見出し画像

Adobe MAX Japan 2019

12/3(火)に、パシフィコ横浜で開催されたAdobe MAX Japanに参加してきました。Adobeが毎年開催しているクリエイター向けのイベントです。

Adobe MAX Japanとは、グラフィックデザイン、写真、Web制作、映像制作に携わるクリエイターの方、およびそれらを目指す方を対象に、第一線で活躍するクリエイターのアイデアやテクニック、Creative Cloudの最新ワークフローなど、クリエイターによるクリエイターのため日本最大級のクリエイティブカンファレンスです。
https://maxjapan.adobe.com/

会場は、半分くらいはセッション会場で、他は実機デモや企業ブースでの展示、グッズショップなどで朝から賑わっていました。

画像1

画像2

自由に落書きできる壁

画像3

映像の上からライブペイントをするパフォーマンス

画像4

会場限定のグッズショップ

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

まずはKeynote、そのあとはそれぞれが選択したセッションに参加します。

Keynote

ここでは、Adobe Creative Cloudのアップデートについての話が聞けます。
Adobe Sensei(AdobeのAI)の活用によって様々な機能が開発されており、今まで時間がかかっていた作業を短時間でこなすデモの紹介がたくさんありました。

画像11

Photoshop・Illustrator
Photoshopでは、選択や切り抜きがより簡単になります。
被写体をクリックするだけでその輪郭を理解して、自動で選択してくれるようになります。しかも被写体と背景色が似た色の場合でも可能。
切り抜きや選択はよく使うので、実装されたらどのくらい正確にできるのか試してみたいです。ちまちまパスを取ったりしなくていいなんて感激です。

Illustratorはパフォーマンスが向上し、例えば何万にもなる数のパスで描かれたイラストを移動してもカクつくことなく滑らかに動きます。表示の遅延がありません。また、パスの単純化が進化し最小のアンカーポイントでも滑らかな曲線を維持できます。これはファイルサイズの軽量化に繋がります。

iPad版Photoshop・Illustrator
デスクトップ版で作ったPSDデータを開くことができるので、外ではiPadで作業して、帰ったらPCで続きをやるということも可能になります。デスクトップ版とインターフェースや機能は少し違いますが、Apple Pencilと画面上に出るショートカット用のボタンで操作でき、慣れてしまえばキーボードがなくても問題なく使えそうな印象でした。
Illustratorのデモでは、iPad版らしい機能として手描きの線画をカメラで撮影してパス化したり、Apple Pencilを活用してベジェ曲線をするする描いていて、こういう点はデスクトップ版より操作が手軽な感じさえしました。

その他にもFrescoというペイントアプリで水彩表現がすごくきれいにできるようになったり、Aeroというアプリではプログラミングしなくても誰でも簡単にARを作れます。デモではステージ上に森を作って鳥を飛ばしたり犬を走らせたりしていました。(iOS用アプリもあるので触ってみると面白いと思います)
動画面では、Premiere Proのオートリフレームという機能で、例えば16:9で制作した動画をSNS用に正方形や縦長にしたりという編集を自動でやってくれます。デモではスキーで左右に滑る人の動画を横→縦に編集してましたが、きちんと中央に人をとらえ続けていてすごかったです。
最後に紹介のあったPhotoshop cameraは、イラスト風の加工や合成がワンタッチでできる高機能な画像加工アプリです。Photoshopで加工したようなクオリティのレンズを作成・共有できます。リリースされたら使ってみたいです。

すべての製品に共通して、いつでもどこでも時間や場所を選ばず制作できることや、他の人と手軽に共有できることが追及されているなと感じました。
全部は書ききれないですが、この日のKeynoteの内容はアーカイブ動画から見ることができますので、お時間のある方は見ていただくとより分かりやすいと思います。

SESSIONS

Keynoteのあとは、自分が選んだセッションに参加します。
DTP関連や動画関連など様々な種類がありますが、私はUI/UXのセッションを多く取っていたので主にXdの機能や活用法などの情報がたくさん聞けました。

コラボレーションを加速するAdobe XDの新機能と今後の進化
轟 啓介/アドビ

11月のアップデートで追加になったXdの4つの新機能について紹介がありました。

1.リアルタイム共同編集
2.コンポーネント
3.共有モード
4.ドキュメント履歴

1.リアルタイム共同編集
クラウド上に保存したドキュメントにほかのユーザーを招待すると、そのドキュメント内で複数人同時に作業をすることができます。これができると別々のドキュメントでデザインを作って最後に1ファイルに集約するという手間が省けます。デモでは2人でやっていましたが、表示の遅延もなくスムーズにできていました。何人まで問題なく動作するかは環境にもよりそうです。

