またかよ入院日記 7
前回はこちら。なんたって術後当日(前回)が一番大変だったさ。それを過ぎればなんとやら。
術後1日目:水だ!
夜が明けました。
夜がだんだんと色を薄めて明るくなっていくのを見るのはなんともうれしいです。朝が来ればこれまでよりは楽になるはずだ、一気にでなくても徐々に回復していくはずだ、と、どこかで信じているからでしょう。
もう十分に明るくなった眩しい8時にごはんがやってきました。
ごはんだ。ごはんというか水分だ。水分が解禁されるぞー
まだ自力でよいしょと起き上がることはできないので、ごはんを運んできた看護師さんがゆっくりとベッドを起こします。ギギギギといいながら自分の上半身が起き上がっていきます。変な感じ。
移動式のベッドテーブルの上に食事が置かれ、身体はご飯が食べられるくらい最大限にまで起こしてもらいました。おお視界が新しいです。天井以外のあれこれが見えるんだもん。
そして水分だ水分だ!
絶飲食が解け、水を飲んでもいいことになりました。
実際のところ、点滴がずっと入っているので身体から水分が欠乏しているというわけではありません。しかし喉というか口の中がカラカラのカラで突っ張っていたのです。痛いほどパリパリで乾いています。
おもむろにまずお茶に手を伸ばしました。
ひとくち、あ~~~しみる!
その次に牛乳パックをあけました。牛乳は子どもの頃から大好きなのです。ブチッとストローを刺し、一気にじゅうじゅうと吸いました。
うめええええええ
ああなんて水分がうれしいんでしょう。
その後も、おかゆの重湯部分だけをひたすら飲み、残りのおかゆとおかずはそこそこに、水分を取りまくりました。
今回は胃腸がなんともなさそうで有難いです。そしてご飯が食べられる(飲み物含む)というのはなんと幸せなことか。
歩けた!
それでもまだまだ管は繋がったままでした。
心電図と足のモミモミは比較的早く午前中に外してもらえたのですが、まだ起き上がる許可が出ません。寝返りは推奨なのでゴロゴロと右を向いたり左を向いたり。その合間を縫って手の届く所に置いておいた本を読んだり。しかし痛まないなあ。もちろん痛いんですけど、痛み方が、なんかもう全然軽い。硬膜外麻酔、マジで神。
お昼近くになって「どうですか、歩けますかね」と看護師さんがやってきました。
歩けるともさ!
ここで歩けると導尿カテーテル(バルーンという奴)を外してもらえるはずなので力が入ります。よっこらしょと起き上がり……やっぱりあまり痛くないのですよ。硬膜外麻酔、本当にすごい。逆にこんなに痛くなくて動けちゃったらかえって手術創(傷)に良くないんじゃないかと思うくらい。大丈夫なのかな。
ということで病棟の廊下を歩いてみました。
点滴スタンドにでっかい尿袋を下げて、なるべくしっかりとした足取りで。
あれ?
あれあれ?
腹腔鏡手術の時と違って、歩くとフラフラします。えええええ?
麻酔のせいかな? 足に力が入らない。腰砕けな感じで妙にクラクラです。気持ちをしっかり保っていないとダメな感じ。
これはあかん。ここで躓いたら外してもらえない、と必死で踏ん張る森野でありました。おかげで看護師さんからは歩きのOKは出ました。
歩きはね。
翌日には菅が外れるはずが……
しかし。
「森野さん、血尿がかなり出てますね」
ふと足もとに目をやると、でっかい尿袋が見えました。
そこに普通はおしっこがたまるわけですが、今だってそうなっているわけですが、それが、
真っ赤
うっ!
ほぼほぼ血液の色です。ぎゃああこんなんになるんかい。
今回、手術時に尿管ステントを入れるのであとで血尿は出るよってそう言えば聞いていたのでした。どういうことか、何でもあるいらすとやの絵で説明しましょう。腎臓と尿管と膀胱はこれだ。
腹の中は当然のことながら内臓たちがコンパクトに収納されています。血管も縦横に走ってます(多分)。今回はその中から子宮だけでなく、前回の腹腔鏡手術の時にまわりと癒着していて危険で取れなかった左の卵巣も取ろうとしていました。
「前回は危険で取れなかった」ってことはガッツリ周囲とくっついちゃってるわけで、開腹して目で見えても危険には変わりありません。特に危険なのが腎臓から下に伸びている尿管を誤って傷つけてしまうこと。
ですので今回は、手術中に、腎臓から出ている両側の尿管にステントという細い管を入れ、間違って切っちゃわないようにしたわけです。
通常の導尿カテーテルどころでない、とんでもなく奥まで入っていくんですね。考えただけで鳥肌ですが、わたし自身は全身麻酔の最中に入れて出すためまったく意識も記憶もありません。医学と麻酔の進歩に感謝だよ!
まあでもその後遺症としてですね、出てくるおしっこがすべて血液みたいな色だったってことで。
かといって痛いわけではありません。赤いだけです。
痛くないんですけど気持ち悪い。膀胱が常に気持ち悪い。痛いというよりずーっと結構な尿意が止まらない感じでものすごくイライラします。居ても立っても居られない。あああ「違和感」がでかい塊になってそこにいる、ってイヤン感がおさまらないよー
ですから一刻も早く導尿カテーテルを取ってもらいたいのですが、苦い顔の看護師さん。主治医に相談に行きます。ううむ。
結局、血尿がとまらないのて術後1日目はそのままとなりました。前回にも少し書いたけど、硬膜外麻酔のスイッチをクリックするとしばらくは膀胱も少しだけ落ち着くので、カチンカチンと時間が許すかぎり押しておりました。
次はここ。