見出し画像

Mountain Trail Running  ー山が教えてくれたことー

第2章 元サッカー日本代表 石川直宏

 「ミオンパシーの均さんです」
 「なんだ、それ笑。それじゃ全然意味わかんないだろ!?」
 「すみません。色々やられてるので何と紹介すればいいかわらなくて笑」
 達也をはじめ、私に近い人たちが誰かを連れてきたの紹介はだいたいいつもこんな感じで進む。
 「はじめまして。色々と研究している起業家で、昔はインターネットマーケティングで、今はホモ・サピエンスをテーマにしてます笑。えーと、なでしこジャパンのエースだっけ?笑」
 「いえ、まだレギュラーではありません。」
 「東京オリンピックでは中心選手になる素質があります!」達也がすかさずフォローする。
 「で、今日は何?栄養?筋肉?笑」
 「全部です笑。色々教えてやってください。」
 「色々って、話し始めると一〇時間は止まらないぞ笑。」
 そんな軽口を叩きながら、ニコルとの初対面は和やかに進んだ。私が話す内容は、アスリート界の常識では絶対に受け入れられない理論であり、理解するには思考の柔軟性と真のインテリジェンスが必要だと考えている。だから、軽口をたたきながら、相手の姿勢や理解度をはかる。たとえ相手がどんな有名選手であっても時間を無駄にしたいくはないというのが本音だ。ニコルは終始真面目な眼差しと、軽口にはそれとなく微笑む礼儀をわきまえた女性だった。「この子は頭が良い。」直ぐに彼女の特徴に加えた。サッカー選手には色々なタイプがいるが、実際に長くプレーしてきた経験から、先を読み瞬時に的確なプレー選択ができる選手が優れた能力を発揮できると考えている。ニコルのプレーはまだ見たことがなかったがきっと"上手い選手"なのだということは容易に想像ができた。
 「やっぱり最初は栄養からか?達也はすっかりサプリ信者になったしな笑」
 「プロサッカー選手時代の常識と、均さんの話はあまりにかけ離れていて笑。でも、お陰ですっかり体が変わったし、プロ時代を知ってる知人からも最近の達也は別人だなって驚かれますよー笑」
 「そりゃそうだろ。あれだけ知恵授けて施術もしてるのに、これで結果出なかったら呆れるわ笑」
 「籾木さんも怪我が多いの?」
 「はい。私だけじゃなく、女子サッカー選手は怪我ばかりなんです…」
 私は女子サッカーをサッカー場どころかテレビですらめったに観戦することがない。初めて観たゲームがあまりに過酷で、サッカーの戦術を楽しむと言うより、ボロボロになりながら必死にピッチを走り回ってる少女たちの、悲壮感が溢れるその姿に目が奪われた苦い経験があるからだ。華やかで逞しい男子サッカー欧州最高峰のチャンピオンズリーグとはあまりに対照的で衝撃的だったことを覚えている。
 「女子は大変だよね…。男子と同じピッチサイズと同じプレイタイムでサッカーをするんだから。」私のそんなそっけない返しに
 「彼女は前十字靭帯を二度も断裂してるんです…」ニコルが、一緒に連れてきた早稲田大学の学生で日テレベレーザのチームメイトの原衣吹を指してそう呟いた。
 「何歳?学生なら二十歳そこそこだよね?すでに二度もACLを断裂してるの?」
 「はい…。最近また膝の半月板の調子が悪くて…」
 聞くところによると、女子サッカー選手の怪我はとても多く、中でも前十字靭帯断裂という大怪我の発症率がとにかく高いらしいのだ。男子選手の前十字靭帯についてはこの二年で嫌と言うほど関わってきたが、女子選手については全く知らなかった事実に正直驚いた。
