「ちはやふる」の(全力の)すすめ
・きっかけ
最近辛いことがいくつか続いていたので、「もう生きていなくてもいいんじゃないか」と思っていたのですが、「ちはやふるの世界~末次由紀原画展~」に行って「やっぱりもうちょっと生きてみよう」と思いました。
本当に素敵な原画展でした。どうもありがとうございました。特にネームノートとメッセージコーナーは涙なしには観られず(私が撮った写真が下手すぎて載せられるものが全然無い)。
写真撮影はOKでしたのでこうして載せていますが、だめだったらすぐに削除します。
そしてこの記事を書いている間にまたひとつ、素晴らしい取り組みがスタートしています。
それもあって、今私はこの記事を読んでいる誰かに「ちはやふる」をおすすめしようと思って書いています。私も何かしたい。何かができるはずだ。
うまくいくかどうか非常に心配ですが、大好きな作品のためにも頑張りたい。私にできることのひとつになることを願って。
(注)毎日書き足していった結果、初めて1万字を超えてしまいました。最後まで読むと長いので
あなたがこの記事を読んでいる途中で「興味が出てきたぞ」「読みたくなってきたぞ・観たくなってきたぞ」と思われたら、そのタイミングでこの記事を閉じて書店に向かうか、あるいはアニメを見てください(両方でもいいと思う!)!
そしてどっぷりと「ちはやふる」を楽しんでほしい…!
もちろんこの記事を書いている私としては、記事も最後まで読んでくれたらとても嬉しいけれど(一生懸命書いたから)、私の目的はあくまで「ちはやふるを(全力で)すすめること」ですので、あなたが「ちはやふる」を手に取ってくれたらミッション・コンプリート。この記事の役目は終わりなのです。
時間がある、体力がある、読んでいて楽しい、などの状態にある方に限り(こう書くと寂しいけれど)、もし宜しければ最後までお付き合い下さい…!
*
・(とても長い)はじめに
みなさんは「ちはやふる」が好きですか?
私は大好きです。愛しています。原作漫画は最新刊まで持っていますし、TVアニメのディスクも持っています(見事に統一感のない揃え方だけど…)。
原作は完結まで揃えるでしょうし、3期のディスクもおそらく手に入れずにはいられないでしょう。そしてまた続編を待つことになります。今度は何年待てばいいのかわからないけれど…。
実写映画化もされていますが(広瀬すずさんが主演でとても話題になりました)、こちらについては私はとりあえず原作とTVアニメシリーズが完結してから観ようと思っているので未見です。
ですので私がこれからおすすめしようとしているものは主に原作漫画「ちはやふる」やTVアニメ「ちはやふる」「ちはやふる2」「ちはやふる3」などについてです。
でもあなたが「映画から観たい」と思うのであれば、それで全然構わないと思います。それも「ちはやふる」なのですから(誰目線なんだ…)。
*
好きなキャラクターは誰?好きなシーンはどこ?
もしもそう聞かれたとしたら私はどう答えるだろう。
そう思ってその場面をイメージをしてみましたが、私は両腕を組んで「うーん」と唸ってしまうのではないでしょうか。目も閉じてしまうかもしれない。
そしてしばらくの沈黙のあと、「そういうことじゃないな」と言うと思います。
「ごめん、全部かもしれない」と続けるかもしれない。
面倒臭いですかね…すみません。
つまり、私は「ちはやふる」の世界観や、それに内包される登場人物の全てが好きなんです。そこで繰り広げられる魅力的な人たちが起こすドラマの全てが好きなんです。そして作品によって影響を受けるこの世界のことをも(ちょっとだけ)好きになったんです(今年の名人戦・クイーン戦観ました?私は観ました)。
もしもあなたが「ちはやふる」を知らない、あるいは「名前は知っているけど読んでもいないし観てもいない」という状態にあるとしたら。
そしてそんなあなたが奇跡的にこのタイトルを冠した記事を読んでくれているとしたら。
私はどうかあなたに「ちはやふる」を読んでほしいと思う。TVアニメも観てほしいと思う。私の今までの人生と、これからの人生を掛けるから(掛けられても、と思いますよね…でも私に掛けられるものはそれくらいしかない)。切実に、祈るような姿勢でそう願います。
だから精一杯で書く。私の力を総動員して書く。なぜなら私は「ちはやふる」にたくさんのものをもらったのだから。
