ウォーター・ニュービー

全てが苦である世の中で、それでもラクに生きる方法はないだろうか。毎週末に更新しています。

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マガジン

  • #キンピラごぼう教

    全てが苦である世の中で、それでも楽に生きるノウハウをご紹介する「#キンピラごぼう教」のマガジンです。 『#キンピラごぼう教』とは・・・ 「食物繊維豊富なキンピラごぼうをよく食べて腸を元気にすること」「比較執着妄想しない」を経典としています。 さしあたっての目標は、#キンピラごぼう教のストラップを販売し「太陽の塔」のような「キンピラごぼうの塔」を建立すること、です。

最近の記事

妄想しない。「莫妄想」。

あの悪夢は自分が作り出している。  亜円が言う。 「おぬし、まくもうぞう、だよ」  まくもうぞうと聞き返すと、亜円がうなずく。 「莫大の莫に妄想と書いて莫妄想。禅の世界で、妄想するな、という教えだ」ステンレスのマグカップで芋焼酎を飲みながら亜円が続ける。「逆を返せば妄想を止めるのはそれだけ難しいちゅうことだ。人間というのは、不思議なもんでな、自分で悪夢を生み出して、その中で怯えていることがあるなあ」  亜円の悪夢という言葉でふいに私は思いだした。  深夜、池の中の丸い飛び

    • 北風と太陽、あるいは痴漢に痴漢してみた話。

      テラ之助との戦い。  16mmの映画のような解像度の粗いイメージで思い出される、すこし昔の話。もう時効でしょうか。  朝の通勤ラッシュ時。神奈川から都心へ向かうすし詰めの電車に乗り、私はいつものように会社へ向かっておりました。ちょうど大きな川を超えようとするあたりでしょうか、朝日が電車内に差し込み、手すりに反射しキラキラととても美しかったのを覚えています。  その日、私の右隣には若い女性が立っておりました。黒いスーツを着ていたように思います。・・・いや、すいません。黒い

      • ソロキャンホリック。

         年に数回、3日間休みが取れる日に、人里離れた山の中で1人テントを張る。  行き先はGoogleマップの等高線と衛星写真で探し出す。  東西に流れる渓流で、日当たりが良い。標高は500メートル以上で、上流には人家がなく、人里からも5キロメートル以上離れていて、川幅が3メートル以上あり、細い支流が近くにあればなお良し。山登りがしたいわけではないので、林道沿いになる。  現地までの交通手段は、新聞配達でよく使われている原付バイクのカブ。荷台にキャンプ道具を積載してノロノロと向か

        • ニベアとミニマルな暮らし。

          2つのニベアによって、家から消えたもの一覧。 ・シャンプー ・石鹸 ・ハンドソープ ・整髪料 ・靴クリーム ・革製品用クリーム   いつの日にか冷蔵庫から、バターが消える日が来るかもしれない。

        妄想しない。「莫妄想」。

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        • #キンピラごぼう教
          6本

        記事

          誰かが水の底で石にしがみついていたら

           僕たちはつい、いろいろなものごとに「執着」してしまう。お金とかモノに対してや、人や立場に対して、あと、役割に対してとかね。  手放すべきなのに抱え込んだり。手に入らないって心の奥ではわかっているのに追いかけ回したり。もうそこにはいられないってのに、居座り続けたり。  いや、実はもうダメなんだって、わかっちゃいる。でもついついしちゃうんだよな。なんだろうね。癖みたいになっていて、無意識に反応してしまう。  スヌーピーに出てくる毛布をいつも引きずっている子がいるけど、そうそ

          誰かが水の底で石にしがみついていたら

          「大丈夫。あれもこれも、まわってきます」

           善も悪もなく、ただ淡々と。  「銀河をまわる太陽、太陽の周りをまわる地球。地球の周りをまわる月。まわりまわることで、宇宙は成り立っています」    「虫は鳥に食べられて、鳥は獣に食べられて、その亡骸は虫に食べられて。めぐりめぐることで生命は成り立っています」  ─世界はこの、まわりまわる、めぐりめぐる、『循環』という圧倒的な秩序の中にある。  「身体を流れる血液、入れ代わる細胞。私たちも体内を循環させ、外の世界ともまた循環させることで命をつないでいます。もしも循環が止

