですか?」
医師「もちろんあります。現在は高度乏精子症と呼ばれている状態ですが、精子が検出されなければ無精子症ということになります。」

絶句した。
自然妊娠できないどころか、これが最後の精子かもしれないだと?

たまたま実施した検査が最後の8匹なんてことはないと思うが、ここまで数が少ないと万が一ゼロになる可能性すら考えてしまう。
明日以降、子供を授かる可能性が無くなる場合だってある。想像しただけで絶望が襲いかかってくる。

精子の冷凍保存は2万円

この状態で妊娠をするには、顕微授精しかないらしい。 挙児は不可能だと断言されないだけ救いだ。
顕微授精とは1つの卵子に針を刺し1匹の精子を注入して受精させる方法だ。医学の発達により人の手で受精が可能になったと昔なにかで読んだことがある。

ともかく明日には0匹になるかもしれないという恐れから、すぐに8匹の保存をお願いした。

ただ医療というのは金がかかる。
保存料として一年で2万円かかるそうだ。
こういう精子の保存を繰り返し、十分なストックができた時に顕微受精を行いましょうと医師は提案してきた。

6回冷凍保存するとしたら、2万円×6回の保存で12万円だ。
毎日テッシュにくるんで捨てられていた精子は1発2万円の値がついた。

冷凍の眠りについた8匹の戦士たち

ARTとは女性から卵子を採りだし、人の手で精子と受精させる方法だ。
だが女性が苦労して卵子を取り出してくれたとしてもARTでの受精当日に精子が1匹も採れない可能性だってある。それを防ぐために事前に精子を冷凍保存させる。

冷凍保存された8匹の戦士たちは戦いの当日に向けて眠りにつくわけだが、眠りから覚めた時に全員が蘇生できるとは限らない。
そりゃそうだ。レンジでチンするわけではないだろうが、いくら医学が発達したとはいえ、一度冷気にさらされた精子くんが元の状態で復活するとは思えない。

ARTと呼ばれる顕微授精は50万円

その大病院の医師によると、現在生まれる子供の6人に1人はARTと呼ばれる体外受精や顕微受精で子供が生まれてるらしい。道行く子供たちのあの子もあの子もARTかもしれない。それぐらい生殖医療は進化しているそうだ。

ちなみに自然妊娠以外の方法で妊娠した場合、障害を持つんじゃないかと心配するかもしれないが、実際に生まれた子供を調査した結果、ARTと障害についての関係性は無いとされている。これは安心していい調査結果だろう。

ただARTは女性に負担がかかる。体から卵子を取り出し、もう一度体にもどすことは女性にとってとてもしんどいらしい。しかも一回のARTにかかる費用は40〜50万円。受精しても着床する保証はない
補助金もあるが年齢制限や世帯年収の制限がある。
子供が欲しい家庭にとってはARTは神の手のような存在だが、金銭的にも精神的にも誰もが簡単にできるとは言い難い。

原因不明の高度乏精子症とはどういうことなのか?

もう一つ衝撃的なことを医師に言われた。
私の病名は「高度乏精子症」という名称だが、これは精子が極端に少ないことに対する名称であって、原因は不明らしい。

私の場合、ホルモン検査によりFSHという数字が極端に高く、平均が0.7-11.1mIU/mLにも関わらず測定値は21.5mIU/mLだった。
FSHというホルモンは脳が金タマに対して精子を作れ!と指示するときに出るホルモンで、平均値以上ということは精子が造られていないのに何度も製造発注指示がされている状態だ。

つまりホルモン検査の結果、私の金タマは精子を作る能力が無いことが判明した。(あ〜、自分で文章を書いていてショックでゲロ吐きそうになる。。。)

だがこれは現在起きている問題が原因で精子が作れないのか、過去にウイルスなど何かしらの問題で作る能力を失ったのかどちらかは判明できないらしい。
つまり過去を遡ることはできないから原因を特定できないので原因不明となる。。。なんじゃそりゃ。

原因不明との戦い

たしかにARTをすれば子供は持てるかもしれない。だけど本当にこんな数字で妊娠するのだろうか?
パートナーだけに苦労をかけて自分は神頼みの射精をして後は運を天に任せるなんてナンセンスだ。

目の前の理不尽な現実をそのまま受け入れるのはムカつく。「どうせお前はダメ金玉なんだから、黙ってパートナーに頼って金払って不妊治療すればいいんだよ。」と病気に言われてる気がした。

凹んでダメになってしまいそうな気分を押し殺して、やせ我慢が得意なもう一人の自分が覚悟した。

わかった。。。自分が男性不妊であることは受け入れる。ただし負け犬認定されるのはまっぴら御免だ!意地でも回復してやる!


物事には原因があって結果がある。
絶対にどこかに原因があるはずだ!
過去に大病にかかった覚えもないのに、いきなり精子がいませんなんて理解できない。


どうやら男性不妊は男性のプライドに関わるデリケートな問題なので、女性がお願いしてもなかなか病院に行かないらしい。
はじめて体外受精が成功したのは40年前。しかし男性の生殖医療についてはまだ歴史が浅いようで10〜20年しか経っていないらしい。
歴史が浅く男性が率先して病院にいっていない現状では、きっと症例も溜まりにくいのだろう。

造精機能障害のある男性不妊の5割が原因不明とも言われているのだが、科学が発展した現代において原因がわからないなんてありえないんじゃないの?きっと原因との因果関係が見つかっていないから原因不明って言ってるだけでしょ?
だったら自分がそれをみつけてやる!
絶対に完治してやるぜ、こんちくしょう!!

ただのやせ我慢かもしれない。
けど、絶対に治してやる!そう思ってこのブログを書き出すことにした。


今も改善チャレンジ中の僕の男性不妊体験記はマガジンにまとめていますので読んでみてください。不妊治療に悩んでいる夫婦の力になれれば幸いです。
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