2.コンポーネント
マスターコンポーネントの情報はインスタンス(マスターコンポーネントをコピーしたもの)に引き継がれます。マスターコンポーネントを編集するとインスタンスにも影響しますが、インスタンスを直接編集しても他のインスタンスやマスターコンポーネントには影響しません。例えばボタンの文言違いや色違いのものを作るときなどに便利です。同じ要素を何回も作らなくて済みます。

3.共有モード
「デザイン」「プロトタイプ」の並びに「共有」メニューとして追加されました。制作した画面を他の人と共有するのに使います。Xdは無料なので、例えば普段Xdを使わないクライアントにもフリープランで導入してもらえれば、コストをかけずにXdを通して簡単にデザインの共有ができます。画面遷移の動きも画面と画面を線でつなぐだけで簡単につけられるので、開発後のイメージもしやすくなります。

4.ドキュメント履歴
Xdが自動でドキュメントの履歴を作成してくれます。履歴からすぐ前の段階のデザインに戻ることができるので、デザインを比較したいときなどに都度別のドキュメントとして保存する必要がなくなります。一定期間(確か30日間)が過ぎたものから自動的に消えていきます。

他に開発中の話もありましたが、個人的にはpaddingを保持する機能が魅力的でした。
枠内の写真やテキストなどの要素の量が変わると枠もpaddingを維持したまま勝手に伸びたり縮んだり…中の要素が増えたり減ったりする度にいちいち枠を変形しなくていいので、実装されたらより作業が楽になると思います。


ユーザーの心を掴む!気持ちいいインタラクションがつくりだすインターフェースデザイン
奥田 透也/THE GUILD
  

いい感じと感じる、気持ちいいインタラクションを作るにはどうしたらいいのか?そのポイントは、雑にやらないこと
人が何かに気づいて、行動して、何らかの反応を得るまでを丁寧に扱うこと。
インタラクションとは何かを紐解きながら、デモ動画を用いて説明されていたのでわかりやすく、面白かったです。
当日のスライドやデモ動画が下記ツイートからも見られますので、ぜひ見てみてください。


Adobe XDがプロジェクトメンバーを繋ぐ!導入事例から学ぶ、チームビルディングとデザインシステム活用の試み
江辺 和彰/コンセント

業界の変化として、これまでクライアントと制作会社は一方向のやりとりだったのが、最近は一つのチームになって一緒に作っていく共創型のやり方になってきている。
コンセントでも、トップが出す指示をもとに下の人が動くのではなく、個人個人が決定権を持ちながらみんなで案件を進めていくやり方が進んでいる。
その場合、デザインのルール決めや制作管理やリリース後の運用ができるためのデザインシステムが必要になってくる。

Xdはデザイン以外にもワイヤーを引いたり実装にも使えるツールなので、
これでデザインシステムを作れば、ワイヤー→デザイン→実装→運用までをサポートできるし、スタータープランならコストがかからないため、クライアントに導入してもらうハードルも低い。導入してもらえると、途中経過も含め常に最新の情報共有が可能になります。 

実際にクライアントと一緒にXdを使って八海山というサイトのリニューアルも行ったようです。

詳しくは、セッション動画が上がっていましたのでこちらから。


ついに発表! Illustrator iPad版 開発者とユーザが共に作り上げる、新コンセプトや日本語へのこだわりなど一挙紹介
有馬 トモユキ/日本デザインセンター
Yuki Ishioka、Neeraj Nandkeolyar、Nat McCully/アドビ

これまで長くデスクトップ版で活躍してきたIllustratorについにiPad版が発表されました。Photoshopと同様にデスクトップ版とは少し違うものの、複雑すぎないデザイン制作になら十分使える程度の機能は備わっていそうです。
デモでは、タイトルが日本語で縦書きになった本の表紙を制作していました。写真や複雑なイラストなどは入らないシンプルなデザインではありましたが、iPad版だからできないということはなさそうでした。
これからもっと開発が進むと最終的にはiPad版だけで印刷データの作成~入稿まで完結できる日が来るかもしれません。
日本語の縦書きについては今はまだまだなところもあるけど、Webでどこまでサポートするかやブラウザできちんと表示できるように検討中。外国のスタッフに日本語の縦書きのスペーシングや美意識を説明しているところだそうで、技術面以外のところにも開発の苦労が見えました。


今回初めて参加しましたが、最新情報が見て聞けて役立つ情報も盛りだくさんで色々と吸収できてよかったです。
次回は2020年11月24日(火)に同じパシフィコ横浜での開催が予定されています。来年はどんな発表があるのかこれから楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?