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肩こりは社交ダンスで解消できる

ある時期、私は「ダンス喫茶」なる店でアルバイトをしていました。そこは午後から深夜までオープンしていて、社交ダンスを踊れる広めのスペースがある店でした。場所は千葉市郊外のとある駅前です…。

今回は、遡ること20年以上前に体験した話を記します。
(この記事は解剖学をわかりやすく説明するため比喩を用いている点をご了承ください)

ダンス喫茶ってどんなところ?

当時(1990年代後半)、社交ダンスと言えばウリナリと杉本彩さんの芸能人社交ダンス部がテレビで放映されていた時期でした。そのお陰もあり、社交ダンスを踊れる場所は比較的簡単に探すことができました。

私が働いていた店のママさんも、サークルでダンスを始めたところから自分で店を始めるまでに至りました。素人の趣味と言えばそれまでですが、社交ダンスへの憧れがいつの間にか仕事になっていたようです。 

広さはおよそ20坪(600平方メートル)。
そこにカラオケセットを兼ねた音響の機械とミラーボールが据え付けられています。そうなんです、なぜか必ずあるのがミラーボール。

私は、通常の営業時間は踊りに来たお客さんの相手をしていましたが、やがて営業前の時間帯にダンスサークルで教えるようになりました。
芸は身を助けるとはうまく言ったもので、指圧の専門学校に通うかたわら社交ダンスで生計を立てていたのです。

ダンス喫茶に初めて来るお客さんの気持ち

ダンス喫茶に初めて来る方は、ほとんどの場合が知人に連れられて来るパターンです。
「友だちに誘われて」
「少し体を動かしたいから」

それだけの理由なら、ほかにも体を動かすことはいくらでもあるでしょう。
社交ダンスを始めようと足を踏み入れる深層心理には【憧れ】の気持ちがあると言って過言ではありません。

・あの先生と踊ってみたい
・キラキラした衣装を着て踊りたい
・優雅な音楽に合わせて体を動かしたい

男女を問わず、およそこの3点に集約されるのではないでしょうか。

しかし、社交ダンスは敷居の高いものという印象は以前も今も変わりません。先生が近くの公民館に来て数人でダンスを習う、いわゆるサークルのレッスンという形が入門者にはよくあるスタイルです。

マッサージ師から見た肩こりと筋肉の関係

私が持っていたサークルでは日曜日の午前中、営業前の2時間ほどの間にお客さんにダンスを教えていました。教えると言っても、当時を振り返れば家庭教師に毛の生えたようなもの。20代の若造によく付き合ってくださったものと思います。(あとから考えると、店の営業としても有効でした)

閑話休題。
私たちは日頃の作業、例えば家事や仕事をしているなかで、ほとんどの動作が腕を肩より下にさげて動かしています。

キーボードやマウスを扱う時も
料理をするときも
買いもの帰りに荷物を持つときも

例外的に、洗濯物を干すときや電車のつり革につかまる時に肩より上に腕を挙げますが、それ以外はほとんどが腕を降ろして作業します。そしてこれが、特定の筋肉を使い込んでコリができてしまう原因のひとつです。

それは、チームで仕事をするときに似ています。
チームリーダーとがんばる数人のメンバーがいて、うまく手を抜くヤツがいる…。そうするとチーム内がギクシャクしてストレスが溜まる。

肩こりを人間関係に置き換えると、そんな感じです。
特定のがんばっている筋肉と、普段働いていないサボっている筋肉。
負荷がかかるのは、いつもかんばっているヤツなんです。
そして、ワーカホリックな人は休息をとるのが下手なように、がんばりすぎている筋肉は手を抜くことを知りません。つねに自分ががんばらなきゃと緊張を強いられて、コリッコリになっています。

筋肉の特徴を知ると見えてくること

ところで、筋肉の特徴を車に例えるとブレーキがないことなんです。
脳から出る指令は「つねにアクセルを踏め!」
休もうとするときは、アクセルを踏むのをやめることなんです。

整体やマッサージを受けに行くと「力を抜いてくださいねー」と言われたこと、あると思います。でもあの言葉、所詮ムリなんです。
だってブレーキがないんだから…。
セルフケアで肩こりを和らげるのなら、押したり揉んだりではなく凝っている筋肉をストレッチすることをお勧めします。

肩こりは社交ダンスで解消できる

社交ダンスは10種類あり、おおきくモダン(今はスタンダードと言います)とラテンに分かれます。どちらかと言えば私が得意なのはラテンのほうでした。そして、社交ダンスで肩こりが解消できるのも腕を自由に動かすラテンダンスの特徴です。

サークルは、最初に全員でストレッチから始めていました。
ラテン特有の動きができるように肩や腰、膝などの関節を柔らかくしておくためです。いきなり無理なポーズをしたら怪我をしてしまい元も子もありません。はじめて社交ダンスを習う人のなかには、体も硬く普段はほとんど運動していない、という方もいました。
それでも、普段使っていない筋肉を動かしてラテンのカッコいいポーズをとってもらいたい、そんな気持ちで10分ほどのストレッチを一緒にしていました。

ある日のサークルのことです。
ストレッチをしているお客さんをよくよく観察してみると、腕を上げるポーズをとるのがうまい人とそうでない人の違いは、鎖骨から伸ばして腕を上げているのか、肘から先だけを挙げているかの違いであることに気がつきました。
ふだん私たちは、腕を降ろして作業することが多いため手を高く上げることに慣れていません。イラストを描くときにも、腕はどこからですか?と尋ねると90%以上の人は「腕は肩から先です」と答えるでしょう。

しかし、解剖学の視点から見ると、腕のつけ根は鎖骨の内側(正確には胸鎖関節といいます)にあります。男性で言うとネクタイの結び目のあたり。
女性はネックレスのトップがくるあたりです。

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そこを意識するために手を当てて、反対側の腕をまっすぐ挙げてみます。鎖骨から腕が生えているつもりでしっかり伸ばしましょう!

…いつもよりも少し高く上がりませんか?
これが、普段サボっている筋肉を働かせて、がんばっている筋肉を休める簡単なストレッチです。
ポイントは腕を肩より高く上げること。
さらに、この状態で頭のうえで腕をグルグルと回してみましょう。
普段使っていない筋肉を使うため、最初はちょっとだけぎこちないかもしれません。そのうち慣れてくると、肩まわりがいろんな方向に動いてくるのを感じられればしめたもの!!肩こり解消に一歩近づきました。

Shall we ダンス!?

初めてダンスを習う方がよく言われるのは「歩くことができれば、社交ダンスは踊れます!」というセリフです。
音楽に合わせて歩くことで足腰や背中の筋肉が動きます。
そこに腕のつけ根から腕をあげる動作が加わることで全身運動になり、バランスよく筋肉が働いてくれます。

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リモートワークで運動不足を感じている昨今。
肩こりのあなたも、社交ダンスを始めてみませんか!

physical, mental, spiritual and social well-beingに生きるお手伝いをしています。2020.3に独立開業しました。家族を大切にし、一人ひとりが生き生きと人生を楽しめる社会が訪れるといいなと思いながら綴っています。