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しつけは大事            (私のアメリカ横断旅行記)

これは、英語が喋れないわたくしが、アメリカ横断をした時のお話し。

ピーターの家には、5歳になる双子の男の子と女の子がいた。
これがねえ、まあ~~~すっげ~~~可愛かった!!!可愛かったのだ。

金髪の見るからに柔らかそうな髪の毛はクリンクリンで、透き通るようなブルーの瞳、薔薇色のほっぺの双子。

無敵!!

よく5歳までに子供は一生分の親孝行をするのだって聞くけれど、
このルックスでちょっと舌足らずに、
「・・・ダディ」なんて呼びかけられた日にゃあ!!!

ピーターは言うまでもなくでろんでろんで猫かわいがり。

しかし、それにしても、あちゃらの人って何かといえば
シュガーだのスイートだのハニーだのバターカップだのって呼んで可愛がるけれど・・・・痛風になるぞ。

でも、そう言いたくなる気持ちはわたくしにも、充分理解できた。

なんか、お人形が動いているみたいなんだもん。

可愛い。

マジ、可愛い。

無敵!!

(大事なことなので、2回言いました)

双子は、最初の方こそもじもじしていたものの、あっという間に、わたくしに慣れた。

日本でも、眼鏡とデブは、子供にもてる。(つまり、わたくしのことだ。)

アメリカでも、子供にもてる、わたくし。

・・・は、いいのだけれど、男の子の方が、やんちゃ盛り。
とにかくわたくしが珍しくてたまらないので、髪の毛引っ張ってみたり、後ろから飛びかかってきてみたり。

まあ、子供のすることだ・・・。

・・・・おっと。

・・・・ちょっと、痛いぞ。

・・・・こらこらこらこら。

優しくちょっとたしなめてみるものの、一向に効果なし。

これが日本だったらさわたくし、速攻、注意しますよ。

怒りますよ。

「そんな事しちゃダメでしょ」

でもさ、う~~ん、これはどうしたもんかね。

だーって

シュガーだの
スイートだの
ハニーだの
バターカップだの言っている奴に、今夜の宿を頼んでいる訳だしさあ。

嫌らしい話だけれどそういう計算がさ、働いちゃう訳よ。

嫌だわ~~~

小市民だと思うでしょ??

小市民なのよ~。

しくしくしく。

そうしたらピーターがわたくしの様子に気が付いて、言った。

「tonchiki、叱ってもらってかまわないよ。しつけは、大事だからね。」

おう!!!
さすがだ、ピーター!

さすが、教師を生業にしているだけは、ある。

だよね。
一宿一飯の恩義とこれとは、別問題。

・・・ててててっ!!!!

だから、引っ張るなって!!!!

そこで、わたくしは、男の子の方にくるりと向き直り

目いっぱい目と口を開いて、ドスを効かせて、日本語で言った。

「わ~~~るい子は、いねが~~~~!!!!」

そう、なまはげtonchikiバージョン。

男の子、固まる。

絵に描いたように、固まる。

固まって

固まって

小さな声で

「・・・ダディ・・・・」って言うと、ピーターの後ろに、だだだだだッ

隠れちまった。

おっほっほっほっほ

みたか!
日本のリアルなまはげの底力!!!

「・・・」

ピーターのシャツをしっかり握って隠れている男の子

「どうした?
何か、怖いものでも見たのかい??」

「・・・・」

わたくしを指さす。

「大丈夫だよ!tonchikiは、優しいよ。」って、ピーター。

「ほら、優しいお姉さんだよ。」

首を振る男の子。

そして、言った。

彼は、はっきりと。

「・・・・デヴィル・・・」

「優しい悪魔」

その称号をまさかアメリカでもらうとは思わなかったぜ。

やれやれ。

・・・にしても、発音いいなあ~~。
勝利したようでも、英語の喋れないわたくしは、やっぱり完全には勝てていないのだった。

ちぇっ!!!


(これまでの事は、 マガジン Let's go TONCHIKI  で。

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