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思いつきデザインで「結果を出す」ためにデザイナーがやるべきこと

そろそろ花粉の気配を感じ始めたみなさま、こんにちは。
LIFULLでデザイナーをしている きなみです 🦕

今回は、サービスデザインに携わるデザイナーが「お、ちょっと良いこと思いついちゃったかも😏 」となったときに取るべき行動について、私が携わるLIFULL HOME'SのiOSアプリを事例にお話ししたいと思います。

もしも、自分のやりたいデザインがなかなか実現しない…。自分がデザインしているプロダクトがいまいちイケてない…。と思っている方がいれば、この記事が少しでも楽しくお仕事ができるヒントになると幸いです。

さっそくですが今回紹介する実例はコチラ

端的に言うと、ナビゲーションバーをブランドカラーのオレンジからライトグレーにする変更を行いました。そしてそれに伴い主要画面のUIをチューニングし、カラー設計の見直しを行いました。

このカラー変更を私が思いついてから、チームに提案→施策化するまでに私が行ったプロセスを紹介します。


現状のデザインになっている背景を把握する


長い歴史のあるサービスなら、「こっちのほうが良くない?」と思いついたデザインに現状なっていない、または出来ていない理由がある可能性があります。理由があるのなら、まずその理由を解消しないとデザインが採用されることはきっとありません。

今回の場合、数年前にもナビゲーションバーを無彩色にする案は出ていました。しかしそのときは、ブランディングの観点で「LIFULL HOME'S=オレンジ」であることをユーザーに認知してもらうことが最優先となっていたため、想起率などを考慮してブランドカラーのオレンジが採用されていました。
そこから時が経ち状況も変わったため、今回はライトグレーを採用することができました。Yeah 🎉

当時のデザインを自身が担当していない場合は、前任のデザイナーや関わった他職種のプロジェクトメンバーにヒアリングしてみると良いと思います。

また、デザイン決定までの議論やプロセスを普段からドキュメント化する癖をつけておくと、人の入れ替わりが激しい現場でも当時の決定までのプロセスを見返すことができるのでおすすめです。
私は最近ドキュメント化の鬼と化しています👹


なぜ良いと思ったのか分解してみる


背景を調査し、思いついたデザインを妨げる理由がなさそう!となったら次はデザインを分解し、なぜそれが良いのかメリットを言語化できるように準備をします。

ちなみに、私が今回の改修のために打出したメリットは以下です。

その1:不要なアクセントカラーを減らすことができる
その2:ブランドカラーを、重要なアクションに使用できるようになる
その3:彩色面積を減らすことで、物件の魅力が際立つ(仮説)

それぞれ詳しくメリットを説明して行きます。
事例についての記事と合わせて読んでいただくと分かりやすいと思います。

メリットその1とその2
変更前のデザインではナビバーのオレンジの印象が強すぎることで「空室状況の問合せ」や「条件を保存」などの大事なボタンが目立たなくなってしまう問題がありました。
その問題の解消のためにアクセントカラーと呼ばれるブルーやブルーグリーンが使われていました。
ブランドカラーの面積を増やすことに伴ってブランドカラー以外の色も増えてしまっては、本末転倒です。
ナビバーをライトグレーにすることで、ブランドカラーを本来使うべきところ(=物件を探す上で重要な機能や情報)に使えるようになり、不要なアクセントカラーを減らすことができます。

メリットその3
色数を減らしブランドカラーやアクセントカラーの使い所を厳選することで情報の多い画面でもごちゃつき感が解消され、物件の写真や価格など必要な情報にユーザーの目がいくようになるはずです。
が、こればかりは検証してみないと正しいかどうか分かりません。
なので、これは仮説に近いメリットとして打出します。

極個人的な見解ですが、上記のように確実に得られるメリットと仮説メリットを分けて伝えることで提案したデザインに対する信頼感が損なわれにくい(デザイナー自身も、夢を語る人と思われにくい)です。


いろいろな人に見てもらって意見をもらう
ただしタイミングが大事

・簡潔に分かりやすくまとめる
・比較的みんなが疲れてない時に提案する
・色々な職種、立場の人に見てもらう

ついつい、背景やメリットなど熱をこめて手厚くまとめがちですが、日々の仕事の合間に目を通してもらうわけなので、目安としては1~2分くらいで「これ良さそうかもね」と思ってもらえるようにまとめます。
加えて、非デザイナーが理解しやすい言葉を選ぶのも大事です。

提案のタイミングですが、私はチーム全体の余力を感じるタイミングを狙います。間違っても、大きなリリースを控えてみんなが連日ハードに働いている時期には投稿しません(笑)

なるべく多くの意見をもらいたいので、意思決定者(PMやPOなど)を含めたチームみんながいるslackチャンネルに投稿します。

また、組織構成にもよりますが、私はアプリの開発チームに意見をもらっている裏でLIFULL HOME'Sのデザイン全般をとりまとめているアートディレクターにも「こんなの考えてるけどどう思います?」と投げかけておきました。

職種や立場が変われば、見えてる問題や事業状況の把握レベルも違うので、より多くの視点から意見をもらうことができ、効果測定時に出てくる結果の向上も見込めます。

いろいろな組織のキーパーソンに投げかけておくメリットは他にもありまして、これは大きめの会社あるあるかもしれませんが「この改修をする場合こっちの部署にも聞いておかないと…」となったときに「あ、それもう聞いてあります!」と言えてとってもスムーズです。


繰り返し伝えていくことでタイミングを狙う


ここまで準備したとしても、そのアイディアが即日施策化するとは限りません。実際、私がナビバーのカラー変更を提案してから施策化するまでは1年弱期間が空いています。

事業として優先すべきミッションがいくつもある中では、ロードマップに組まれてもいない効果が出る確証もないアイディアを即施策化することはなかなか難しいです。(確証があるアイディアなんてないんだけど)

だけど、繰り返し伝えていくことでメンバーみんなの記憶に残り、「そういえばこれ、デザイナーが言ってたあの対応をすれば解決するね」と思ってもらう機会が増えることで施策化しやすくなるので諦めずに伝えていくことが大事だと思います。しつこさ大事。


結局つくったもので評価される


「洗練された美しいデザインが必ずしも良い結果を出すとは限らない」ということは、デザイナーのみなさんが日頃から実感していると思います。
私が作り上げたデザインが一見、美しくシンプルだったとしても、遷移率やコンバージョン率などの具体的な結果につながる見込みがないならば、残念ながら自己満足になってしまいます。

プロダクトはデザイナーの自己実現のための物ではありませんが、一方で、作ったものが世に出て人の目に触れ、それがデザイナーの評価に直結することも事実です。

だからこそ、プロダクトとしての表層の美しさと使いやすさ、そしてビジネスとして達成するべき目標の全てが両立されたものをつくりたいものです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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