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2つのレンズで6curryをのぞいてみた

今回はG-DロジックとS-Dロジックを勉強すべく、以下の論文を読んでみました(タイトル未設定)。

いくつかポイントと思わしき箇所をメモすると……。

・製造業のサービス化の成否を分ける鍵の1つに、「モノづくり」ではなく「価値づくり」に関する価値観をG-DロジックからS-Dロジックに転換できるかどうかにあった。

・G-DロジックとS-Dロジックの世界観の違いについては、(1)サービス観の違い/(2)価値概念の違い/(3)顧客像の違いの3つが挙げられる。
(1)G-Dロジックが、世の中を「モノ」と「モノ以外」の全てで分ける世界観だった場合、S-Dロジックは世の中で行われる経済活動をすべてサービスとしてとらえて「モノを伴うサービス」と「モノを伴わないサービス」とする世界観である。
(2)G-Dロジックが企業から顧客への一方向的・分業的な「価値生産」と「価値消費」とする場合、S-Dロジックは企業と顧客双方が価値を生み出し、相互作用を通じて価値を創造する「価値共創」を前提とする価値観である。
(3)G-Dロジックにおける顧客は、企業が創り出す価値を消費する消費者であり、S-Dロジックでは企業の客体にとどまらず企業と協働して価値を想像する主体という価値観である。

んで、ここからは6curryさんをお借りして、それぞれのロジックに当てはめてみました。

そもそも6curryは、お客さんではなく仲間を集めるべく、食べるだけの体験よりも、みんなでカレーを作って・食べて仲良くなったり、アイディアを出し合えるようなみんなが混ざる場所をつくっている最中。2017年ころからブームとなるスパイスカレーを提供する傍ら『EXPERIENCE THE MIX.』というコンセプトをかかげています。

▼G-Dロジックのレンズでのぞく
生産者・消費者の前後の矢印や交換価値の場所でわかるように、これだと主従関係があるようにみえる。企業(6curry)が作る価値(カレー)をお客さんが消費する(食べる)ように、企業の価値をお客さんが消費するイメージ。

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▼S-Dロジック レンズでのぞく
一方、S-Dロジックのレンズでみると以下のような図に。使用価値でいえば、例えば「一緒にカレーをつくる」「仲間が仲間にデザートやドリンクをふるまう」「渋谷のお店ををつくる」など。S-Dロジックはつまりモノとサービスを分けず、さまざまな文脈でいかに「価値をつくりだせるか」がポイントだと感じました。

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使用価値を例に挙げると、とある日にみかん農家がご実家のお客さんがみかんを持ってきたところ、それが当日お店のみかん酒になっていたことがありました。常連さんが持ってきた食材を調理する~って飲食店だとよくある光景かもしれませんが、6curryだとこれがあらゆるお客さん、お客さん同士で生まれている印象。

▼おまけ
S-Dロジックにおける交換・使用価値を並べたところさまざまな文脈がみえたので抜き出してみました。その種類は多様ですが、コミュニティが一定の期間を経過するとそれぞれのコンテクストにあった活動をすることが難しくなり少しずつ不満が増えるため、コンテクストごとに活動を分けて募集する必要があるのだと……。MO.MEの概念にも近い?

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6curryの好きなところは、単に美味しいスパイスカレーが食べられるカレー屋さんではなく、コンセプト通りに「混ざりあえる場所」となっているところ。生産者・消費者といった主従関係とならず、みんな(もはや食材までも)混ざり合うその雰囲気はすぐマネできるものではないとさえ感じさせてくれます。こういったS-Dロジックと体制が構築・継続できたら、これも強い競争優位性になりますよね。

今日はこのへんで……。