4時44分、444字。
風がごうごうと吹いている。真夜中だ。
時計の針はもう少しでピッタリ重なる。
隣の空き家に貼り付けられたトタンが時折ガタガタ揺れて、私のまぶたを覆っていた微睡みを蹴っ飛ばしていく。
ごごごご。がたん。ぶるぶるぶるる。
からっぽな夜に風の塊が通り抜けてゆく。
布団から抜け出して、まだどこかに漂っている微睡みを振り払うようにカーテンを引いた。
外は思った以上に明るい。
満月はいつだったか。少なくとも今日ではない。はず。
窓に額を押し当てて風の音を聞く。
ごごごご。ばば。ぶぶぶぶぶ。
窓はぬるくなって、ひんやりとした気持ちよさも額に吸い込まれて消える。
鍵を下ろして窓を開く。
むわ。
風はそこまで強くない。
春の夜の湿った風が部屋に入って、背中を撫でて、どこかへ。
大丈夫。大丈夫なのでそっとしておいて。
足の裏がじんじんする。
むず痒さと、熱さと、これはなんだろう。
心地良さもあり、ちょっと気持ち悪くもあって、窓を閉める。
春はもう少し先だったのかも。
眠気はあるけど、今日は寝れないだろうなと自信を持って、もう明日だった。
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