どうかもっと多くの人に「ちはやふる」に触れてほしい。読んで、観て、何かを感じてほしい。そしてそれを大切にしてほしい。可能であれば、それを言葉にしてほしい。行動にしてほしい。きっとそれが、新しい何か素晴らしいことにつながるから。
ですので、この記事の中では可能な限りストーリーの内容には触れません。極力ネタバレなしです。極力。
なぜならこんなに素晴らしい作品の内容を又聞きのようにして知ってしまうのはもったいないと思うから。ぜひあなた自身の手で作品を開いてみてほしいと思います。
そしてこの世界を「ちはやふるがある世界」にしてくださった、末次由紀さんを始め、多くのスタッフの方々に、改めて感謝の気持ちを送りたいと思います。
本当にどうもありがとう。私は幸せです。
*
さて、今私は『「ちはやふる」を知らない人』に向けてこの文章を書いています。ものすごく緊張しています。実は何ヶ月も前から「ちはやふるを誰かに紹介したい」という思いは抱いていたのですが、
「私の言語能力でうまく作品の魅力が伝わるのかどうかわからない」
というどうしようもない不安や(一部は伝わるかもしれないけれど全部は無理)
「むしろ私なんかが『好き』だと言うことで、誰かに迷惑をかけるんじゃないか」
「この記事を読んで『読もうと思ってたけど、やっぱりやめた』という人がいたら最悪だ」
という思いもあって(考えすぎ?いやいや…)
実行に移すことができませんでした。
それというのも、私には過去に別のアニメ作品を友人におすすめしたときに断られてしまった経験があるから。どうしても観てほしいと思うあまり、方向性を間違えた熱弁をふるってしまい、彼から「そんなに好きなら、俺が観ておもしろくないと思ったらお前に申し訳ない。そう思うと観られない」と言われてしまったんです。
実は私にはけっこうそれが深い傷になって残っていて、それ以来どんなにおもしろいと思う作品に出会っても、絶対に自分からは紹介しないように気をつけてきました。
誰かに「最近のおすすめは?」と聞かれたときだけ、「あなたの感性に合うかはわからないけれど」と前置きした上で作品名だけ答えることに留める。それが小説であれアニメであれ何であれ。
「すごい作品だから私なんかが何もしなくてもちゃんと周知されるだろう」という思いもあります。
「差し出がましい気がする」という気持ちもある。
「ちはやふる」は既に大人気作品ですから今更感もありますし。
そして「もう二度と自分が心底好きなものを否定されて(あるいは拒絶されて)傷つきたくない」という思いも、きっとあるはずです。あるなぁ、やっぱり。
でも。
でも、ここはnote.com。クリエイターが集うプラットフォームです。何かを表現することや、何かを吸収することについてのアンテナが立っている人ばかりがひしめき合っています。ここで及び腰でいることにいったい何の意味がある?
自信と勇気と思いやりを持って、好きなものは好きだと、はっきりとした言葉にして伝えたい。
拒絶される恐怖に向かって、伝えられるはずだ、伝わるはずだとアクセルを踏み込んでみたい。
*
すすめるにあたって思うこと
アクセルを踏む前に、ということで考えてみたのですが(締まらないなぁ…)、私はたぶん「何かを紹介すること」自体があんまり得意ではないのかもしれません。客観性に欠けるというか、理路整然とした組み立てに難がるというか。感情の赴くままにしてしか話を展開できないというか。私はそういう欠陥を持っているわけです。
「どう感じるかは人それぞれだもんな」とも思いますし、だからこそ本なんかについても「おすすめ」だけしておいて内容に触れないようにしてきました。「絶対自分で読んだ方がおもしろいよね」と今でも思っています。
紹介可能なものとして、例外的なもので言えば山道具があります。しかしそれはつまるところ「道具であるから」可能なのだと思います。
例えば実際に使ってみたことで感じたメリット・デメリットなんかについては私でも書くことができます。「道具」なのですから「使ってみてどうだったか」といった具体的かつ主観的な基準があり、それに照らし合わせて書くことができます。
ex.アルコールストーブは軽量で燃焼音は静かだけど、私にとっては燃料のアルコールを注ぐ量の計算が面倒だ(でも好きだから使う)、というように。
ですが、小説や映画、漫画やアニメーション、音楽や絵画は違うと思います。
その作品を読む、観る、聴くといった行動を取る「メリット」って何ですか?
そんなことを気にして作品に触れて楽しいですか?
