自動車メーカーで4年間働いた実際のところ~【その1】 入社から配属面談まで

 初めまして。まさきよと申します。
 サラリーマンとして働いて早11年目。2回の転職を経て、現在はエンジンの開発をする仕事をしています。

 私は過去に4年間ほど自動車メーカーで働いていました。
 昨今はコロナの流行や半導体不足による工場の稼働停止、EUのエンジン搭載を2030年以降販売禁止する措置の発表など、大きな転換期を迎えた業界ですが、私の働いていた頃(2013年頃)は震災の影響で国内の市場は若干冷え込んでいたものの、どんどん途上国向けの自動車の需要は増えていき、まだまだ内燃機関の需要はなくならないぞ!という感じで、入社できれば将来安泰は約束されていた業界の一つでした。 
 当時EVやe-fuelなどは、'そんなものもあるんだ'ぐらいの認識で、主力はやっぱりガソリンエンジン・ディーゼルエンジンで、これからどんどん世界中に生産拠点を増やしていくんだろうな~と新入社員の私をはじめ、皆そう思っていました。

 そんな時代をいち社員が働いて感じた体験談?みたいな記事を書こうと思います。新卒で入社してたった4年間ほどではありますが、入社前後のイメージの違いや実際はどんなことをしているのか。20歳そこそこの若造が感じたことを忘備録的につづっていこうと思います。
 初めて文章を投稿するので読みにくい部分もあるかと思いますが、自動車メーカーに入社を希望している方などに読んでいただけたら嬉しいです。

入社から配属まで

・入社

 私が入社したのは2013年。学校推薦枠で某自動車メーカーに内定しました。会社によっては高専卒は高卒枠だったり大卒枠だったり様々ですが、私は全国の事業所に転勤のある総合職(大卒枠)で採用されました。
 私の入社した会社は自動車メーカーとしては後発の会社で「町工場から大企業になった叩き上げの会社」というイメージを世間からも持たれていて、フラットな会社だったためだと思います。
 同期は約360人。そのうち高専卒が30人程で大卒が200人。大学院卒が130人程で、リーマンショック前は毎年1000人近く採用してたことを考えるとかなり少ない人数といえます。
 私は車が好きで入社したこともあり、技術系の同期は車好きだらけなんだろうかと思っていましたが、ふたを開けるとそこまで多くはなく、車好き3割、安定志向6割、その他1割ぐらいの割合で、同じ車好きが少なくて少しがっかりしたことを覚えています。

・研修

 4/1の入社式を終えた新人たちはさっそく研修が始まります。
 第一段階の人事研修は一週間ほど、集合施設で朝7:30から21:30まで缶詰で行われます。研修の内容自体は偉い人のありがたいお話やグループワークなど、よくありがちなものですが、何しろ拘束時間が長い!そのうえ次の日の研修の課題を出されるので寝る暇もないぐらいでした。
 みんな缶詰にされているホテルに帰ったら、机もない中ベッドの上で必死に課題をこなすのですが、今思えばあの大量の課題を採点する人事も大変だと思います。本当に人事が課題の内容を見ているかどうかわかりませんが…
 就業時間後も寝る間もなく課題をするなんて、令和ではなかなか許されないような研修内容でしたが、フレッシュな若者たちは必死で頑張ります。今後の企業人生を左右する重要なイベント”配属面談”のために。

・配属面談

  人生を左右する~とは言いましたが、実際には入社のところまでで配属はおおむね決まっています。
 各部署の部門長が今後のプロジェクトのボリュームや、定年退職者の後継育成などを加味した必要人数と、新卒配属者に求める能力をまとめて人事部に提出し、需要と供給がマッチングするように配属を決めていき、最後に各部門長が細かいすり合わせをして決定となります。
 何百人もいる新卒採用者を、いちいち各部門の代表が出てきて面直ドラフト会議してたらそれだけで数か月かかりますから、冷静に考えれば当然のやり方です。
 しかし、ピュアな新卒社員たちは、「配属はもう決まってるって先輩が言ってたぞ」なんて話をしながらも、すこしでも希望の部署に行こうと必死で配属面談のための台本の考案と面接シート作成を頑張ります。
 実際配属における、やる気・熱意枠は完全に0ではなくて、配属希望が通る場合もあり、同期も「先輩は希望の部署を熱く伝えたら行けたらしい!」と鼻息を荒くしてしゃべっていました。熱意枠を0にしないことで、社員のモチベーションを保っているのだと思います。

・いざ面談へ

 配属面談は配属予定候補の部署の担当者が各部署5名と人事1名が座っていて、6人の面接官vs自分という形で面接が行われます。持ち時間は30分。
 今思えば自分の今後40年余りの企業生活が突然の30分一本勝負で決まるかもしれないなんてたまったもんじゃないですが…
 面接ブースは10個ほどあり、機械系出身は1~6、電気系は7~8、IT系は9で事務系は10みたいな分け方で、大枠の業務別に振り分けられます。順番に時間が決められていて、一人ずつブースに入っていきます。
 やっぱり一番人気があるのは設計や研究開発部門で、俺の考えた最強の車を作りたい!みたいな話をみんな熱く語っていました。
 私はどちらかというと古くからある産業用の汎用エンジンの開発をしたかったので、面接シートにその旨を自分なりに全力でアピールして書きました。
 いざ、私の番になると、私がブースに入ってきていきなり、鋳造部門の方の目に留まったらしく、
「君のようなガタイのいい奴を求めていた!君には鋳造しかない」
 と言い切られて鋳造部門の話を熱く語られ、30分はあっという間に終了しました。実際、私は同期の誰よりも身長が高かったのでそういわれると否定できないのですが…
 大企業でも意外と適当だなあと思いながらも、学生時代も製図は得意なほうだったからいいかぐらいで気楽に考えてました。

・次回

 今回は少し短かったですが、次回以降
  ・工場実習/販売実習
  ・正式配属先の様子
  ・実際の業務と理想とのギャップ
 みたいな順番で暇を見つけて書いていこうと思います。

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