木戸楓

毎日感じたことを短編小説に書いて投稿します。ジャンルは様々です。 ちょっと空いた時間に…

木戸楓

毎日感じたことを短編小説に書いて投稿します。ジャンルは様々です。 ちょっと空いた時間に読んでください。 コメント貰えると喜びます。イラストもたまに描きます。好きな食べ物は梨です。

最近の記事

短編小説「異邦人」③(終)2022・5・16

二〇二二年五月一六日  「離してくださいって!幽霊ですよ!呪いますよ!もー死なせてくださいよー。」  大学生二人組が女と男の小競り合いを見つける。そのうちの一人が明らかに男に向かって叫ぶ。 「おーーーい!智也じゃねえか!久しぶり!お前こんなとこで何やってんだよ。警察のお世話になってんのか?おう?」  男はものすごく萎縮してこう呟いた。 「お、おつか、お疲れ様です…。」 「元気そうで何より!!またサークルにも顔出せよ!」 「あ、はい。さようなら。お疲れ様です。」

    • 短編小説「異邦人」②2022・5・15

      二〇二二年五月十五日  「ちょっと待ったああ!!」女が叫びなら男の方に駆け寄っていく。男はもう少しで都に降り得そうだったのに、と肩を下ろす。 「何すか?何すか?後ちょっとだったのに。」 「ごめん。やっぱビルで死んでくれへんかな?君は確かに私の管轄内で死のうとしてくれた。それはありがとう。だけどな、風!風の事考えてへんかった。君が飛び降りたのはあっち側やけど、風に流されてこっち側に落下死する事だってあるやんか!な?そうなったらやっぱりまずい。」 「いやです。無理です。」

      • 短編小説「異邦人」①2022・5・14

        二〇二二年五月十四日  男は鴨川にかかる橋の上を歩く。中央付近で立ち止まり、靴を脱ぐ。ポケットから封筒を取り出し、靴の上に置く。  川の流れは見暗くて見えない。ゴーゴーという音が聞こえる。  男は橋のヘリに掴まり、足をかける。 この頃外に出ていなかったせいで、足がギチギチと鳴る。虫が時折顔にぶつかってきては、横へと流れていく。  冷たい風が吹く。川の流れは一層激しくなる。 「潮時だね。」  男はそう呟き、橋の上から飛び降りようとした。 「ちょっとーーーー!そこ

        • 超短編小説「自転車泥棒」2022・5・13

           私のバイトは自転車撤去である。道路に寄せてある放置自転車を、トラックの荷台に乗せて撤去する単純な仕事だ。携帯端末に放置自転車を確認した人から、位置情報が送られてくる。彼らも同じように役所に雇われている。  「放置されている自転車は歩行者の通行の邪魔になります。視覚障害者やご高齢の方の障害物にもなります。素早く撤去しましょう。撤去されない場合は市の条例により撤去します。素早く撤去しましょう。」  一日中、同じ文言を喋る機械が頭上で鳴り響いている。街行く人々の視線が痛い。こ

        短編小説「異邦人」③(終)2022・5・16

          超短編小説「私、セール。」2022・5・12

          二〇二二年五月十二日  私はさっき友達に嘘をついた。 「おばあちゃんが倒れた。」と。 お風呂上がりで柔らかくなった彼女たちの表情が、一瞬にして固くなった。それでも私は続ける。「今の電話実はお父さんからで…。おばあちゃんが倒れたらしい。ねえどうしよう。え、まじで本当にどうしよう。」私は可哀想。せっかくのお泊まり会なのに、楽しみにして新しいパジャマもみんなで揃えたのに。お菓子と酒とアイスもたっくさん買ったのに。ねえどうしよう。 「え、大丈夫なの?早く行きなそれは。」 「

          超短編小説「私、セール。」2022・5・12

          短編小説「おしいおいしい」2022・5・11

           麻婆豆腐。辛いもの。 かき氷。七月から八月末に食べることが多いため夏の風物詩として考えられている。冷たくて甘いもの。 お寿司。ピンからキリまである。その値段はシャリやネタに使われている食材費、誰が握るか、お店の立地と雰囲気のなどの総合評価によって決められる。酸っぱい。 うどん。白い麺と黄金色の汁が特徴的。うまい。 私がそういった一般常識を持ち合わせていないと気づいたのは、つい一週間ほど前のことである。食事をした後にみんなが言うような感想が、私のそれとは違うらしい。私

          短編小説「おしいおいしい」2022・5・11

          自己紹介

          木戸楓です。毎日短編小説を投稿します。よろしくお願いします。 ー基本情報ー ○木戸楓(きどかえで) ○好きな場所は夜の御池通り ○ココア好き ●子供の頃の夢はフィギアスケート選手 ○挑戦したいことは大食い ●大学生 よろしくおねがいします。

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