私はそうは思いません。楽しいから(嬉しいから、哀しいから、切ないから)読むだけです。観るだけです。聴くだけです。映画も漫画もみんなみんなそうです。もっと踏み込んだことを言えば多少損をすることになったってちっともかまわないとすら思っています。
山道具を紹介する切り口と同じようにはいかない。
では、どうすればいいか。
おもしろいよ、とだけ言えばいいのか。
これを観ていないなんて人生損してる!とおしつけていいのか。
今世紀最大の傑作だ!と強い言葉ばかりを並べればいいのか。
どれもしっくりこない。私が「ちはやふる」から感じたものとは違う気がする。このままでは伝えられない。
どうする。どうすればいい。
だから手に取ってくれそうな人に向けて
考えた末にたどり着いたところ。それは「まずは一度手に取ってくれそうな人に向けて書こう」ということ。そしてその中にいる、私よりも伝える力を持つ人が、きっともっとうまく作品の良さを発信してくれるはずだ、と。その一助にさえなれれば上出来だ、と。
私は動画も作れないし絵も描けません。私には言葉しかありません。その言葉だって力不足を感じてしまうことばかりです。でもとにかく伝えたいという思いはある。
だからまず、自分にできそうなところから始めようと思いました。
そのために私ができることその1。
せっかく「ちはやふる」に興味を持って手を伸ばしてくれた人が直前になって「やっぱりやめようかな」と手を離してしまうかもしれない不安要素を「大丈夫だよ!」と吹き飛ばしておくこと。
そうすることで、まずひとつの不安を拭いたいと思います。そこで手を離してしまうのは本当にもったいないと思うから。まずは読んでみないと、観てみないと何もわからないと思うんです。
まずはその手が離れてしまうのを、私が全力で繋ぎとめたいと思います。とにかく一度読んでみてほしい。観てみてほしい。
その2。
私が思う「こういう漫画が読みたいんだという人にはおすすめの漫画ですよ!」ということを書いて、ミスマッチを防ぐこと。
求めているものが全然違ったらどんなに素晴らしい作品であったとしても「素晴らしい」と感じないかもしれないですよね。響かないというか。
人それぞれのタイミングもあります。今心に響く作品って10年前に響いた作品と変わってたりはしませんか?あるいは作品は同じでも響くところが変わっていたりしませんか(響くところが増えていく一方という幸せな場合もある!)?
でもいつかは全ての人に…という気持ちも捨てられない。ですので、それは捨てずにおこうと思います。
そういうわけで、長くなりましたがそろそろ「ちはやふる」をすすめたいと思います。
まずは「ちはやふる」とは何か、そして次に「まずは吹き飛ばしておきたい不安要素」について、最後に「特に観てほしい、相性が良さそうだと思う人はどんな人?」という順番でお伝えしたいと思います。
*
「ちはやふる」って何?
—『ちはやふる』とは何か—
一言で言えば「『競技かるた』に全てを懸けた人々の物語です」ということになるかと思います。でもそれじゃあ説明になっていないし、言葉も足りていないですよね。
「ちはやふる」にはたくさんの要素が詰まっています。さらに言えば競技かるただけが全てじゃないところが「ちはやふる」の魅力なのですが、ストーリーの本筋の多くは競技かるたに結びついて展開されます。
ですので、作品に登場する多くの人々は競技かるたに何かしらの形で携わっていて、ストーリーもその多くが競技かるたのシーンとなって進んでいきます。
特に主人公である綾瀬千早という女の子は、あることがきっかけで競技かるたに出会うのですが、出会ってからというもの、生活のほとんどをかるたに注ぎ込んでいます。
ほとんど勉強はしないし、滅多に遊びにも行かないし、アルバイトもしません。かるたの練習をしているか、かるたの試合をしているか、かるたのことを考えているか、という生活です。
でもそんな毎日が眩しい。気持ちいいくらいに輝いています。
まずは吹き飛ばしておきたい不安要素
・「競技かるた」を知らないと面白くないの?
「かるたばっかりの漫画って…。私はかるた知らないんだけど(興味ないんだけど)」
わかります。つまらないんじゃないかと思いますよね。「競技かるたを知らないと面白くないんじゃないか」って。
いいえ、全くそんなことはありません。おもしろいですよ、とっても。
ただ「競技かるた」を知っている人、あるいは百人一首を覚えている人は「ああ、『むすめふさほせ』ね。知ってるよ」というように自分の知っているものが出てきてもっとおもしろいだろうなとは思います。
でもとりあえず知識はなくても大丈夫だと思います。野球がわからない人が「H2」を読んでもつまらないでしょうか?将棋を指せない人が3月のライオンを読んだらおかしいでしょうか?
