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特別な日

2020年4月5日

今日は特別な日。嫌いになってしまった貴方の産まれた日。
今日は忌み嫌う日。あんなに好きだった貴方を思い出す日。

何故、貴方は私と違う月の同じ日に産まれたののだろう。同じ年、同じ干支。忘れもできない。自分の誕生日を見るだけでも、貴方のことを思い出す。

嗚呼、嫌いだ。何よりも嫌いだ。
と、言い聞かせている。私は私に。
忘れて仕舞えば、前の様に、先の見えない深い沼に足を踏み入れる。もっと底の光の無い方を求める。そんな物無いのに。底など無いのに。

夢の中で、貴方以外の、他の人の夢を見る。けれど夢の中で足掻きながら掴んだ手は、確かに貴方の手だった。それがたまらなく嫌いだ。本当に嫌なのだ。私が貴方の温もりしか、貴方の手の形しか知らない事が。

目が覚めて、往々にして頭を抱える。身体の中が熱い。喉に何かが詰まる。息ができない。涙が止まらない。全ての音が大きく聞こえて、目がぐるぐるとする。

呪い。これは私が私にかけてしまった呪い。少し前までは、綺麗な魔法だった。世界が美しい魔法だった。いつからだろう。呪いとしての意味をはらんでしまったのは。

本当に嫌いだ。今日という日など無くなって仕舞えばいい。カレンダーから消えて欲しい。見たくも無い。こんな日など。

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