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僕は結婚式を挙げたくない(前編)

僕がまだ子供の頃、親戚のおじさんが結婚するというので生まれてはじめて結婚式へ出席した。


式場内にある教会風の部屋で外国人の神父さんに愛を誓ってから場所をパーティー会場に移して披露宴というコース。
スモークの中から衣装を変えて2回登場して、バルーンを飛ばしたり最後に花束を投げていた。
あわせて3時間もかからなかったように思う。


出席した感想としては「え?結婚するとこの罰ゲームみたいなものをしなくちゃいけないの?」という非常にドライなものだった。
しかしこれは捻くれた男子の考えである。
もしかしたら女性は嬉しいのかもしれないと思い、母親に自身の結婚式について聞いてみると「結婚式を挙げたけど、あんなイベントはしたくなかった!早く終わってほしかったわ!」と私よりも冷めていた。
ああ、この人とは親子なんだなと思った。

それから大きくなっていくにつれて、偉い神父さまだと思っていたのが外人のバイトだということを知り、披露宴で使われたスモークや飛ばしたバルーンや投げた花束がそれぞれ1~5万円もして全部で300~400万円掛かっていたことを知ると、ますます結婚式ってやる意味があるのかな?と思うようになっていた。

この考えは更に長じて、婚活を始めてからも強く思うようになっていた。
「もし結婚できたとしても式は挙げたくないなぁ」と。
このあたりになると、式に出席してくれる友達が少なすぎるというものが結婚式したくないランキング上位に来ていた。
仮に結婚をしたとして、相手が友人が多い人の場合にかなりアンバランスなテーブル構成になってしまう。

それからさらに月日が流れ、付き合っている彼女と結婚を視野に入れた話しをする日がやってきた。

ここまで来ても結婚式を挙げたくないという気持ちは全く変わらなかった。


だが相手の結婚式に対する彼女の気持ちはこの日まで全くわからなかった。

もしかして名古屋のように大規模でハデハデなものが良いと言ったらどうしよう?
お色直しは最低3回!スモークをガンガン使って会場をバルーンで埋めつくしたい!と提案されたらどうしよう?
そんな不安をいだきつつ、将来の妻に向けて結婚式の話題を切り出すことにした。


僕は結婚式を挙げたくない。


つづく