真空地獄車

 タイトルに意味などない。求めてはいけない。この見切り発進な文章をどこまで続けていけるかは、ひとえに私の文才にかかっているわけだが、期待はできそうにない。真空地獄車とはあてなく脳内を回転させることで、創作に対する意欲を削り、最終的に筆者と読者にキックをかます必殺技である。
 とはいえ、テーマがなければ始まらない。最近、一部界隈で話題になっている「千鳥・大吾によるデニムいじり問題」にしようか。発端はテレビ千鳥で、大吾さんが自腹で服を買うという番組企画で、デニムジーンズを試着するシーン。ウエストから裾までジッパーがあり、それを「正面ち〇ぽ出し変質者」とボケたのである。字幕でも表示しており、「サリバンに言うとってください。剥かれますと」とブランド名もいっており、番組の企画としてもリスペクトにかけていたかもしれない。
 同ブランドのデザイナー、柳川荒士氏はこれを受け自身のインスタグラムで「番組でこのような扱い方をされた事が残念でしかたない。創設から20年、妥協することなく少しづつ築き上げてきたブランドイメージを、自分の達の笑いの為に一瞬にして踏み躙られた事が本当に悔しい。これからも店頭でこの商品を売っていくスタッフの気持ち、何よりこの商品を買ってくれたお客様の気持ちを考えると本当に心が痛い」と反応した。
 この柳川氏の反応に対し賛否あるようだ。加えていつものようにブランドを馬鹿にするような暴言も飛び交っているし、千鳥のファンと思われる連中が柳川氏に対して誹謗中傷を行っていたり、反応したことによる二次災害も発生している。反応にたいして、無視するべきだったという意見もある。
 合理的に考えれば、「無視」は正しい。しかし、柳川氏の気持ちを考えれば、感情的になっても致し方ない。とも思える。
 ファッション業界は流行りすたりのサイクルが早く、数年で消えてしまうことも珍しくない。そもそもデザイナーズは市場が小さく、客は富裕層か文化的教養度の高いファンなので、新規参入のハードルが高い。それを20年もの間支持されつづけるのは、生半可ではない。デザイナーの柳川荒士氏をはじめ、多くの人の努力が数々のアイテムとなって結実している。
 きっと、怒りを抑えることができなかったと思う。もちろん、商品や作品を世にだした瞬間から、あらゆる価値観によって批評され、表現されることは宿命である。同時に、反論したり感情を表明することも自由。ただ、それだけのことだ。両者に法的瑕疵がないかぎり、それ以上でもそれ以下でもない。どちらかが正義で、悪であると決めつける必要はない。
 さて、真空地獄車もこれで限界。今日のディナーは蒙古タンメン中本ということである。こまったら五目味噌タンメンを頼めば無問題。合掌。

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