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悩めるDTMerのためのメロディー作曲入門①歌メロの作成(「2音で作る」編)

皆さんは普段の作曲で、メロディーの作曲はうまくいっているだろうか?
空から降ってくる天啓のようにフッと思いつく日もあれば、逆にどれだけ思いつこうと努力してもまったく思いつかない日もあるかもしれない。

前者だけでスイスイいけるに越したことはないが、実際には両方とも経験したことがある人が多いのでは?

だが、DTMerである以上、天啓があろうがなかろうがガリガリと作曲していかなくてはいけない。まさに「病める時も健やかなる時も…」である。では、「病める時」はどうするか?

その答えは、「制限すること」である。

ここでは使う音を制限することで、インスピレーションが不調なときにそれを良い方向に導く方法を紹介したい。

ステップ1:「ド」と「ソ」で作る

というわけでまずはメロディーを「ド」と「ソ」だけで作ってみよう。

なぜ「ド」と「ソ」なのか?それは、「ド」と「ソ」が楽曲のキーに対するルートと5度であり、コードが変わっても大体使えること。そして、「ド」はトニック、「ソ」はドミナントというコード機能のルート音であり、それぞれ真逆の性質を持つからである。

「ド」:安定、緩和、終止感(コード機能=トニック)
「ソ」:不安定、緊張、継続感(コード機能=ドミナント)

つまり「ド」と「ソ」は「安定(緩和)」と「不安定(緊張)」、さらには「終止」と「継続」を表現するための最小公約数であり、この2音だけでざっくりとストーリーを語ることができるのだ。

そう、この2音は「緊張と緩和」を表現する音なのである。

手順

①コード進行を用意する(例:IVmaj7 - V7 - VIm7 - Imaj7など、アボイドノートが発生しないシンプルなダイアトニックコードだとさらに簡単)

②「安定」と「不安定」を感じながら「ド」と「ソ」のみの音を使ってメロディーを打ち込む

メモ:
・セクションが展開するときは「ソ」で終わると継続感が出て◎
・「ド」と「ソ」を無闇に連打したり、切り替えたりすると不自然になるので、自然なラインが作れるように心がけよう。後でブラッシュアップできるように、「安定と不安定」「緊張と緩和」が明確になっていさえすればよい。
・ピッチを制限することで、リズムにも意識が向きやすくなる。休符も効果的に活用しよう。

以上、2-3テイク録音してみたら、次は色彩をもう一つ加えてみよう。「ファ」の登場だ。

ステップ2:「ファ」を増やす

「安定と不安定」「緊張と緩和」のシンプルな2極展開にもう1段階彩りを加えるなら、「ファ」を追加するとよい。「ファ」は保留感や停留感、つまりタメのような印象を表現できる。

手順

手順としては、前の手順と同じ要領で、「ド」と「ソ」に「ファ」を加えて作曲してみればOKだ。

ステップ3:昇華させる

さて、ここまで経た時点でメロディーの土台はすでに出来上がっている。「安定と不安定」や「緊張と緩和」に「保留感」も加わり、3段論法、ホップステップジャンプのような展開ができているというわけだ。

そのため、ここから後はこの形、イメージを維持しつつ、さらに展開させていけばよい。

手順

「ド」の部分は、「安定」でイメージしているので、不自然にならないように順次進行やコードトーンなどを中心にしつつ、大きくハズレない落ち着いた音使いにすることがポイントだ。

反対に、「ソ」の部分は「不安定」を選んでいるので、跳躍(4度以上音が飛ぶこと)やノンコードトーンを使ってせめて見るのも有り。

効果・理論的裏付け

この方法を実際やってみると、非常にまとまりのあるメロディーを作ることができて驚く人も多いはずだ。

では、実際ここで何が起きているか?それは、スケールをトニック/サブドミナント/ドミナントというコード機能でとらえ、それを超シンプルな3要素に還元してメロディー化しているのだと僕は考える。本来コードを表現するこれらの機能をメロディーに転用することで、わかりやすい展開を作ることができているのだ。

つまり、ここで行った「制限」は、それぞれの機能を1音だけに限定するという制限であった、と結論づけることができるだろう。

まとめ

いかがだっただろうか?

作曲は12音でどんなメロディーでも作れるのだが、12という要素の数が返って複雑さを生むことにもなる。なので作曲で迷ったときに思い出してほしいのは、「自由になりたいなら、制限しろ」ということ。

今回は、シユウの作曲・DTM講座様による極めて質の高い作曲チュートリアル動画「【歌メロに迷ったら】誰でも簡単に神メロディーが作れるようになる方法!【作曲・DTM講座】」を元に紹介させていただいた。

音源も付いて解説もわかりやすいので、ぜひ動画も併せて参考にしてみてほしい。

では、よいDTMライフを!

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