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エスプレッソとコーヒーは何が違う。



バリスタラジオです。第二回です。今日もよろしくお願いします。



突然ですが皆さん、"エスプレッソ"って何だと思いますか。

わかりやすく別の言い方に直すと、"コーヒーとエスプレッソの違い"って何だと思いますか。



これは簡単そうに思えて、すごく説明するのが難しいんです。もちろん僕は分かってます。答えがわかってるので説明もできますが、バリスタの…特に先入観でいっぱいになっちゃっているようなコーヒーを専門に職業としている人に説明するのが、いつも難しいんですね。

というよりも、プロの人でも本当に理解している人…勉強熱心でちゃんと自分で研究や検証をしてその結果理解している人が、どれくらいいるかです。

ほとんどのバリスタやコーヒーを職業としている人が、上司や先輩に教わってそれを信じているので、それに(僕が)「それ少し違うよ」っていう話をして理解してもらうのは、すごく難しいです。

僕がスタッフに教えるときは、必ず何かしらの形で証明するようにしています。



じゃあ、エスプレッソって何?って話ですよね。よく言われるのは、コーヒーと違ってエスプレッソは圧力をかけて抽出する、というやつです。

これは、誰に聞いても必ずこの答えが返ってきますし、間違いではないです。



例えば、ドリップコーヒーはコーヒーにお湯を注いでお湯がたまると成分がしみだすんですけれど、それが引力で引っ張られることによって、ペーパーやステンレスのフィルターでコーヒー豆とその成分の染み出したお湯とを分けたものなんですね。

エスプレッソは、エスプレッソマシンで圧力をかけて抽出するんですけど、大体9気圧くらいですよね。重さにすると50kg以上。

ここがポイントで、確かにエスプレッソマシンの中の気圧計では9気圧です。で、実際にポルタフィルターの中…コーヒー豆にも同じように9気圧かかっていれば何も問題ないのですが、残念ながらそうじゃないので大問題なんです。



ちょっと、頭の中で絵を作ってみてほしいんですけど、ポルタフィルターは、言ってしまえばザルです。料理とかに使う、水を切ったりするザルです。

そこにコーヒー豆を入れる代わりに、石をゴロゴロと入れてみてください。想像でです。入れましたね。

じゃあ、バケツで50kgの水を一気に注いでみてください。当たり前ですが、隙間だらけですから水は何の負荷もなく通り抜けます。

じゃあ、次は砂利をザルに入れましょう。同じようにバケツで水を注ぎましょう。また通り抜けます。

じゃあ、次は砂を入れましょう。少しは抵抗がありますが、まだ抜けてしまいます。

では、今度は土を入れてみましょう。同じようにバケツで水を注ぎます。水は溜まってしまいます。今までとは明らかに異なる状態です。なんとかして水を通したいわけです。

じゃあ、ちょうどいいサイズの落し蓋をして力いっぱい押しましょう。これがエスプレッソなんです。



すごくわかりやすく説明したつもりなんですが、圧力をかけるには”圧力のかかる状態をバリスタが作らないと””エスプレッソマシンを使ったらエスプレッソではない”ということです。すごく重要です。



コーヒー豆を挽いて、エスプレッソマシンにセットして、抽出してみてください。抽出ボタンを押したら、お湯が出て抽出がスタートします。

ボタンを押してすぐにエスプレッソが出てくるのであれば、それは実はエスプレッソじゃないかもしれない。

ボタンを押したけど出てこない。じわじわと滲み出るようにして出てきたものがエスプレッソだと理解してもらえれば、これはバリスタとして一歩前進です。



僕が言っていることは、コーヒー業界の”それ”とは違うかもしれないです。でも、そんなことは大した問題じゃないんです。僕にとっては。

大切なのは教科書じゃなくて自分の感覚ですから、自分で検証して、その結果、バリスタとして進むべき道を選択してみてください。



ショットを見るとだんだんと色が変わってくる。初めは明るい茶色だったのが、コーヒー豆と同じ色になってくる。まだショットは早いです。味も薄くて明るいけど苦かったのが、濃厚で甘味を感じるようになる。圧力がかかっている状態ですよね。でもそこを超えると、今度は黒くて油が浮いたような見た目になる。これはエグ味があってとても美味しいとは言えない状態。

このポイントを見つけるのがバリスタの毎朝の仕事で、それを常に提供できるようにするためにトレーニングをするんです。



甘いポイント…ストライクゾーンは狭いですから。味覚が洗練されればされるほどストライクゾーンは狭くなっていくわけですから、どんどん難しくなる。

さらに技術が必要になってくる。

さらに知識が必要になってくる。

そして、それは教科書には載ってないんです。自分で研究して、検証して、データを取っていくやり方しかないんです。




エスプレッソとは何か知らなければ…わかってなければ、やらない作業ですよね。でも味の違いがわかるようになってしまうと、もしエスプレッソに拘るのであれば必要な知識と作業になってしまう。



大切なことに気づいていないバリスタはたくさんいると思います。



お店選び、バリスタ(選び)。

あそこのお店どうだろう…ちらっとのぞいて見ると、エスプレッソのショットが早いな。エスプレッソの色が使っているコーヒー豆の色より明るい色だな。もしラテを頼んだら…ボタンを押してすぐにエスプレッソが出てきたぞ。すぐにミルクのスチームを始めたな。じゃあこれは土のエスプレッソじゃなくて砂利のエスプレッソかな。とか。

心で思いながら、ぜひいいお店やいいバリスタを探してみてください。



それではみなさん、明日も頑張ってください。僕も頑張ります。




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BARISTA RADIO #2

2020/01/05 公開 YouTubeより



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