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三円小説のスゝメ 肆〜ビジネスパーソンと物語の力〜

SNSで話題の「三円小説」が書籍になりました。「三円小説」は私もフォロワーで、ちょこちょこ読ませていただいていました。インスタからスピンアウトして紙の本になると聞いて、早速拝読しました。

ちなみに私は、夫と情報デザインの会社を経営して、今年で12年目になります。

地方創生や中小企業の広報支援、人材育成などの仕事が多く、夫はほとんど鎌倉にいない、地方に秘書がリモート勤務しているというようなスタイル。なので、コロナ前も今も、仕事のスタイルはほとんど変わりません。

今回、改めて紙の『三円小説』を読んで感じたのは、これは実は、ビジネスの現場で役に立つな、ということです。

今日は、その訳についてちょっとお話ししてみたいと思います。


引きこもりを治す物語の力

以前弊社に勤めていたAは、入社前までは引きこもりでした。ある地方で採用したため、基本は在宅勤務。入社しても、引きこもりだからいろいろなところに取材に行くのは難しい。そこで取材してきたものを編集する作業をやってもらいました。

すると、半年くらいして、引きこもりが治ってきたという。「編集する過程で、中小企業さんはじめ、色々な方のインタビューを聞いて、映像素材を繋いだり、そこからキャッチコピーを考えたりして、その方や対象となる企業のことを深く掘り下げていくうちに、いつの間にか、辛くなくなってました」とのこと。

そして、数年前、「映像編集しているうちに、自分ももっと地元と関わりたいと思うようになった」と言って退職し、いまは地元の企業に勤めています。

この経験から、より多くの物語に触れ、その都度心が揺さぶられると、人生が豊かになるのではないかと考えるようになりました。

最初は絵に描いた物語でも、読むことによって感覚体験として、自分ごとになっていくのだと思うのです。より多くの物語を体験すれば、その分人生は豊かになるという具合です。


直感を働かせる物語の力

人生には物語が大切。ビジネスにも物語がないと、事業計画もプレゼンも横並びでつまらないものになってしまう。おそらく、プレゼンする自分自身が、一番つまらないと感じているはず。

失敗を恐れ、あまりにも予定調和な「無難」な内容に落ち着いてないでしょうか。どんなにドラマチックに人に伝えようとしても、そもそもプレゼンする自分がワクワクしていないのに、ちゃんと伝わるわけはありません。

まずは直感的な「これ、いける!」とか、「わ!めちゃくちゃ楽しい!」と言った感覚がなければ、いくら知識を並べても、全く面白くないものになります。

直感は、物語が自分ごとになってくると、働き始めます。物語の中に入り込んで、まるで自分が主人公になったような心持ちで共感し、物語を一緒に進んでいく感覚が、自分ごとという感覚です。

弊社の編集者だったAは、数多くの人や企業の物語をシャワーのように浴びているうちに、それが自分の物語のように感じられるようになってきたのではないかと思います。


『三円小説』は物語の宝庫

『三円小説』は、300話。1話10秒で読めるから、1時間もあれば読破できます。
しかも、歴史あり、親父ギャグあり、ラブコメディあり、社会や環境問題あり、とバラエティに富んでいる。笑えるし、泣ける。背筋がヒヤッとするし、胸がポッと温まる。いろんな時代、場所に飛んでいくこともできる。

300話分の感覚体験をすると、きっと仕事に対する見方が変わります。

また、三円小説は、物語の原型でもあります。1ページの中に、起承転結がある。自分なりの三円小説を書いてみると、プレゼンスキルが上がりそう。

移動中、ランチの後に、スマホの代わりに1話ずつ。
オフィスの机に常備しておけば、きっと身近な相棒になってくれること請け合いです。



ライター:榎田智子
石川県出身、鎌倉在住。自宅出産を経て3人の子育ての傍ら、夫と情報デザインの会社を経営。各種マネジメント・ディレクション、取材撮影…と出来ることは何でもやってきました。不登校だった長女は、現在豪州留学中。何事においてもLet it happenを大切にしています。保護犬、猫、亀と同居、5人と7匹家族。

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