          「大丈夫。あれもこれも、まわってきます」

          遺言。「金曜午後半休になさい」

           娘と部下たちへ。  金曜日の朝、いつも通りに起き、定刻の電車で会社へ向かい、普段どおりに仕事をする。やがて午前が終了。  同僚が働いている中、平身低頭で会社を抜け出し、お昼時いつも人気で入れないイタリアンで遅めのランチ。  私だけが休んでいるという甘酸っぱい罪悪感を味わいながら、イカ墨のクリームパスタにクラフトビールも注文。  ぽっかりと空に浮かんだ白い雲。  明日も明後日も休み。  ビールで喉を潤していると、運ばれてくる濃厚なパスタ。  口の周りが真っ黒になる

          遺言。「金曜午後半休になさい」

          靴下統一党。

          黒の靴下が8足。  冬用の厚手の靴下を同じく黒8足。それ以外の靴下は持たない。靴下は統一され、正しく管理されている。 【靴下を統一するメリット】 ・考えなくていい  毎朝、引き出しの中の靴下を眺めて、その日履く色柄について考える必要がなくなる。 ・管理が楽になる  洗濯物を畳むとき、もう片一方を探す必要がなくなる。  この柄の片方は・・・これはシマシマの幅が違うなあ・・・あーこれも違う・・・。  「靴下統一」していれば、適当につかんだ物からクルクルとまとめられる。

          欲、八分。ペコ、二分。

           人はどこまでもファットになれる。  食べ飲み買い、集い遊び踊る。SNSやテレビから、テキストや画像、映像で、とめどなく流れる欲を満たす様。  他人の「欲を満たす様子」を見ていると、自分だけが満たされていない、そんな気分になってくる。  ーみな、欲望を満たせているのに。私だけいつも欲望を持てあましている…。  ところが、欲というものは、満たし続けることができない性質を持っている。 「欲を満たす」には「欲が満たされていない」が必要となる。例えば「物欲」を満たすには、「そ

          欲、八分。ペコ、二分。

          取り替えられないものを、比較しない。

          お金持ちと貧乏を取り替えることは出来ない  あっちの方が多い、こっちの方が少ない、あれは綺麗、これは汚い。  遥か昔、ホモサピエンスとして動物に近い存在であった頃、我々は「比較」する事で、死や病から逃れ、生き延びてきた。  ここは安全、あそこは危険、ウホウホ。  しかし、文明が発達してウホウホしなくなり、「比較する事」が「死や病」から遠く離れた今、この「比較する癖」に苦しめられている。  日常生活の中での、快適さを求める「比較」。品質、価格、期限。これらの比較は悪くな

          取り替えられないものを、比較しない。

          父さんの来世は、ネコのヒゲ。

           お父さんは、死んだら、ネコのヒゲとマグロの尻尾になることにしました。  死んだらどうなるの?と幼いころの娘に聞かれ、すぐに答えることが出来ず、ちょっと考えてみるね、と時間をもらいました。  死んだら天国に行く、悪いことをした人は地獄という怖いところにいく。そんな答えでは、幼いころの自分でもしっくり来ないはず。  死んだらどうなるのだろうか。  ある日、夕食のアジの塩焼きを見て、ふと死んでいるこの「アジ」はこのあと「私」になるんだよなあ、と思いました。私の体の中で消化

          父さんの来世は、ネコのヒゲ。

          私事

          「天才少年」というあだ名に鼻孔を膨らませていた少年が、中高一貫&全寮制の超進学校へ入学。世界には天才が溢れていることに驚き、中学2年の夏には、成績は後ろから二番目となり、深夜、寮を抜け出しバチカンから来ていた神父様の部屋に向かって平八郎(仮名)は舌を出した。  高校卒業後、建築業界にて「ハツリ屋」という解体工をしながら1日2冊の小説を読む生活を数年過ごし、寺山修司の破廉恥で無法な世界に憧れて、東京のアングラ演劇界隈で生活を始め、刺激的で濃密な日々を過ごす。  肉体労働をしな