そんなことはないはずです。
もちろんわかった方がおもしろいとは思います。でもそれは作品を読んで、知りたくなってから知っていけばいいのではないでしょうか。
大きな声では言えませんが、実は私も百首全部覚えていません…きっと須藤さんには虫だと思われているはず…。
・少女漫画でしょ?恋愛ばっかりだと嫌なんだけど…
恋愛はあります。たしかにあります。漫画作品に限らず恋愛要素が苦手な方がいらっしゃることもわかります(私もあまりにもドロドロしているもの、ご都合主義が過ぎると感じるものは苦手です)。
しかし、もどかしさや苦しさ、切なさ、あるいは喜びや慈しみは「ちはやふる」における大切な要素です。それもまた作品の彩りなのだと思います。
ですが、それよりもまずはかるたです。千早たちと一緒に熱くなりましょう。情熱がここにあります。
それに、「ちはやふる」にはかるたや恋愛だけでなく、本当にたくさんの要素が詰まっていて、そのどれもがとびきりの輝きを放っています。どれもがそれぞれに美しいんです。あなたがそのうちのどれに惹かれるかは、実際に読むあなた次第です。
大丈夫です。あなたを強く惹きつけるものがいくつもありますから。
・原作はもう43巻まで出てるんでしょ?今から追えないよ
そのお気持ちはよくわかります。ここで私の場合をお話ししますと、私はまずTVアニメシリーズで「ちはやふる」を知った人間です。
アニメの第1話の感動は今でも忘れられません(「情熱」という言葉を彼女の声で再生すると熱い涙が目尻に滲みます)。そしてアニメは1期、2期と続き、6年待って3期が始まりました。
…そうです。普段漫画を滅多に買わない私が原作漫画を買い集め始めたのはその6年の間のことです。先が気になって気になって待っていられなかった…。
私は生まれてからずっと裕福な生活を送っていないので漫画を新刊で買い続けるということ自体にそれなりの決心がいるのですが(だって何巻まで続くかわからないから)、「ちはやふる」は仕方ないんです。とんでもなくおもしろいから。後悔は少しもありません。むしろリアルタイムで読めて良かったとさえ思っています。
ですので、結論としては今からなら1巻から3巻のまとめ買いパックを買って読んでみるか
TVアニメの1話を観てみることをおすすめします。dアニメストアなら現在(2020.1.10)1期も2期も3期(放送中!)も観ることができます。
ぜひ読んでみてください。観てみてください。きっと止まらないから!
私があなたの近くに住んでいたら迷わず原作もディスクも貸しに行くのですが…!
*
特に観てほしい、相性が良さそうだと思う人はどんな人?
そうですよね。作品がどんなに素晴らしいものだったとしても、相性が良くなければうまくハマらないことってありますよね。「今じゃなかった」とか、タイミングもありますよね。わかります。
では、どういう人が観たら良さそうだと思うか。思いつく限り挙げていきます。まずは競技かるたに関連するところから。
・百人一首が好きな人
これはもう説明不要ですね。百人一首だけでなく、他の短歌について語られたりもします。古典が好きな人も楽しいのではないでしょうか。そういった意味では日本語の美しさに惹かれる人にもいいかもしれません。
・競技かるたをやっている、またはやっている人が近くにいる人
これも説明不要かと思います。選手の方がどんな感想を持っているのかについては、私も聞いてみたいと思います。
・着物などの和装が好きな人
作中で登場人物たちが袴を着用して試合に臨む機会があります。これも実はけっこう重要な要素かもしれない。
・勝負の決着がわかりやすい方が好きな人
競技かるたの技術は高めていけば素人目で見ても芸術と言えますが、勝敗については誰が見てもわかる形で着きます。複雑な採点のルールがあるわけではありません。
詳しくてわかりやすい説明は作中にあるのでぜひそちらで確認してもらいたいのですが、一言で言えば相手より早く札を取ればいいということだけです。
そのために大切とされる資質(一言で言えば才能)や、駆け引きなどの心理戦、暗記、鍛え上げた身体も重要ですが、それは競技かるたがわかってきて初めて楽しいことです。
でもどっちが勝ったのかは誰が見ても明白です。短距離走でいうところの「先にゴールした人が勝ち」くらいわかりやすいです(もっとも速すぎて「今のはどっちが取ったんだ?!」ということはしばしばある…)。
・知的なことに胸が高鳴る人
これも作中で詳しい説明がありますが、競技かるたは肉体だけでなく頭脳もフル回転して取り組む競技です。肉体も酷使しますが頭脳もまた酷使します。
まず百人一首の全てを暗記しなければいけない(!)のですが、決まり字の暗記(しかも試合が進むにつれて変化する…!)、送り札の選択、動かした札の覚え直し、定位置におけるセオリー、空札、お手つき、流れを読む経験など、必要とされる頭脳労働は大変過酷です。
身体だけでも、頭だけでもダメなんです。そうですよね、肉まん君…!
