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景気が底堅いアメリカ内需の強さ

2023年、日本の輸出額は、
アメリカが中国を上回って2019年以来の首位に。
輸出入総額では2006年以来の首位になりました。

景気が停滞している中国に比べて、
景気が底堅いアメリカの強さとは何か。
歴史の観点から見ていきます。

1760年代、
イギリスから始まった産業革命により

安価で安定した品質のイギリス製品が
世界各国へ大量に流れ込んできた。
このままでは自国の産業が衰退します。

各国は
イギリスから技術者を招いて機械生産を始め、
イギリスから機械を輸入して、
自国の利益を守り、産業革命の道筋を作った。

イギリスに追随したベルギー、フランス、
ドイツ、アメリカ、ロシア、中国、日本は、
後発の産業革命国となり、

国外から原材料の供給を求めて、
他国家や民族を支配する帝国主義政策を展開。

つまり、
生産と販売を行う資本主義国と、
原材料供給を行う地域に世界を分業しました。

独立宣言(1776)からパリ条約(1783)を経て、
イギリスから独立を果たしたアメリカでは
国内で産業の分業が進んでいました。

・北部_商工業
 ニューヨーク、ペンシルバニア州など

・南部_奴隷制による綿花・タバコの大規模農園
 メリーランド、バージニア、ジョージア州など

・西部_開拓農民による農業
 ワシントン、アリゾナ州など

南部は、イギリスを含むヨーロッパ諸国に
綿花を輸出してアメリカ経済を支えていましたが

イギリスの安価で安定した品質の商品が
輸入されてアメリカ北部の商工業が
衰退していく可能性が高まったため、

北部は、
アメリカとイギリスとの貿易に対して、
関税や輸入制限をかける保護貿易、
大規模農園の労働力となる奴隷制の反対を主張。

一方で南部は、
自由貿易と奴隷制の存続を主張したことで
南北戦争(1861-1865)が起こりました。

結果、無償で土地を与える法令により
西部を味方にした北部が南部に勝利。

その後、
南部の綿花で北部の工場が衣服を作り、
人口増加した西部で消費される
国内需要の好循環が起こりました。

この内需こそが、
アメリカの景気が底堅い起源です。

その後、
東西をつなぐ大陸横断鉄道を1869年に開通し
イギリスを抜いて世界一の工業国となりました。

また、
オスマン帝国とのクリミア戦争で財政が厳しい
ロシア帝国からアラスカを1867年に買収したり、

西部開拓が進み更なるフロンティアを求めて
太平洋に進出するなど、
大陸国家から海洋国家となり発展を続けました。

2023年のGDPランキング(米ドル)
※国内総生産=国内の利益
1.アメリカ 27兆3578億ドル
2.中国   17兆6620億ドル
3.ドイツ  4兆4573億ドル
4.日本   4兆2129億ドル
5.インド  3兆5720億ドル
6.イギリス 3兆3447億ドル
7.フランス 3兆317億ドル
8.イタリア 2兆2555億ドル
9.ブラジル 2兆1736億ドル
10.カナダ     2兆1400億ドル

海洋国家として、国内で原材料を供給し、
国内需要で経済が回っていることが
アメリカの景気が底堅い理由といえます。

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