 「前十字靭帯の断裂は足関節(足首)の可動域制限が原因だよ。サッカー以外の他のスポーツではあまり断裂って聞かないよね。切るとしたらバスケットボールくらいかな?バスケットもステップワークで足首を酷使するから捻挫が絶えない。捻挫すると脹脛の筋肉を中心にロックが蓄積するから癖になる。サッカーは捻挫だけじゃなくボールを蹴る動作でも足首付近や脹脛にロックは蓄積するよ。そもそもボールを蹴る動作自体が打撲のようなものだし、ジャストミートしなかった時の負荷や相手とイーブンでボールを蹴り合う時などすごい衝撃だから筋肉は伸張反射でロックしちゃうね。前十字靭帯って断裂する時はどんなときだと思う?」
 「ジャンプの着地とか、体勢を崩した時とかですか?」
 「その通り!自爆ばっかりなんだよね。相手とのコンタクトプレーよりも、ノンコンタクトでの受傷が圧倒的に多いよね?つまり、そういうことだよ。」
 「どういうことですか???」
 「達也、教えてやれよ。お前も自爆で断裂したろ笑」
 「あっ、そうだった笑」
 「もう忘れたのか?笑」
 「ニーイン、トゥーアウトだよ。サッカーでニーインは禁忌でしょ?でも、問題の本質はニーインではなくトゥーアウトだよ。むしろ膝は割るべきではないよ。厳密に言うとニーインではなくニュートラル。膝がニュートラルに向いていれば多少トゥーアウトしても膝関節への負担は少ない。膝の向きの話をすると長くなるから、別の機会に教えるけど、膝が割れているのはサッカーくらいでしょ。イチロー選手なんてストレッチからニーイン笑。サッカーのクラッキはみんなニュートラルでややニーインだよ。メッシしかりネイマールしかり。あれがスピードとキレの秘密。で、話戻ると膝が内側に入った時に足首の可動域制限がなければ緩衝材となって衝撃を逃がせる。でも、もし足首が硬いままトゥーアウトしたら、ACLは簡単にバチんとなる。」
 「私、足首硬いです…」
 「君だけじゃないよ。サッカー選手のほとんどは足首が硬いよ。ぼくもめちゃくちゃ硬かった笑。サッカー選手はよほど自己管理を徹底しているか、的確なケアを受けてなかったら、ほとんどの選手が時限爆弾抱えてプレーしてるようなものだよ。あとは運次第だな。」
 「あそこの写真の直くんも両膝ともACL断裂してるけど、足首はやっぱり硬かったよ。あれだけのキレがある選手だったから他は本当に質の良い筋肉だったけどね。」元日本代表でFC東京のレジェンド石川直宏選手の引退記念ポスターを指差して言った。

 石川直宏、その人と出会ったのも達也の縁だった。達也とは出会ってから一気に親交が深まり、その年の八月に私が自ら開業したミオンパシーサロンUROOMで施術の実験台になってもらうことになった。そして、翌二〇一七年冬には家族ぐるみの付き合いをするようになっていた。彼の一人息子と私の長男が同級生ということも良縁につながった理由かもしれない。
 達也はCRIACAOで、アスリートとビジネスパーソンをつなぐコミュニティという主旨で開催される"アスリートカレッジ"なるセミナーを運営していた。何度か参加を促されていたが、ビジネスの一線から退いて長い年月が経っていた私にとって、その情熱が眩しくて少し躊躇していた。数回の誘いを体良く断っていたが、達也との縁を素直に受け入れてみようかと思い始めていたタイミングのとある回で、ちょうど先約がキャンセルになった。Googleカレンダーで空いた時間を眺めながら、ふと思い立ってアスリートカレッジに参加してみることにした。二〇一七年三月のことだ。この回の目玉となるゲストが石川直宏だった。
 CRIACAOはJリーグ参入を目指す本格的なサッカークラブを運営していることもあり、セミナーに参加しているビジネスパーソンもサッカー経験者が多いように見受けられた。石川直宏はサッカー経験者なら誰しもが知ってるスター選手で、一回り年上の私でも彼の鮮烈なドリブルと豪快なゴールシーンは印象深かった。
 セミナーの演目はヴィジョナリーワークという自己啓発のようなワークショップだった。思い起こすと、このセミナーでは三つの大きな出会いがあったのだが、その二つ目がファシリテーターの鵜川洋明だ。のちに彼とは心を揺さぶられるようなセッションの数々を経験することになる。
