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姓名判断改名のお誘い

事務所で仕事がひと段落したから、煙草吸いながら、珈琲を飲んでいた。

スタッフが来て
「あのーお客様が・・・」と言う。

え?アポはないはず・・・と思ったら、飛び込み営業らしき男性が一人。

手に本を持っていて、その本を店に置いてもらえないかと言う。

あーうちの店はそういうのは取り扱っていませんので。
申訳ないですけれど、無理ですね。すみません。

その本は、姓名判断について書かれた本だった。

「ああ、それじゃあこれも何かの御縁ですから、よろしければここにいらっしゃる皆さんの生命判断、無料で致しますが・・・」
そう男性が言うと、それを聞いた周りの女性スタッフの目が輝いた。

丁度、お昼時に近かったし
そんなにみんな興味があるのなら、まあどうぞと招き入れると、早速男性に群がるスタッフたち。

「ああ、貴方は・・・なかなか理解されない可哀想な・・・」

「ああ、貴方は損しやすいタイプですね」

男性が言うたびに、ちょっとした歓声が起こる。

「いや~、当たってる~~。」

で、一区切りついた時に、私の方を向いて男性が言った。
「貴方もぜひに」

まあ折角そう仰るならばと、観てもらったら、「強い名前」と言われる。

ああ、そうですか。

「親との縁が強い」

「・・・でしょうね。」

「孤独運が出てます。」

「はぁ。まあ、一人者ですからね。そう見る人もいるでしょうね。」

「・・・強いというより・・・強すぎる名前かもしれません。
改名すると、いいですよ。

・・・特別に申し上げますが
xxxとか△△△とかにすると、大分違う。」

さだまさしの歌じゃないけれど
「運がいいとか悪いとか、人は時々口にするけれど
そういうことって確かにある」と、私も、思う。

思いはするが、改名する気持ちはないと告げる。

「いや、届けを出すことはなくても、日常で使うだけでも違いますよ。」

本当ならば改名料を戴くのだけれど、最初に無料と申し上げましたから・・・と言いながら
彼は言った。

ああ、そういうこともあるかもしれませんね。

でも、私の名前は、私の誕生の時に親が良かれと思ってつけてくれた名前。
それが本当は少しばかりの欠けたものを含む名前であったとしても

元気で生きろ
頑張って生きろ
幸せであれ

そういう気持ちがこもった名前であると思っているから、それで充分。
まあ、大体のところ、20歳過ぎたら後は自分の責任だよね~~って思ってやってますし。

そう言うと、男性は黙った。

「貴方は・・・頑固ととられやすい、損なタイプと名前に出ていますね。」

あっはっはっはっは。
・・・いや、そりゃ、貴方の感想では??。

後日、その男性はその業界では、結構有名な人物であったことが知れた。

あの時、改名のお誘いにのっていたら、今頃宝くじ当たってたんだろうかね~~。

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