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【nuraphone】 ヘッドホン探しの長い旅が一旦終わった話

nuraphoneを購入して約2ヶ月ほど経ちました。ほんとに気に入ってて
外出時や制作中など、音楽を使う場で常にnuraphoneが手放せなくなりました。電車の中でもノイズキャンセルの効いた状態で、Spotifyを流しながら移動できる環境は本当に快適で、なんだかそれとは関係の無い、いろんなストレスからも解放されたような気分になります。Bluetoothだと遅延があるので、アナログケーブルを取り寄せて制作時にも使ってみたけど本当に快適。
自分にあった環境で音楽を聴くというのはこんなに素晴らしいものなのか、と。心なしか耳の疲れも少ない気がしていて、ある程度聴きっ放しでもあまり疲れなくなりました。とくに移動中なんて今まではマトモな音で聴けやしないから〜と全く音楽なんて聴いてなかったのに、今では街ブラでもSpotifyかけっ放しです。生活に潤いを与えてくれてありがとうnuraphone。

・パーソナライズ機能が革命的

何と言っても、「自分の耳に音を合わせてくれる」のは革命的です。
本当に自分がこう聴きたい!という音にビシッと合わせてくれます。

sweep音(低域から高域まで連続に流れる信号音)を流して
その反響を検知して調整する、というのは他の製品でも似た機能が徐々に出始めています。
nuraアプリで行われる聴力検査ではSweep音が一度流れるだけで、あとはなんだか中域あたりでピコピコ言ってるだけなんだけどあれだけでほんとに検査できるのだろうか?と心配になるけど、結果は悪くないので大丈夫かと。
sonarworksなどではSweep音を何度か流して計測している様子でしたが、nuraphoneの場合は一回のみ。潔いというか何というか。

パーソナライズの流れはメーカーサイトや他の記事にも沢山あるので割愛しますが、自分の耳のデータはこんな感じ

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円形のプロファイル波形は上部から低域〜高域の聴こえ方を時計回りで表示していて、線が円の中心に行くほど鈍感?てことらしいです。

自分の場合は低域がけっこう敏感で中低域と高域はそこまで気にしてない、中域は敏感で中高域〜高域はそれなり、て感じかな?
実際の感触と大きくズレてないと思います。

時間帯や環境によって耳の聴こえ方は変わるということで、朝昼晩や場所など数パターン保存してますが、上の写真は昼間にレコーディングスタジオのコントロールルームで座っている時のデータになります。

ちなみにパーソナライズ前のニュートラルモードで聴いた時の感触は、低域がやたら強くて圧迫感がハンパない、という感じでした。これはnuraphoneの特性がどうかって事よりも、そもそも耳を完全に塞ぐインイヤー型というのは全く調整しないとこういう聴こえ方をするって事じゃないかな?と思います。指を突っ込んで完全に耳を塞いだ状態を想像してみてください。モワッとして水の中にでもいるような感触があると思います。市販のインイヤー型は、この辺の調整に社運を賭けているのでしょう。

・反響モードは改善の余地あり

写真にもある通り、一番下にある「反響モード」はほとんど使ってません。コンサートホールやクラブ/ライブハウスで感じる振動を、ゴム製のイヤーパッドを音の低域で振動させることで再現しているのですが、これは僕としては「柔らかいゴムがひたすらビョンビョン震えている」ようにしか聴こえない。低域の反響を本体の振動で再現するのはとても面白い切り口なんですが、職業柄、音を聴いたらその材質がある程度判別できる人種がそれを使うとその振動にくっついてくる「材質」が気になってしょうがない。全面ゴム壁の建物って何処だよ…て話で、どうせなら木やコンクリートにしてくれ…などと話があらぬ方向に飛んでいきそう。
ただ人に勧めていた時、全く気にせず爆上げしているクラブ好きも居たのでここは好みかもしれません。

・好きな音楽ジャンルは耳の形が作っているという発見

nuraphone購入後、いろんな人に勧めてみました。本体とiphoneを渡してスッと席を離れ、1分ちょっとのキャリブレーションの過程を一人でゆっくり体験してもらう。結果は上々で、好きな曲を聴いてただただ感動していたり
あるエンジニアさんに「自分のスタジオに居るみたいだ」と宣伝文句そのままの言葉をいただいたり。

おかげでいろんな方々の「耳の特性」を知ることができました。
敢えて他人のプロファイルデータで音楽を聴いてみると非常に面白くて、その人の趣向する音楽ジャンルに沿った音色になっていることが多いのです。
R&BやFutureBassなどが好きな僕の場合は割とローの情報が多くて他はくっきりとした感じ、柔らかい素朴な曲が好きな人は中域多めの柔らかいナローな感じ。レゲエやダブが大好きな人のデータで普通のポップスを聴いてみると、ダブ寄りにミックスし直したのか?!っていうくらいのダブワイズ!!っぷりでした。ああこの人はこういう音が聴きたいんだな、とよく分かる。それくらいはっきりとした違いが、音楽的なバランスを全く損なわない範囲でしっかり調整されているのには驚きました。基本的に全部しっかり聴こえてる中で、個性がついている。

・決してフラットな音色ではない

各々に合わせた個性が付加されるわけなので、よく言われる「フラット」な音色には決してなりません。ここがいわゆるプロの制作現場で使えるかどうかの難しい判断になりそうですが、僕としては「むしろめっちゃくちゃ使える」と考えてます。

sonarworksなどのキャリブレーションでは、まずはそのスピーカやヘッドホンを周波数的にフラットな状態に持っていくわけですが、そこから敢えてEQを付加したりして好みの音色にするオプションメニューがあったりします。スタジオの音場を調整するときも、一旦フラットに持って行った後また少し調整をしたり、部屋の特性上そもそも完全にフラットに持っていくのは不可能だったりして自ずと個性が付いていくのです。