 グループになって自分のヴィジョンを掘り下げるためのディスカッションが始まる。「こういうの、昔はたくさんやったな…」将来のヴィジョンと真っ直ぐに向き合えない自分が心の中で呟いた。
 セミナーの終盤で、「何名かの方に前に出て発表してもらいたいのですが、どなたかいらっしゃいますか?」とファシリテーターの鵜川がスマートに促す。数名の発表の最後にシナリオ通り石川直宏が演壇に立った。怪我で二年以上ピッチから遠ざかっていても、スターとしての輝きは失っていない。会場全員の注目が集まる。彼の口から滑らかにヴィジョンが語られ、一言一句を聞き漏らさないという熱気が会場全体を覆い尽くす。気がつくと私も、いつの間にか彼のヴィジョンに吸い込まれていった。
 セミナーの後の懇親会で達也と会った。
 「オーラがちがうね笑」
 「ですよね、直さんが選手として凄いのは当然ですが、本当に素晴らしい人格者なんでめちゃくちゃ尊敬してるんです!」
 達也の紹介で石川と話をすることができた。聞くところによると膝の怪我の回復が思わしくなく、この二年は全くピッチに立つことができず、実戦からかなり離れているらしいことが分かった。たしかに最近、彼がプレーしている姿をニュースで見なくなっていた。
 「今年で三六になります。そろそろ後がないかなって…」
 サッカーで三六歳と言えば引退が現実味を帯びてくる年齢だ。
 「一度、ミオンパシー整体術を受けてみませんか?」
 唐突に誘ってみた。全く期待していなかったが、FC東京のお膝元の調布市に一号店を出店したばかりだったので、完全にダメ元で話を振ってみたのだ。
 「ドクターの見解では半月板のオペの経過がイマイチらしいんですよね…。色々やってるけどどうも回復しない。」心なしか苛立ちが感じられた。
 「直さん、一度どうですか?ぼくはだいぶ良い感じです!」示し合わせていたかのようなタイミングで、達也のナイスフォローが入る。
 「じゃあ、タイミングが合えばぜひ。」
 「承知しました。では機会があれば。」
 深くは説明せずに退いた。石川の笑顔には、社交辞令をそうと思わせない余裕があった。とりあえずFacebookでつながって「縁があればまた会える。」と思い、この日はあっさりと終わった。ベンチャービジネスにどっぷり浸かり、一心不乱にIPOを目指してたころのギラギラとした情熱をこの時の私は忘れていた。ミオンパシー整体術に絶対的な自信がなかったことも、斜に構える自分を作っていたのかもしれない。そんな私を、この出会いが”筋肉のロック現象という事実を世に知らしめて世界を変える”という激情に掻き立てることになる。

スクリーンショット 2021-08-27 13.07.43

 「でも、なぜ女子は男子より断裂するんだ!?」シンプルな疑問だった。前十字靭帯断裂のメカニズムには絶対の自信があった。元日本代表経験のある、石川直宏、梅崎司、齋藤学という当代きってのドリブラーの膝を間近でみてきた。三選手とも奇しくも前十字靭帯断裂を経験している。足首の硬さは尋常じゃなく、足関節は固くロックしていた。足首に問題があるのは間違いない。しかし、男子と女子の違いはどこにあるんだ?直ぐに答えが思い浮かばなかった。
 「他に体の不調はない?」 
 「不調ですか?怪我は多いけど、不調って言うと…」
 しばらく考え込んでいたニコルが閃いたが、少し戸惑いながら「生理痛がひどいです。生理周期も乱れがちですね。ほとんどの女子選手は生理の問題を抱えてると思います。クラブのチームメイトには生理が来ない子さえいます…」と打ち明けた。
 「それだ!!」
 「えっ?生理と前十字靭帯が何か関係あるんですか???」
 「大あり笑。二人は生理のメカニズム知ってる?」
 「知りません…」
