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紙の本を自炊した話

こんにちは!

先日、家にあった大量の紙の本を裁断して自炊(紙の本の電子化)する作業を行なったので、それについて書いていきたいと思います。家の本がだいぶ片付いたのはもちろん、無心になってできる作業だったので、自炊をする過程自体も思いのほか楽しめました(笑)。

Twitterや読書メーターで僕のアカウントを見ている人はご存知の通り、僕は大体月に30~40冊程度の本を読んでいます。最近はKindleのサブリプションや電子書籍での購入も増えてきましたが、それでもやはり読む本の大半は紙の本です。となると問題になってくるのが本棚の容量で、流石にちょっとキャパオーバーしてきたので、今回自炊(電子書籍化)を決意するに至ったわけです。

今回自炊にあたっては、DMMの「いろいろレンタル」でレンタルできる「自炊セット(裁断機+スキャナ)」を利用しました。この手の「価格が高くて場所を取るわりに利用頻度の低い」ものについては、やはりレンタルがベストですね。1週間借りて1万ちょっとなので、割とリーズナブルだと思います。

ちなみに、自炊代行業者というのもありますが、著作権上かなり難しいところがあるので個人的には非推奨です。実際に違法判決も出ているようなので、その判例や、どこまでなら依頼できるかなどはきちんと確認しておくべきでしょう(僕はめんどくさいのでそこまで調べていません)。

今回のレンタルをしたのが3月中でしたが、その時点でも結構予約が混み合っていたようで、2週間待ちくらいだったと記憶しています。今、上記のリンクから予約状況見てみたら、6月頭まで埋まっていたので、家に篭る間の断捨離需要は思いのほか高いのかもしれません。ちょっと価格が高い上位モデルはもう少し空いているようなので、お急ぎの方はそちらをどうぞ。


そして配送当日。大きなダンボール一つで届いたのはこちら↓

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左側がスキャナの入ったダンボールで、右側が裁断機。裁断機は想像以上に大きくて驚きました。家がかなり手狭なので、作業スペースがギリギリです(笑)。まあ、この大きさの裁断機でも、ものによっては切りにくいものもあったので、本を裁断するにはこのくらいのものは必要なのでしょう。

裁断機はこんな感じ↓

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改めてみてもその大きさがわかりますね。かなりごっついです。家が狭い人は、事前にそれなりの作業スペースは確保しておいたほうが良いと思います。

スキャナがこちら↓

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ぱっと見た感じかなりコンパクトだったので不安になりましたが、開けてみると結構しっかりした見た目になりました。こちらのモデル < ScanSnap iX500 > はモニタ等が無く、電源といくつかボタンがあるだけのシンプルなもの。単純にスキャンするだけならこれで必要十分ですが、操作に不安がある方は、一つ上のモデルの < ScanSnap iX1500 > の自炊セットを選んだ方が無難かもしれません。

届いてはじめに躓いたのが、スキャナのネットワークへの接続。今の僕の環境はWimaxの無線にIpadとAndroidスマホを接続している状態で、自宅にパソコンはありません(パソコン関係の話はまた別途投稿する予定です)。説明書にはパソコンがあること前提のやり方しか載っていない(!)ので、これがちゃんと自宅のネットワークの環境で動作するのか一瞬不安になりました。それも、スキャナ自体にはモニタ等もないので、どこを操作すれば良いのかすらわからないという…

まあ結論から言うと、スキャナにWPS接続のボタンがついており、これを使って自宅のWimaxの無線ルーターに接続できました。ネットワークにさえ繋がってしまえばiOS用専用アプリをつかってアクセスできるので、スキャンの設定やスキャンジョブの実行はそのアプリを経由してできました。というか、こう言うことは事前に調べておくべきでしたね(笑)。一週間レンタルして何もできないという憂き目は回避できて何よりです。

設定さえ終われば、あとは本をザクザク切っていってスキャナにかけていくだけです。厚い本は一度で切断できないので事前にカッターで分割したりしなければなりませんし、スキャナも一度に70〜100枚くらいが限度なので何度かに分けて実行しなければならないのが面倒ではありますが、やること自体は単調なので、なんのことはありません。

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こちらが実際に本を切断した時の写真。本の綴じている方の端から5 ~ 10 mmくらいの位置で切ればOK。あんまり切りすぎると文字の部分まで切れてしまいますし、かと言ってカットが狭すぎると紙が重なってしまうので結構微妙なところ。まあ、文庫本や新書は固定サイズなので一冊ずつに設定する必要はないですし、慣れてくれば感覚は掴めてくるので特に気にするなるほどのものではないです。

