株は何銘柄に分散投資するべきなの?
投資をする時に、毎回1銘柄だけに投資をしているとどこかで大失敗し、これまで稼いだお金をすべて失い事になるかもしれません。「卵は1つの籠に盛るな!」投資では分散投資が欠かせません。
でも一体何銘柄程度に分散すればよいのでしょうか?
私は「世界標準の資産の増やし方」の中で、『何もしなくてもよい資産も合わせて全部で20種類以内、特定資産の中での銘柄数は5銘柄程度が管理できる範囲ではないでしょうか。』と書いています。
理由は
1. 中途半端に投資していると、投資先の数は増えがちですが、投資先が増えると、その選別における質は確実に低下する。
2. 資産運用を始めたら、必ず自分の資産の分散状況と個別資産の状況を管理する事が必要ですが、20種類以上になると管理しきれない。
などです。
実際私の経験では、アナリストに20銘柄をカバレッジしてもらうと、新米のアナリストでもかなりの精度で分析をすることが出来ます。
しかし、カバレッジ銘柄が増え30銘柄近くになってくるとベテランのアナリストであっても様々な見落としが生じます。
プロであっても20銘柄を超えると大きくモニタリングの精度が落ちるわけですから、他の仕事をやりながら管理するのに投資先が20を超えるようなことがあれば大変という事です。
それでも投資先が少ないとリスクが高そうで心配!
買いたい銘柄が沢山ある!
という人もいるでしょう。
皆さんは機関投資家が分散投資を基本としており、科学的にリスク・リターンの関係を最適化していると言っているので、なんとなく分散投資が良いと思っているかもしれません。
しかし、米国でもアクティブ・ファンドの保有銘柄数が増え始めたのは1970年代に入ってインデックス・ファンドが誕生してからです。
ちなみに経済学者のケインズはケンブリッジ大学の基金を運用していたのですが、平均保有銘柄数は46、ところが一部の銘柄にウェイトが偏っており、リスクの大きさは17銘柄への均等投資と同程度だったと言われています。
バリュー投資家のベンジャミン・グレアムはやや多く76銘柄、ピーターリンチも保有銘柄は多いですが、大半の銘柄が備忘録的に保有しているだけで、極めて少数の銘柄に集中投資されています。バフェットも集中投資で有名ですね。
運用者や資産クラスの数を増やす分散化は理に適っているが、個別ポートフォリオ内の過剰分散、特に銘柄選択の場合には効率的でないという考え方が、世界の資産運用業界では一般的です。
ちなみにポートフォリオ(個人投資家の方でしたら保有銘柄)の標準偏差については理論上の計算に基づくと、1銘柄の標準偏差と個別銘柄間の平均相関性を仮定する事で求められます。
1銘柄当たりの標準偏差を50%、平均相関を0.08などと置くと、3銘柄にするだけで、約30%、5銘柄だと25%、10銘柄だと20%強、20銘柄でも20%程度で、その後は1000銘柄になってもほとんど下がりません。
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