その知的な営みに胸が高鳴る人はきっとドキドキできると思います。
・男女平等に関心がある人
ひとつ前の項目で私は頭脳労働が過酷だと書きました。それはつまり背が高ければ勝てるとか痩せていないと勝てないとかそういう単純なことではないということです。
もちろん運動神経があれば武器になります。でもそれは武器のひとつにしかなりません。
言い換えれば、一般的に男性に比べて筋肉量が少ないとされる女性が活躍することだって十分できるのです。もしかしたら、競技かるたにおいて身体的な差はたぶんあまり関係ないのかもしれません。というか、他の要素との組み合わせでそれは長所にも短所にもなり得るのかもしれません。
高校2年生になって以降、男女両方と戦って負けたことがないという女性もニュースで取り上げられていましたね。楠木さん元気かな…。
*
…大丈夫ですか?疲れていませんか?疲れてきたら休んで下さいね。長いですよね、すみません。
さて、ここまでは「競技かるた」との相性についてお伝えしてきました。でも私は競技かるたの選手ではないので、今まで書いたことはあくまで「選手ではない人」が考えたことですので、あしからず。
次は主に物語について、まずは原作漫画をベースに書いていきます。ここからは私自身が感じたことを交えつつ書いていきたいと思います。
・かっこいい人が好きな人
「ちはやふる」の登場人物は、男性も女性も皆かっこいい人たちばかりです。外見がかっこいい人(作中でもイケメン、美人に分類されている人)もいますが、そうでない人もかっこいいんです。
はっきり言って老若男女問わず、全員がかっこいいんです。彼ら彼女らの真摯なところが、挫けても立ち上がるところが、ままならないことに一度は立ち止まったり、自分の弱さに負けて背を向けたり、それでも、それでも真正面から立ち向かうところが、本当にかっこいいんです。しかもかっこいいのは選手だけではないんです…!
・(その中でも特に)かっこいい大人が見たい人
主人公の千早を始め、作中に登場する選手の中にはたくさんの学生がいます。青春の全てを懸けてひたむきに努力を積み上げる彼女たちの姿は眩しく、とてもかっこいいです。でもかっこいいのは子どもたちだけではありません。大人がかっこいいんですよ、大人が!
彼女たちを教える指導者も、先輩も、運営のスタッフも、そして選手ではない大人たちも、みんなみんなかっこいい人たちばかりです。千早たちと同じくらい、もしかするとそれ以上にかっこいい、「私もこうありたい」と思える大人たちがたくさん登場します。
そしてさらに素晴らしいことは、彼らはただ理想像的にかっこいいのではなく、それぞれに弱さや欲を持っているところです。人間臭いんです。欠点も反省もあるんです。その上でかっこいいんです。原田先生…!猪熊さん…!深作先生…(挙げ始めるとキリがない…)!