「本を切る」という行為に対して、もうちょっと特別な感情が生まれるかとも思いましたが、案外そんなことはなく、意外とサクサク切っていけました(笑)。こういうことを言うと、「本への愛が足りない」と言われそうですが、そのまま廃棄されるよりはこの方が有効活用できると思うので仕方ありません。別にミニマリストではないですが、比較的頻繁に引っ越し(2年に一度ペースくらい)するので、あまり手元の荷物を増やしたくないのが本音です。

「裁断 → スキャン → ファイル保存」の一連の作業のうち、ボトルネックになるのは明らかに「スキャン」の部分です。気分よく切っていると、切断済み・スキャン待ちの本の束が積み上がってくるので、適度に他の作業(本を読んだり筋トレしたり)をしながらスキャンの実行を待ちます。スキャンにかかる時間は300ページくらいの文庫本一冊で5分くらいでした。

そんなこんなで、1週間のレンタル期間のうちに電子化できたのは、340冊ほど。今回自炊したのは小説以外の本のみで、小説以外の本でも手元に紙の本として残しておきたい本は電子化せず本棚に残してあります。あとで冷静に考えれば、電子化することでいつでも読めるようになるというメリットがあるので、手元に置いておきたい本も電子化して、改めて紙の本を買えば良かったと気づきました(笑)。まあ仕方がないので、次回レンタルするときに電子化しましょう。1年後か2年後かな。

返却も、前日に宅配業者に一本電話を入れれば、家まで引き取りに来てくれるので非常に楽チンです。冒頭にも書きましたが、実用性というもの以外にも、作業そのものとしての面白さも確実になりました。なんというか、無心になれるんですね(笑)。僕はやっていないですが、Youtubeとか聴きながらやっても捗りそうな感じです。

今回で家にあった本をpdf化することができたわけですが、あとはそれをどう処理して管理するかというのが課題です。実は今回の話は単なる序章にしか過ぎず、このあと深い沼にはまっていくわけですが、それはおいおい書いていこうと思います。読書量が目に見えて減る程度にはそちらに入れ込んでいるので(現在進行形)、むしろそちらの方で書きたいトピックがたくさんあります。まあ、本が好きな方にとってそれが面白いのかどうかは甚だ疑問ですが(笑)、これからも後日談をちょいちょい書いていきたいと思います!

> 追記。自炊したpdfのポスト処理について書きました! 興味のある方はこちらも合わせてどうぞ↓。


ここまでが自炊作業の本題。以下は、自炊という作業自体について思ったことをつらつらとって感じです。特に有用な話は書いていないので、興味のない方は読まなくても問題ありません。出版業界の人から見ると嫌な気分になるかもしれないので、念のためそこは注意です。


自炊という作業をやっていて思いましたが、紙の本から電子化するという作業はなんとも非効率ですね。出版業界の歴史とか物流の仕組み、著作権上仕方ないのはわかるのですが、情報の流れからすると「紙媒体→データ」ではなく、「データ→紙媒体」が明らかに自然だと思います。少なくとも現代では、出版物自体はデータから作られているので、「データ→紙→データ」という不自然な流れになるのはなんだかなぁと思います。僕としては自炊作業自体が楽しかったのでそこまで気になりませんが、エネルギー的には極めて非効率なことをやってます。

一度紙を媒介するがゆえに、書店は売れるかどうかわからない本の在庫を大量に抱えなければいけませんし(実際のそのリスクテイクは取次業者なのでしょうが)、読者側としても購入価格に在庫維持コストや売れなかった本分のコストが乗ってくるので、誰にとってもあまりハッピーであるとは思えません。このあたりの構造はアパレル業界にもかなり近いです(参考:「誰がアパレルを殺すのか」杉原淳一、染原睦美(日経BP))。

まあ、需要を遥かに超えたものが市場に流れるがゆえに中古市場が形成されているというメリットもあるとは思うんですけどね。ただ、それはあるべき姿というよりは、市場が生み出す無駄を最小化する仕組みという消極的なメリットです。

これは個人的な妄想レベルのものですが、将来的には、まず情報自体がEnd to End(理想的には筆者と読者)で繋がり、本屋ないしはそれに変わる施設がその情報をもとに紙の本を制作する作業を請け負う、という形になるんじゃないかなという気はしています。汎用のプリンターとかで簡単に本が作れるようになれば、各々が自宅で紙の本が作れるようになるかもしれません(文庫本や新書などの規格品は特にハードルが低いと思います)。

その場合の本屋の機能は、ショールーム的なものになるか、コミュニティベース的な方向にシフトしていくのでしょうかね。まあ、この構造で経済的にペイするようなビジネスモデルが構築できるかどうかはわかりませんが。ただ、今の業界のあり方自体が極めて無駄が多いのは確かなのでなにがしかの変革はそのうち起こるでしょう。

まあ、いずれにしてもその未来は当分来そうにはないので、しばらくは定期的に機材をレンタルして自炊するという形で対応したいなとは思っています。僕としては、レンタルサービス自体が継続してくれることを願うばかりです。

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