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アルミニウムとアルマイト加工

こんにちは、チャン・キナニンジャ(@ninnin217)です。今回はアルミニウムとアルマイト加工処理について書いていこうと思います。
CO2のレーザー加工で唯一彫刻のみ対応している金属である、アルマイト加工処理がされているアルミニウム。なぜ?どうして?を掘り下げます。

■アルミってよく聞くけれどそもそも

アルミホイルにアルミ缶、一円玉。普段生活をしていてもなんとなく触れているアルミ。『あー、なんか軽めの金属でしょ?・・ん?金・・属?いいんだよね?あれ?』ってなりませんか。一体アルミって何なんでしょう。

まず、すごく基本的なところからですがアルミ=アルミニウムのことです。省略してよく呼ばれていますね。では本題。アルミニウムってなんのことでしょう。

■アルミニウムの作り方

まずアルミニウムの作り方と原料についてです。
原料は鉱石の一種であるボーキサイトというもので、このボーキサイトからアルミナと呼ばれるセラミックの1種を抽出します。
そしてこのアルミナを電気分解します。すると、アルミナはアルミニウムと酸素に分かれます。
こうして別れたアルミニウムを集めれば純度の高いアルミニウムの完成です。

■アルミニウムと呼ばれている物質は2つに分類できる

アルミニウムと一般的に呼ばれているものは、実は純アルミニウムとアルミニウム合金に分けられます。

純アルミニウム

99%がアルミニウムでできている、純度の高いアルミニウムのこと。アルミナを分解して取れるものがこの純アルミニウムです。(※性質上どうしても100%の純度のものは出来上がりません。)特に柔らかく傷つきやすいという性質があります。
1円玉はこの純アルミニウムにあたります。

アルミニウム合金

純粋なアルミニウムの他に金属を混ぜ合わせて作るアルミニウム。純アルミの柔らかさ等をを克服するために作られたものです。銅・マグネシウムなどの金属以外にもシリコンを混ぜることもあります。この混ぜ合わせる金属等の種類により、アルミニウム合金も細分化されてそれぞれ名前がついていたりもします。

さて、ここまでは大丈夫でしょうか?

・アルミ=アルミニウムのこと
・アルミの原料は鉱石ボーキサイト
・ボーキサイトから抽出したアルミナ(セラミックの一種)を電気分解すると純粋なアルミニウムが抽出される
・アルミニウム=純アルミニウム&アルミニウム合金の総称

簡単にまとめるとこんな感じです。
そして結局のところアルミと世間一般から呼ばれている物質は金属であることに間違いありません。
その為、純アルミニウムだろうがアルミニウム合金だろうが、CO2レーザーで加工をすることは不可能なのです。

えっ、冒頭でアルミなら加工できるって言っていたのに嘘つかれた・・・!とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、もう少しだけ記事を読み進めてもらえると嬉しいです。

■アルマイト加工

アルミニウムという物質は実は特に手を加えなくても空気中で酸化しており、ものすごく薄ーい膜ではありますが酸化皮膜を自ら形成しています。そしてこの皮膜のおかげで強度が高まったり錆びにくくなったりしています。
1円玉って滅多に錆びないと思いません?10円はえぐいのに。その理由がこの酸化皮膜というわけです。アルミちゃん優秀〜。

しかし、このアルミが自ら形成している酸化皮膜とはとっても薄いものであり、多少強度が上がったとはいえそこまでしっかりした皮膜ではないんですね。
なので、この酸化皮膜を人工的に形成しちゃおうぜ!って考えるわけですよ人間。それがアルマイト加工というものです。

アルマイト加工=人工的にアルミの表面に酸化皮膜を作る加工のこと

代表的なものだとMacbookの表面なんかがアルマイト加工ですね。何だかマットできめ細かい感じの見た目と言えばいいのでしょうか。アルミ製のおばあちゃんちにありそうな黄金のやかんとかもアルマイト加工です。
逆にキッチンで使うアルミのボウルなどはツヤツヤツルツルしてますよね。あれはアルマイト加工がなされていないアルミになります。何となくわかります?

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■アルマイト加工を彫刻で剥がす

このアルマイト加工というものはアルミの表面に酸化皮膜を形成する事というのはお分かりいただけましたでしょうか。
ものすごく正確にいうと、表面には成長皮膜が形成されアルミの素地側にも浸透皮膜が形成されるわけなのですが、とりあえずアルミの表面側になんかいい感じの膜が形成されるのねということが理解できればOKです・・・!
(※ちなみに、この酸化皮膜にはとても小さな孔ができており、ここに染料を浸透させることでカラーをつけることもできます。アルマイト加工すごい。)

こうして出来たアルミの酸化皮膜を実はレーザー彫刻は剥がすことが可能なのです。
素地のアルミニウムそのものにレーザー彫刻はできなくても、この表面に形成された皮膜を剥がすと言った意味ではかなり正確なマーキングが可能で、CO2レーザーの加工として推奨されています。
剥がした部分はもちろん凹になりますので、素地のアルミ自体は削れているわけではないのですが、素材表面は実質彫刻できたことになります。
めでたし・・・!

かなり正確に、また細かい加工ができますのでぜひ試してみてください。

■でも個人的に引っかかっていることがある

しかし、酸化したって金属は金属なんじゃないの?何で剥がせるの?というところが実は私引っかかってまして。笑
一応化学式なんかも踏まえて調べてみました。

冒頭でアルミニウムの作り方について説明したと思うのですが、アルミニウムになる1つ前の段階アルミナについてもう一度考えてみましょう。
このアルミナ(AL2O3)、セラミックの一種と紹介しましたが酸化アルミニウムとも呼ばれております。これを電気分解するとアルミニウム(AL)と酸素(O2)に分かれるんですね。

そしてアルマイト加工とはアルミニウム(AL)を陽極電解処理することで酸化皮膜を作ること。この皮膜の主成分、実はアルミナなのです。
確かに陶器やガラス類もレーザー彫刻できますし、これらもセラミックの一種ですので、アルミナが削れることに何の疑問もありません。

アルマイト処理をすることでできる酸化皮膜=セラミックの一種でありレーザーで削ることができるよ!ってことなんですかね。
別に化学を勉強しているわけじゃないので確実な答えではないですが、おそらくそんなところだと予想しました。また調べてみて、新しい情報があれば更新します!

■まとめ

今回はアルミニウムとアルマイト加工について詳しく書いてみました。
ちょっと難しいお話だったかも。笑
でも皆さんが覚えておけばいいことはただ一つ

アルマイト加工してあるアルミって彫刻できるのね!!!

ただこれだけです。以上。
またねっ


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