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自家焙煎で差をつける



バリスタラジオを聴いていただき、ありがとうございます。

今日は、”自家焙煎の良いところ”というテーマでお話しさせていただきたいと思います。



僕の店は自家焙煎のコーヒースタンドなんですけど、僕は焙煎しないんです。

「おいおい、いきなり言っていることがめちゃくちゃだぞ」

と、思った方も多いかと思いますが、それは最後まで聞いていただければ、ちゃんと理解していただけると思います。



で、僕は焙煎はしません。絶対にしません。なんでかっていうと、答えは単純明快で、”僕はバリスタだから”です。

まだ最後まで聞いてくださいね。



えー、僕はバリスタです。バリスタはエスプレッソの職人です。これに尽きます。

バリスタは職人だと思ってるんで、2つのことを1人がやろうとすると薄れちゃうんです。何もかもが…クオリティーはもちろん、パッション。半分になります。情熱も半分になっちゃうってことですね。

だから、”焙煎に情熱を注ぎますか?””エスプレッソの抽出に情熱を注ぎますか?”っていう。



焙煎してエスプレッソもやるっていう人は、焙煎だけに専念する人にもエスプレッソだけに専念する人にも、勝てないですよね。

絶対にバリスタとロースターは別がいいんです。

特に、本当に味作りにこだわって、エスプレッソにもこだわるのであれば…むしろ、”味作りにこだわって、エスプレッソにこだわって、職人の技術にこだわる”っていうことは、”焙煎はしない”っていうことなんですよね。



バリスタはそれを宣言したほうがいい。自分を職人だと思うのであれば、「焙煎はしません」って。

で、チームを作ればいいんです。焙煎はロースターがやる。抽出はバリスタがやる。



ロースターは、自分が焙煎した豆で抽出したエスプレッソを飲んでびっくりする。自分が焙煎している時にイメージしていたものと、バリスタの技術によって引き出されたテイストが、飛躍しているわけです。

バリスタは、「このエスプレッソのここをもっと伸ばしたい」とか、「この部分がネガティブに感じるからなんとかなる?」とか、ロースターに対してフィードバックする。



ロースターは、最高の技術とパッションを持ったバリスタに出会えたら幸せです。

バリスタも、フィードバックから自分なりの答えを出してくるようなロースターに出会えたら幸せです。




職人がそれぞれ自分の仕事に…一つのことに没頭して、手を組んで、ぶつかって、高め合う。

自家焙煎の本当に良いところはそこにあるんです。



それっていうのは、他所から豆を買って使ってたらできないですよね。

だから、自家焙煎の可能性は無限大なんです。



僕はそのスタイルで10年やってきて、改めて今それがわかるんで、確信して言えるわけです。



僕自身それが分からなければ…僕の味覚でその違いが分からなければ、どこかの地点で一人で何もかもやり始めてたかもしれないですし、どこかから買ってそれを使ってやるだけのお店になってたかもしれないです。




さらに、僕のお店ではブレンドは1種類だけです。季節のブレンドや味の方向性の違うブレンドなどの、いわゆる物販のための商品開発もしないと決めています。

なぜか。それは、僕のこだわりはエスプレッソだからです。




僕の場合は、生涯をかけてその1種類を作り上げていくと決めています。ブレンドって、そうやっていくとすごく面白いんです。

そういう価値のあるテーマだと思います。



だから僕のお店のブレンドは1種類ですが常に変化するし、お客さんにとっては前に買った時とブレンドの配合率や焙煎の度合いが違ったりもする。

でもそれで良いんです。

それを楽しんでもらえれば良い。



ただ、バリスタである僕のこだわりは自分の中にあって、誰かの評価に左右されることもないし、”マーケティングもしないっていうスタイルはお金じゃなくてカップの中に情熱を注いでいるからだ”ということを、お客さんに伝える必要はあると思います。

じゃないとただのわがままで頑固なお店だと思われてしまいますので、こだわって、情熱を注いで、常に最高であることを目指して、それを続けるためには、やっぱりお客さんにもそこを楽しんでもらうことが必要ですよね。




そして、さっき宣言したほうがいいと言いましたが、そこに少し触れておきます。なぜ宣言したほうがいいのかっていう理由です。

例えば、僕は自分のお店を持っています。つまり自分のお金で店を契約し、自分のお金で設備を買い揃え、自分の責任でお店を運営しています。

当然、別にお金持ちではないので、店を出すと同時にそれだけお金を使えば、お金がなくなってしまうんですね。そして仮に、お店を閉めなければならない状態に陥って…経営を失敗してお店が潰れてしまう。お店を潰すのにもお金がかかるんです、実は。そうするとやっぱりお金は無くなってしまうんですね。

だから、そうならないように集中するんです。



雇われて給料をもらっているバリスタも、集中して仕事をしているとは思います。でも、絶対に集中の度合いが違うと思います。



これは、”商売人の話”ではなく”職人の話”だということだけ理解してもらいたいんですが、自分の看板を背負ってやっている人と、自分の看板を人に使ってもらってやっている人間、もしくは人の看板を使って自分の看板の名前を挙げている人間とでは、最初は大きな差はないかもしれませんが、5年も経つと埋めようもない差がつきます。

これは自分を追い込んだ結果です。で、これができるも才能なんです。



だから、自分でお金を出して自分の足で歩くことが、すごく重要であって、またそれがまた自信にもつながります。

だから、さっき言ったように宣言する。



自分を追い込んだらやるしかない。変わるしかない。レベルアップするしかない。



”焙煎はしない。エスプレッソに全てを注ぐために。”

”ラテアートなんかどうでもいい。味に関係のないことにはこだわらない。”

というふうに宣言したら、あなたというバリスタの進むべき道は一つです。

そして、それはあなただけの個性になるかもしれません。




それでは皆さん、明日からも頑張ってください。僕も頑張ります。




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BARISTA RADIO #3

2020/01/12 公開 YouTubeより


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