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どうしたら幸せなのか

何が書いてあるんだろう、と好奇心に駆られて手に取ったのがこれでした。著者は経済学者。子どもや家族について私たちがふだん「これ、こうなんじゃないの?」となんとなく思っていることに対し、ひとつの見方を与えてくれます。

経済学から見た、といっても難しい話はありません。ですます調の語り口はあくまでソフト。わかりやすさも配慮されていて素人でも無理なく読めると思います。「現実はどうなのか」が明確なデータで論じられています。

育休が長すぎるとかえって逆効果だとか、日本は実は制度だけ見ると大変なイクメン大国だとか、マッチングアプリで出会ってるカップルは意外に多いとか、へえ〜と思う実態が満載。一方で「やっぱりそうなのか」がデータとして証明されている部分もあり、こうした事実の積み上げが理論になっていくんだなあなんて思いました。

光文社新書、このところ面白いのがいろいろあって気になっています。岩田健太郎「丁寧に考える新型コロナ」も読みごたえがあったし、なんといってもちょっと前に出た前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」は手に汗握る大冒険でした。あれ、奇しくも皆さん「太郎」が付きますね。

ひとつだけ気になるとしたら、本の売れ行きかな。つまり、この本の内容を本当に届けたい人ほど手に取らないんじゃないかと心配になって。「これまで理由なく『そうだ』と思っていたこと」や、「自分がこうなってほしいと思う方向」と異なると、どれほど真実であっても人はその知見を無視したり、妙に捻じ曲げて解釈したりしてしまう生き物ですから。

データを大事にする、論理的に考える、事実を事実として認めるような思考の柔らかさを、いつも持っていたいなと思います。自戒を込めて。


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