 「骨盤がホルモンの影響で生理周期に合わせて開いたり閉じたりするのは?」
 「知りません…」
 「まあいいや笑」
 「ぼくはね、生理にはちょっと詳しいんだよ笑」
 
 ベンチャー企業では珍しいが、私のカンパニーには出産を経験したママセラピストが大勢在籍している。人材採用の苦肉の策で時短雇用の正社員枠を増やしてきたからだ。主婦や母であっても仕事をしたい、手に職をつけたい、人のために働きたいという人はたくさんいる。働き方改革とかなんとか言ってるが、私は、本気でやるなら正社員じゃないと意味がないと考えていた。採算的には厳しい面も当然あるが、必ずプラスの効果があるはずだと信じて実行してきたのだ。
 それが実りつつあるのが、「WomanLab 女性のカラダを整える」という女性の悩みを解決するためのヒントを集めたブログサイトだ。このサイトは情報収集から記事の執筆まで、運営全般を女性セラピストだけで担当している。
 実は、女性セラピストの中に元看護師という医療現場経験者が四人もいる。私を産んでくれた母親も定年間際まで看護師を務め上げた苦労人で、共働きしながら私と弟を育てくれた。そうした姿を側で見ながら育った私にとって、看護師という職業は他のどんな職業より思い入れの強い尊敬すべき仕事なのだ。
 そして、この四人ともが元顧客なので、施術の効果を実体験として身を以て理解している。私の波動なのだろうが、三〇人のうち四人だから比率的に目を瞠るものがあるだろう。彼女たちは医療業界経験者としてプロの視点を持っている。医療の現場の葛藤を嫌という程熟知しているからこそ、民間の整体院ならば手枷足枷なく自由にやれることがあるのではないか。そういう切なる思いで、国家資格を持ちながら勇気ある転身を決意してくれたのだ。こうした医療のプロフェッショナルがいるのだから、彼女たちに運営の全てを任せると言う判断に迷いはなかった。
 もちろん経営責任者としては、記事の内容もチェックするので自ずと女性の体に詳しくなった。私の周りには偉大な女性ばかりいることにいつも感謝している。その一人が妻の恵里だ。家庭では四児の父親なので、妻の妊娠出産育児を四回も側で経験させてもらった。一時期、専業主夫として育児に携わった時期もあり、このことも貴重な経験として今に活きてる。彼女のお陰で多くのことを学ばせてもらい、さらに女性の偉大さを肌で感じることができたのだ。 
 女性疾患では、やはり生理の話題は多くなる。ミオンパシー整体術で骨盤を正常化させると生理痛が緩和したり、生理周期が整うということがよくある。インターネットで調べると整骨院、鍼灸師、整体師の多くが同じように女性の生理の正常化に貢献している記事を目にする。生理のメカニズムについて詳しい記事も多いが、私たちの施術現場の実感とも近く、共感できるものが多いのも事実だ。
 女性の生理のメカニズムは知れば知るほど神秘的だ。生理が近くなるとホルモンの影響で右の骨盤から開きはじめ生理が始まる。そして次第に左の骨盤も開きやがて生理が終わるらしいのだ。なるほど、であれば生理不順は、平滑筋で不随意運動する子宮の筋肉の影響ではなく、横紋筋で随意運動する股関節屈筋群、中でも大腰筋、腸骨筋、恥骨筋のロックが多ければ、骨盤が開きにくくなり生理周期が乱れる可能性は高い。骨盤の高さを整える場合、これらの筋肉を集中的に施術をする。股関節屈筋群のロック蓄積は様々な不調の原因と考えているからだ。血の巡りを塞きとめることになりかねない動脈や静脈も通ってる。生理不順を訴える多くの女性は骨盤が歪み、股関節屈筋群のロックが顕著に多いという相関関係は証明できるだろう。
