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「なおこ」の名付け親

 私のペンネームは、奈良の八重桜から取って「奈桜子(なおこ)」だ。だが、本名は「奈保子(なおこ)」という。

 これは両親が付けた名前ではない。両親が尊敬する方に頼んでつけて頂いたそうだ。だがその際に名前の由来を聞きそびれたらしく、現在も諸事情で気軽に連絡を取り合える状態ではない。

 私は自分の名前がどのような意味を持つのかわからないまま人生を過ごしている。

 自分の名前とは、自分のアイデンティティだ。初めて人と会う際に絶対に名前を見られるし、聞かれる。いわば自分の証明書のようなものである。

 友人たちに名前の由来を尋ねると、皆それぞれ答えてくれる。大体が両親や親戚が付けた名前だからだ。

「本当は『夏帆』って名前になるはずだったんだけど、お父さんがどうしても『ちか』がいいって言うから、『ちか』になっちゃって」

「『明日香』っていう名前を父が推してたんだけど、母が『涼』って名前をどうしても付けたいっていうからそうなった。おかげで名前だけ見られると男の子と勘違いされる」

 そういった名前に纏わる話を聞くたびに、若干羨ましくなる。私には、そういったエピソードが無いからだ。

 だが、私は自分の名前の持つ意味がわからないことを悲観したことはない。

 それは、自分の名前に込められた意味について、辞書で知ることとなったからである。

 私の名前は、保険の「保」を「お」と読む。これをいつも間違えられて「なほこ」と読まれたことが数えきれないほどあった。

 それがとても嫌だったので、何で「ほ」と読む漢字を当てたんだろうともやもやすることもあった。

 だが、「保つ」という言葉の意味を知ったとき、とても良い字を頂いたんだなと感動した。

 1  ある状態を変えないで続ける。
2  損なわれたり乱れたりしないように、ある状態を守りつづける。もちこたえる。維持する。
3  その状態が変わらないで長く続く。もつ。
4  自分の物として持つ。所有する。
5  天下を治める。統治する。

 この不安定な時代に、「守り、続ける」という状態がどれだけ大切なことなのかと感じた。不安定な気持ちになったりすると、自分の名前の中には「保つ」という意味を持った漢字がある。だから自分は大丈夫だと自分に言い聞かせている。本当に良い意味の字を頂いたと思っている。

 もう一つ自分の名前を好きになれる要素となったのは、昔のアイドルであった河合奈保子さんと同じ名前だということだ。

 自分と同じ「奈保子」ということで、興味を持った方だった。だが現在はほぼ引退されているので、ユーチューブで彼女の歌っている姿を見た。

 姿は愛らしく、美しい歌声。コメント欄には「奈保子ちゃんは性格が良い」という高評価のコメントしか書かれていなかった。

 自分とは別格の存在だが、自分が肯定されているようで、嬉しかったし、同じ名前を持った河合奈保子さんに恥ずかしくない人間になりたいと思うようになった。

 自分の名前に込められた本当の意味は、生涯わからない。だが、わからないからこそ、自分で自分の名前を肯定し、愛していくことが出来る。そう思う。

 私の名前が私を保ち、守り、支えてくれるのだ。

 

 



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普段は某企業でPRマンガを描く者。シナリオ、小説、漫画を描きながらOLをやっている20代です。 毎日漫画と詩をアップします。 映画、本、漫画の感想を徒然お話出来ればと思います。 歌い手 nana→@komobota705 お仕事依頼→mikaomero705@gmail.com
コメント (2)
名前に込められた意味を知ると、自分の名前がより好きになってきますね。
自分の名前を愛せることも素敵だと思います(°▽°)
剛さん、温かいお言葉ありがとうございます✨
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