むしろnuraphoneのプロファイリングは、そこまでの工程をいっぺんにやってくれてるわけです。

・正直、今のところ「スタジオモニター超え」してます

スタジオでsonarworksで調整したヘッドホンで聴いたあとモニタースピーカで確認し直すとほとんど遜色なくて感動していたのですが、nuraphoneの場合は今のところ僅差で「モニタースピーカより印象が良い」となります。

レコーディングスタジオのモニター環境もやはり場所によって向き不向きがあったり、微妙に環境が変わってきたりして「そろそろ調整し直さないとな〜」と思ったりすることもしばしば。「この部屋全然分かんねぇな」と諦めたりすることも少なくないのです。これは高価なモニターやしっかりした施工が入っていても当然起こりうることである程度仕方がない。スタジオの施工当時からはモニタースピーカの機種が変わったりしているスタジオもちょいちょいあるので。ただよっぽど劣悪な環境でなければ次第に耳が慣れていって問題無くなる、というのが実情です。要は耳の方が合わせに行ってるわけです。その環境と、プロファイルでがっちり合わせた状態のnuraphoneとを比較すると自ずと勝敗はついてしまいます。
強いて言えば難点は「その音を同時に聴けるのは自分だけ」ということでしょう。けっこう致命的なようですが、エンジニアやクリエイターが一番正確に聴けている環境があればまあ問題ないので、他の方についてはスタジオモニターに頑張ってもらうかもしくは、その場の全員がnuraphoneをつけている状態にするか、でしょうか。


・ただ、欠点もあります

新機軸の製品だからか、思わず笑っちゃうくらいの
愛すべき欠点がいくつかあります。

・けっこう重くて、響く
nuraphoneは基本的にBluetooth環境で使用するワイヤレスヘッドホンであり、たぶん業務用途よりも一般ユーザー向けの商品だと思います。なので自宅で座っていたり、街を歩いたりする場面が主なターゲットだと思うんですが、この「歩いている」時に少々問題が。

ぱっと見ヘッドホンの形をしていますが、中はイヤーチップのついたインイヤー型なので、ゴムチップが耳の穴に完全にフィットした状態になります。ここまでは他社のインイヤー型と一緒ですが、他の製品と違うのはそれにまあまあしっかりした重さのヘッドホンがくっついているということ。歩いていると本体の重みでかなり揺れるのでたまに耳が持って行かれそうになります。そして歩くと当然足から振動が来るのですが、その振動が直接耳の穴に伝わって来るので歩くテンポに合わせて「ズン、ズン」と響いてきます。これは結構な爆音で四つ打ちの曲を聴いているのと同じ状態になります。優しいチルアウト系やアコースティックな楽曲が一瞬で低域の効いたリミックスバージョンに変化します。
今度新しくインイヤーのみの「nuraloop」が発売されるようですが、たぶんこの辺クレームあったんだろうな…と勘ぐってしまう。反響モードもそこまで使わないのでむしろnuraloopも欲しい。

・ケーブルが、抜ける。
Bluetooth接続では当然レイテンシーが発生するので、演奏や制作で使用する際などはUSBや、アナログなど有線の接続が必須です。このケーブルが厄介で、独自のコネクタが緩くてちょっと引っ張られただけで簡単に抜けます。
ケーブルが抜けると大変親切なことに即座にBluetoothモードに切り替わって、少々アナウンスが入ったあと近くにあるiphoneなどに自動接続されます。

実はnuraphoneを大変気に入ったのでライブ現場でも使ってみようとしていたのですが、これによりきっぱり諦めました汗。抜けたらすぐ差し直しゃいいじゃない?と、思いますよね?普通はそう。ただnuraphoneの場合、抜けたら即座にBluetoothに「勝手に」切り替わり、しかもそれは少々のアナウンスが挟まれるんです。その間10秒前後は曲は聴こえません。

例)曲の途中で盛り上がって頭を振る ➡︎ ケーブルが抜ける ➡︎ 「〇〇さまお帰りなさい、バッテリー残量は〜」➡︎ ケーブルを差す ➡︎「〇〇さまお帰りなさい、バッテリー残量は〜」

ライブ中にそんなことが起こったら、ただの事故です。悪夢のようです。

このへんも、nuraloopでは改善されてるといいな〜と思っています。

・差し引いても、最高

ただ、そんな欠点を差し引いても
2019年最高の良い買い物であったことは間違いありません。
自分にとってリスニング環境の改善というのは永遠の課題で、最近はちょっと諦めも入っていて「もうiphoneのイヤホンでいいや」なんて自暴自棄になっていたところからすればこの上ないジャンプアップなのです。

nuraphoneでひとまず得た最適な環境を頼りに、制作部屋のモニター環境をゆっくり整えることができる。

仕事以外でもずっと音楽を聴いていられるので、Spotifyのプレイリストを流しっぱなしにして新しい情報がどんどん入ってくる。

歩いているテンポに合わせて、曲がリミックスされる。
(慣れて来ると、ちょっとおもしろい)

というわけで、久々に手に入れた
最適なリスニング環境を明日も楽しみたいと思います。

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作曲家/アレンジャーです。音楽制作チームglasswerks主宰。https://glasswerks.jp/