わたしのことが好きな傘の話

雨が降ったら、どんな傘をさしますか？

お休みの雨の日は、家にこもって
温かい飲み物を飲んだり
お菓子を食べたり
ゲームをしたりする時間が好きです。

用事があって雨でも外に出ないといけない時は
傘をさして出かけます。

あなたは、どんな傘をさしますか？

わたしはここ数年、コンビニで買った傘をずっと使っています。
透明のビニール傘。
何がいいかというとまず、

手軽に買えること
透明だから、前方がしっかり見えること
あとは、壊れてもショックが小さいこと

それでわたしはいつもコンビニのビニール傘を選んでいます。

とはいえ、ビニール傘にお気に入りの気持ちはそんなにありません。
便利で使いやすいな〜くらい。一般の方々と同じ感覚。
それ以上でもそれ以下でもないです。

ただ、ハッとすることがありました。
ちょっとだけ前の話です。

職場の飲み会が終わり、さて帰るぞ、の時。

その日はあいにくの雨で、いつものビニール傘を持っていきました。
飲み屋の傘立てなんて、ご想像の通り。
煩雑で、自分の傘を見つけるのもひと苦労。

一通り探したけれど、見つかりません。
猫のマスキングテープを持ち手に貼っていたんだけどな。。
誰か間違って持っていってしまったようです。

ちょっと悲しい。

ビニール傘なんておんなじなんだから、似たようなの持っていけばいいじゃん
そう思う人もいるかもしれません。
でもやっぱり、ビニール傘とはいっても自分のものが無くなるというのは、悲しいという感情が生まれます。
わたしが自分のじゃないビニール傘を持ち帰ってしまったら。

わたしと同じく、本当の傘の持ち主にも
「ちょっと悲しい」の感情が伝播してしまう。

だから、この「ちょっと悲しい」の負の連鎖を止めるのはわたしだ！
ビニール傘がなくなって、ちょっと悲しい気持ちを補える、
何かいいことがありますように。

そう思った矢先

目の前を歩く中年のおじさんが手に持っていたもの

透明のビニール傘

猫のマスキングテープ

…！！！

完全にわたしのじゃん！
《おい！！（心の大叫び）》

普段はまあいいか、でスルーするわたしもその時はお酒が入っていたこともあって強気です。

「すみません、それわたしの傘です（真剣顔）」

一瞬中年のおじさんは、え？とごまかそうとしましたが
そんなものは今の強気なわたしに通用しません。

見事、ビニール傘の奪還を果たしました。




正直、どこでも買えるし
新しいわけでもないし
なんなら傘の処分って面倒だから無くしちゃった程度がラッキーくらいな話。

だけどやっぱり、見ず知らずの中年のおじさんがわたしの傘を手にしているのがその時は気に食わなくて。
ましてやごまかそうとするなんて。（ほんとに酔って気付いてないだけな気もするけど笑）
それとも傘が帰りたがってた？
わたしのことが好きな傘なのかもしれません。

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それから1ヶ月ほど経った頃。

雪が降っていたので、職場に奪還猫マスキングテープ傘を持っていきました。
仕事が終わり、帰ろう

傘立てを見ると

奪還猫マスキングテープ傘が…ない
周りには何も印のないビニール傘が数本

…どうやらまた旅に出てしまったようです。
今度は長旅でしょうか。
新しい持ち主のお家で、優雅な傘立てライフを送っているのでしょうか。

思いはいろいろ巡りますが、

君が誰かの役に立っているのなら

それでいいです