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父の夢

父は昔から料理が好きで、とくに定年後はほとんど父が三食作っていたそうだ。私がたまに帰省した折も、早起きの父が朝ごはんの準備をしてくれた。起きていくと元気に「おう!おはよう!」と笑った。 父は肺がんを患い、酸素チューブを付けたため晩年は料理ができなかった。 酸素は、よく燃えるのだ。だから火には近づけない。 がんが再発し、間質性肺炎を併発してから、父は一度も良くなる兆しを見せず、階段をどんどん下るように弱っていった。 できることが確実に減っていき、衰弱していくのを、一緒に

    • スタバと百人一首

      百人一首が隠れ特技である。 特技といっても、大会に出ていたとか「ちはやふる!」みたいな青春を送っていたわけではない。 ただ、なぜか実家を含めた親戚一同、正月に集まると必ず百人一首大会をするという家だった。小学校に入ったら大人と一緒に参加させられて、いつのまにか一番強くなっていた…という感じだ。 大人になって自分で購入するでもなく、でもなんとなく時折頭に浮かぶ歌たち。 札の紫の縁取りや絵札の蝉丸なんかのことを考えたり… むらさめの、すみのゑの、ふくからに…と句を思いだ

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    • お料理
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    • あとで読む
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    • 第一第二鰓弓症候群の娘のこと
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