 「WomanLab 女性のカラダを整える」をローンチさせるに当たり、女性セラピストたちがチームとなって出産にまつわる母体の研究を進めていた。男性と女性の違いは頭や脳、つまり思考の傾向から、出産にいたるまでとても多岐に渡ることがわかっている。骨盤の作りは私たちが重要視しているポイントの一つだ。施術を受けて骨盤の位置が正常化したことにより懐妊されたという事例は以前から多く報告があった。(科学的に証明されているわけではない。あくまで顧客の実感から嬉しい報告をもらうことが多いのだ)
 そして、今回はさらに驚く事実が報告された。妊娠三二週に入った女性が逆子と診断され、このままでは三週間後に帝王切開による出産に踏み切るという。胎児は温かい場所を好むことが逆子の原因の一つと言われている。股関節屈筋群のロックによって骨盤が歪むと血行障害が起きるので産道付近の体温は下がるのだ。その結果、胎児は産道近くにあった頭を、最も体温の高い心臓に向けてしまうことで逆子になるという原理が考えられる。顧客から相談を受けて、カンパニーの女性セラピストで最も経験豊富な辻村裕美子がこの妊婦の施術にあたった。(安定期に入っている妊婦の施術は医師に止めれることは少ない。体に負担のかかる施術ではないので、臨月まで満員電車で通勤するような環境よりは余程安全だと考えている。)確かに股関節周りの筋肉が硬くなっており骨盤の位置もひどく歪んでいた。この妊婦は看護師ということもあり日頃から栄養には気をつけていたようで、二時間かけた施術で骨盤の状態をほぼ正常化させることができた。この日は、無事の出産を願いながら施術は終わったのだが、数日後に嬉しい報告があった。
 「施術を受けた直後にお腹の出方と胎動を感じる場所に変化がありました。家に帰ってから心音を聴いたら、心音の聴こえる場所が真逆に変わっていて驚きました。もしやと思い、後日、産婦人科で健診を受けたところ逆子が治ったと言われました。」
 骨盤と股関節屈筋群は切っても切れない関係だ。特に女性の場合、男性以上にその影響を受けることになるので、日頃から栄養に細心の注意を払っておいて損はない。栄養が行き届いていれば股関節屈筋群のロックは骨盤を歪めるほど蓄積することはないだろう。もし、本格的なスポーツをしているのであれば、タンパク質、マグネシウム、亜鉛の欠乏には気を配っておく必要がある。

「つまり、女子選手は足首だけじゃなく股関節も硬いんだよ。上と下がガチっとロックしている状態で膝だけ内に入ったらどうなる?」
「完全に逃げ場がないですね…」
「そういうこと。ぼくらは生理不順、生理痛などは、股関節屈筋群のロックが多い結果だと考えている。だから、生理の不調を抱えている選手が多い女子サッカーでは、男子に比べて前十字靭帯断裂の発症が多い傾向にあると推察できそうだ。」
 このミーティングでニコルたちに栄養による体質改善を指導するはずが、逆に彼女たちから思わぬヒントを得た。ロックが最も蓄積しやすい股関節屈筋群がニュートラル(ロックしている筋肉がほぼない自然な状態。栄養状態が良い子どもではありえるが、大人ではめったに見かけない。)な状態は前提条件から外していたので、足首だけに目がいっていた。サッカーは足首を酷使するスポーツだ。だから他のスポーツに比べて前十字靭帯を断裂しやすい。しかし、本当のメカニズムは足関節(足首の関節)と股関節の上下関節の可動域制限によって中間の膝関節に過度な負荷がかかるということだ。男子に比べ、生理による骨盤機能の特殊性を持つ女性は、股関節屈筋群がロックしやすい。ましてや、”質の栄養失”に陥ってるアスリートならなおさらだろう。この仕事をしていると股関節屈筋群は硬くて当たり前になっているが、そうではなく、より一層股関節の可動域は確保すべき最重要部位なのだ。
 「やっぱり股関節か」直立二足歩行する動物にとって股関節の進化は切っても切れない課題だったはずだ。基本に立ち返らせてもったニコルへの波動を、この時強く感じ始めていた。(つづく)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?