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転職があたりまえの時代に、同じ企業で10年働き続けるインハウスデザイナーが思うこと。

4月に入った日の朝、会社の同僚でもある夫がコーヒーを飲みながら、何やら指折り数えていたので「どうしたの」と聞くと、「……もしかして我々は勤続10年目に突入したのでは?」などと言うので「ハハハ。まさかぁ。」と言いつつ数えたら本当でした。

もう勤続10年目、でも、まだデザイナー歴10年。
「転職しなきゃ」と思っていた20代を振り返りつつ、転職しないという選択をしている今の考えをまとめておこうと思います。


飽きないんですか?

Webやデザインの業界で、何年も同じ会社にいるというのはめずらしいことなので、周りから「飽きない?」とか「まだ会社変わってない?」と聞かれることがあります。相手はただの世間話のつもりで聞いていると理解しつつも、気まずさを感じる時期がありました。

飽きない?と聞かれると、他のアプリをデザインしたいと思うことはあるし、アプリ以外の…たとえば紙モノのグラフィックや、ブランディングなどの勉強もしたい。私、飽きてるのかな? 停滞している……?

「飽きる」って、何も感じなくなり、意欲がなくなることを言うみたいです。

もっと他のこともやりたい!という気持ちはあるけれど、自分が育ててきたプロダクトに対して何も感じないとか、もうどうでもいい…って気持ちはないな。むしろアレもコレも良くしたいし、直したい。

まだ飽きてはなさそう。けれど、キャリアについては漠然と不安がある。
20代半ばから後半にかけて、そんな心境でした。

転職すれば全てうまくいくのか

“転職=ステップアップ” ”優秀な人ほど転職する” と言われる時代に、周りのデザイナーたちが△△社を卒業し、○○社にジョインしました!って投稿していたり、フリーランスになったよ!なんて報告を受ける度に、なんとなくドキッとしませんか?(私はしていました)

今の仕事が上手く行ってないわけじゃなくても、何か目に見える変化がないと停滞しているように感じてしまったり、今の仕事になんとなく「行き詰まり感」がある場合は尚更、早く何かアクションしないと!と焦ってしまうと思います。

私自身がそんな状態だったのですが、いま振り返ってみるとその「行き詰まり感」には必ず原因がありました。
例えば、自分のスキル不足だったり、コミュニケーションが上手く機能していなかったり、視野が狭くて見えてないことが多かったり。
そこに目を向けず「何かを変えれば上手くいく」というのは、あまりに投げ槍ですよね。

結果的に、仕事や職場を変えても変えなくても「行き詰まった原因」が自分で分かっていて何かしらの対策ができている場合は、今より確実にステップアップした状態と言えるのではないでしょうか。

なんのために働くのか

当時、漠然とした不安の中で、キャリアや働く意義を考えた時「他者に認められたい」とか「デザイナーとして成功したい」といった類の野心めいたものが私の中に全くと言っていいほどありませんでした。
「デザインしている時間が楽しい。好きだから。」というような感情はもちろんありますが、働く意義としてはしっくりきませんでした。
働く意義を言語化できず、他人とくらべて野心も薄いと自覚し、少し落ち込みました。

転機はいまから4年前、社名が「LIFULL」になったのがきっかけだったように思います。
この社名には、「あらゆるLIFEを、FULLに。」という意味が込められています。
会社が、内外に発信するメッセージもそれに合わせて変化していくうちに、「自分や周りの家族・友人が、より心地よく日々を送るためにサービスやプロダクトを作りたい。」と考えるようになりました。

丁度自分が結婚したり、家を買ったり、子供が欲しいなと思ったりするタイミングが重なり、人生に起こるイベントは、幸せなだけじゃなく色々な煩わしさがあるということを思い知って、より強くそう感じたのかもしれません。

自分事にならないとなかなかスイッチが入らない性分のせいで気づくのが遅くなりましたが、目の前にある仕事の意義を本当の意味で理解し始めたタイミングでした。

自分にとってなにが幸せか?

働く意義も目的も人の数だけ色々あると思いますが、ひとつ共通して大事にするべき基準は「自分が幸せか?」ということじゃないかなと思っています。

大体の人は人生の大半を労働に費やすわけなので、労働時間を前向きで快適な時間にすることで、自分自身の幸福度が上がってくるように感じます。

その方法も様々なので、具体的なことは言えないのですが、私自身は自分の中にある「正しさ」や「大切にしたいこと」にフィットする仕事を選ぶことが、自分の幸福度につながると感じています。

もっと他のデザインしたい!問題

今の仕事は私にとてもフィットしていて、自分に嘘をつくことなく取り組めるものなのですが、とはいえ最初に書いたように、もっと他のこともやりたい!という気持ちはどうしてもあります。

LIFULLのデザイナーは、それぞれ担当領域を持っていて、普段はそこに専門性をもってコミットしている状態です。

私はLIFULL  HOME'Sのアプリ領域が専門ですが、アプリだけを作っているのではデザイナーとしてのスキルの幅が広がらず、実現したいことに向けて選べる手段が狭まってしまう可能性があると感じています。

自身の仕事に幅がなく副業も禁止な場合、自ずと転職を考えると思うのですが、LIFULLでは社内の公募案件に手をあげれば普段やらないグラフィックデザインや、イラストレーション等の仕事に参加することができます。

さらに、兼業申請をすれば他社のプロダクト開発のチームにパートナー(業務委託等)として参加することも可能です。

実際、いままでに他社のパートナーとして、多くの人が利用しているレシピアプリのVIデザインに参加させてもらったり、ペット関連の新規事業立ち上げに伴うサービスロゴ名刺などのツールをデザインさせていただいたり、スタートアップ企業のBtoBアプリをゼロからデザインさせていただいたことがあります。

こうした経験のほとんどは、自身のスキルアップに繋がりますし、自社プロダクトやチーム運営にも活かせるので良いことばかりです。

人を育てるのも役目

デザイナーに限ったことではありませんが、組織で働く以上、自身の仕事や成長にだけ目を向けていては良い物づくりができません。

組織は生き物です。なぜなら、人間で作られているからです。
新しく入ってくる人もいれば旅立って行く人もいるなか、経験やスキルが様々なメンバーが集まって一つのチームを作ります。
そしてチームは不変的なものではなく、常に変わり続けます。

プロダクトは一人でつくっているわけではなく、それぞれが高いスキルを発揮した結果として生み出されるものなので、立場に捉われないフラットな姿勢でお互いのスキルを上手く引き出し連携しあうことで、プロダクトが成長していくのだと思います。

デザイナーは職業柄、人の表情や言動から、求めていることや感じていることを察することが得意な人が多いんじゃないかなと思います。
そういった特性を活かし中心に立って「人もプロダクトも育てていく」ということがインハウスのデザイナーには求められていると思います。

まとめ

勤続10年目をきっかけに、色々な視点で「働く」ということについて考えてみました。

長々と書いてしまいましたが、お伝えしたいことは大きく4点です。
もしも、以前の私のようにキャリアに対する漠然とした不安や焦りを抱えている方がいたら、思い出してみてください。

・働く意義を見つける
・自分の幸せを考える

・スキルアップを目的ではなく手段と考える
・他者を尊重し、スキルを引き出す

この記事が、デザイナーとして日々奮闘中のみなさまのキャリアの悩みに少しでも寄り添えていたら嬉しいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました🌸
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