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【エッセイ】 なつかしい。

いくあてもなく書いていく。ただ、手が動くままに。

最近は、あったかくなってきたせいか、目覚めがいい。今が一番、過ごしやすい時期なのかもしれない。日中は暑く、夕方は涼しい。いい。すごくいい。ノスタルジーに浸りやすい時期な気がする。

ノスタルジーは郷愁ってやつ。どちらの言葉もかっこよすぎて実感が湧いてこないんだけど、「懐かしい気分」ってやつかな。「懐かしい気分」ってなに? と言われると、正直、説明が難しい。なんて答えればいいんだろうね。昔のことを思い出しながら、お風呂に入っているような気分って感じ。意味もわからず使っている。

そういえば、最近流行っている映画も、ある種のノスタルジーがキーワードになってる気がしない?

「スラムダンク」に、「仮面ライダー」。「フェイブルマンズ」に、「生きる」。これから「クリード」、「ミッションインポッシブル」も、「インディジョーンズ」も控えている。キャッチできていないけど、他にもたくさんあるんだろうね。

懐かしさと聞いて思い出す映画は、「クレヨンしんちゃん オトナ帝国の逆襲」なんだよね。この映画、本当に最高。まさに懐かしさと対峙する話。

おぼろげなんだけど、映画の冒頭でカザマくんか誰かが「懐かしいって、そんなにいいものなのかな?」って呟くセリフがあるんだけど、まさにこれだよね!

懐かしいって、なにがそんなにいいんだろうね? 

でも、最近、ウチは懐かしさに浸りたくてたまらなくなっている。

懐かしさを感じるのは、ある程度の大人になった証なのかもしれない。子どもにはもちろん「郷愁」なんて概念はない。「久しぶり」くらいは思うんだろうけどね。もし、5歳児が「懐かしいわねえ」と言っていても、ピンとこないもん。

「懐かしい」には、ある程度の年月が必要で、ある程度の年月を生きると、それなりに色々な人間と出会い、さまざまな人生模様を目の当たりにする。次第に経験が増えて、心のヒダが大きくなる。予測や対処ができるようになり、人間関係を円滑に進めるための言葉を手にする。「初めて」のことは少なくなるが、人生は過ごしやすくなってくる。

確かに、子ども時代は色々と大変だった。経済的な支援は親がしてくれるけど、毎日が事件の連発だった。初体験が多いだけでなく、言葉や概念との出会いもたくさんあった。世界は自分一人で出来ていると思っていたし、ウチの気持ちは誰もが理解してくれると思っていた。だって「こころ」という概念すらなかったんだもの。

いつ、ウチは「懐かしい」という言葉と出会ったんだろうね。

うまく説明できないくせに「懐かしい」の本質に触れていると勘違いをするようになったのは、いつからなんだろう。

「こころ」にしたってそうだよ。当たり前のように使っているけど、うまく説明できない。夏目漱石の本を読んでよねって感じ。でも、なんとなく概念を手にした気になっている。

あの頃、世界はどのように見えていたんだろう。

この頃の夕焼け空には、そんなことを思わせる美しさがある。熱中してしまう人生を冷やしてくれる涼しさがある。あの頃には戻れない。でも、あの頃感じた感動は、今でも自分の中に残っているし、これからもたくさん待っている。人生は面白いことだらけだ。

いくあてもなく書いていたけど、自然とノスタルジーのことを書いていた。

今日という1日の始まり。


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