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食品のトレーサビリティとブロックチェーンの活用

Food and Agriculture Organization of the United Nations
Rome, 2019

近年消費者の食品への関心が高まっており、小売店などで食品に生産者の表記がされている事を目にする様になった。
しかし生産者が分かったとしても食品流通全体の流れの一部であり、全体の工程が安全担保されている訳ではない。今回は食品サプライチェーンでのブロックチェーンの活用を調査してみた。

はじめに~サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、食品、製品の原材料の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの一連の流れのことをいう。
(Supply=供給 Chain=連鎖)

サプライチェーンマネジメント(SCM) wiki

トレーサビリティ説明

原材料や生産過程に関する情報を追跡可能とする事で、商品の出どころをはっきりさせ偽装を行っても検知できる様にすること。
(trace=追跡する ability=できる)

トレーサビリティ:wiki


食品のトレーサビリティーの問題

食品偽装問題などから食品の生産から流通までの過程を明確にするトレーサビリティは多くの消費者から注目されている。日本のみならず自給率の高いアメリカでもスーパーマーケットには外国の輸入品が並ぶのは少なくない。遠く離れた産地から新鮮な食材を安全に輸送する事は容易ではない事は確かである。にも関わらず生産から加工、輸送や小売りまで、食品に付随する情報は未だアナログでの対応が主流で、製造過程で問題が起きた場合も追跡が困難。これは食品偽装も行う事も容易に出来る状況である。

2020年にも食肉偽装が発生している:yahooニュース

2017年から複数回発生していた、米国でのロメインレタスが原因とされる食中毒。O157の感染ルートが特定できず現在も答えが出ていない。

日本の多くの小売り店側の努力で消費者に安心してもらうため、生産者の写真付きのポップを付けていますが、企業努力は非常に尊い事で信頼度は比較的高いとは思うが、生産以降の工程で感染する事もあり、絶対的な内容ではない。根本的な解決策が必要である。


ブロックチェーンの活用で変わるトレーサビリティ・システム

このような状況でブロックチェーンを関係者がアクセスできる改ざん不可能なデータベースとして活用し、サプライチェーンの透明性を高めようという取り組みが始まりつつある。
既存のトレーサビリティ・システムでは、各製品に対して個別に作業履歴を人が記録する事となり、悪意の有る人物であれば改ざんは、容易に行える。また、製品のサプライチェーンでの業者の数は多岐にわたり、それらを一貫して管理するのは困難で、さらにシステム化も遅れている業者もあり、紙での取引履歴に頼るという何とも脆弱な仕組みで運用されているのが実情である。
この様な状況をブロックチェーンを導入にする事で、「一度記入された情報は改ざんできない」「書き込まれた内容は何時でも誰でも確認ができること」が可能であり、現在のトレーサビリティの課題解決の候補として注目されている。

ブロックチェーンによるトレーサビリティの事例

IBMのfood trust

食品のトレーサビリティ確保の為IBMと海外の大手食品メーカーはブロックチェーン技術を活用したfood trustというトレーサビリティシステムを開発している。
参画企業は
ウォルマート
ネスレ
ドールフード
ユニリーバ
等、世界の食料品大手企業が参画している。

みずほ情報総研とローソン実証検証を行う
みずほ情報総研とローソンはサプライチェーン管理をブロックチェーンベースのプラットフォームで実証実験を2018年4月から8月までの5カ月間行った。いくつかの問題が発覚した為今後検証を通じて実用化が進められる。


国連食糧農業機関(FAO)がブロックチェーンに注目
FAOは世界の人口が増加し、気候変動が深刻化する中でICTに着目する。ブロックチェーンを要素技術のひとつとしてあげている。

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\https://www.itu.int/pub/D-STR-E_AGRICULT.03-2018#:~:text=E%2DAgriculture%20in%20action%3A%20Blockchain%20for%20agriculture%20%2D%20Opportunities%20and%20Challenges,-Shopping%20cart&text=This%20publication%20aims%20to%20demystify,use%20of%20blockchain%20for%20agriculture.

最後に、

世界的に見ると食料問題は人口増加や環境変化による多くの問題を抱えている。食料問題と並行し食の安心安全を担保し流通させるには、テクノロジーによる管理は必要不可欠な時代になっていると感じる。

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