・考え方はひとつじゃない、と思っている人
「ちはやふる」には本当にたくさんの、多種多様な(そして個性の強い)登場人物が生きています。
ですからそれこそ100人いれば100通りの考え方があるわけです。だから「あなたが共感する人」は「私が共感する人」とは違うかもしれません。でもそれでいいんです。
あなたの胸を打ち、熱い涙を流させる人間がいます。きっと何人も。
・何かを頑張っている、あるいは頑張ってみたいと思っている人
まさに情熱、ですよね。彼女たちの姿に励まされますし、憧れます。でも励まされて終わり、憧れて終わり、ではありません。
きっと実際に何かを頑張ってみたくなるはずです。私のように。
・何か辛いことを経験して、好きなことを嫌いになってしまいそうな人
好きで続けていることも、受け止め切れないくらい辛い経験をするとやめてしまいたくなりますよね。好きだったものを嫌いになってしまいそうになる。
夢だった仕事に就けなかった、なりたい自分になれなかった、とか。
今まさに諦めてしまいそうだ、とか。
そんなとき、きっと「ちはやふる」は「辛かったね」「わかるよ」とあなたの肩にそっと、そのあたたかい手を置いてくれます。そして「私が(僕が、俺が)頑張るところを見てて」「勝つから見てて」と言って前に立ってくれます。
腕を取って立ち上がらせてくれるのではなく、戦い、傷つき、それでもなお情熱を燃やして戦いに飛び込んでいく姿を見せてくれるんです。それがたとえどんなに強い相手であっても。どんなに遠い存在であっても。
ですから私はその姿を見るたびに奮い立ち、何度も自分で立ち上がることができました。
・名言・金言がよく響く人
「ちはやふる」には道に迷ったときや挫けそうなとき、もうだめだと思ったときに響く名言、人生のお手本にしたい金言がたくさん出てきます。
そして、私が特に素晴らしいと思うのが、その言葉を発する人物が「ストーリーの都合上、作者に言わされている」ようには見えないところです。
生きている彼ら彼女らが「自分の意思で言っている、あるいは思っている」んです。だから私は好きなんです、「ちはやふる」のことが。
突き詰めてしまうと、私にとっての「ちはやふるの魅力」は、末次さんが紡ぐ物語、そして末次さんの「言葉の選び方、魅せ方」なのかもしれません。素敵です。本当に。
*
次はアニメについてです。制作はマッドハウスさん、監督は浅香守生さん、シリーズ構成は柿原優子さんです。音響監督は三間雅文さん、音楽は山下康介さんです。
もうこの時点で「観ようかな」と思う方もいらっしゃいますよね。そのお気持ち、よくわかります。
・アニメは原作通りつくってある方が好きな人
「ちはやふる」のTVアニメシリーズは、おおよそ原作通りに進んでいます。漫画好きの方からすると気になるところですよね。もちろん原作とは違う展開やエンディングを迎えて面白い作品もあるので、「どちらがいい」ということではありませんが、TVアニメシリーズ「ちはやふる」は、原作と同じストーリーをアニメーションで観るタイプの作品、ということになるかと思います。今のところ。
・劇伴にこだわりがある人
劇伴、つまり劇中で流れる音楽がしっくりこないとうまく盛り上がりませんよね。その点については「ちはやふる」は大丈夫です。というか、めちゃくちゃいいです。
私は「何があってこんに美しい音楽を創ることができたのだろう」と夕焼けを眺めながら泣いたりしています。馬鹿みたいですか?信じられませんか?まぁまぁ、とにかく観てみてください。きっと信じてもらえると思います。
・99RadioServiceさんが好きな人
今のところ(つまり3期まで)全てのOPテーマを担当されています。私は全曲めちゃくちゃアニメに合っていると思っています。
1期の「YOUTHFUL」も2期の「STAR」も、そして3期の「COLORFUL」も、アニメ「ちはやふる」の世界を鮮やかに彩っています。
個人的には「COLORFUL」が現時点で1番好きです。熱くなります。
3期のEDテーマを担当されているバンドハラスメントさんについては、まだ3期も途中ですので熱を持って書くことができません。それに担当された1曲だけを取り上げて「バンドハラスメントさんのファンは観るべき!」とするのも詐欺みたいで失礼な気がします(1期と2期は瀬戸麻沙美さんが担当されています)。
・キャストの中に好きな人がいる人
当たり前ですよね。たくさんの大人気声優さんが出演されています。そしてこれも当たり前なのですが、皆さん素晴らしい演技をされていると思います。
ただ、私は演技については素人ですので、「何をもってして素晴らしい演技であるのか」を私が語ることについては何の説得力も無いのですが、それを承知で書かせていただきますと、キャストの皆さんが声を担当されているキャラクターの全てがまるで本当に生きているみたいなんです。
キャラクターがまるで生きているみたい。それは原作を読んでもそうなのですが、それが壊されていないんです。むしろ、より生き生きとしていると感じられるかもしれません。千早は漫画を読んでいるときでさえ瀬戸麻沙美さんの声で再生されますし、太一の声は宮野真守さんで、新の声は細谷佳正さんで聞こえてきます。そしてそれがとてもいいんです。
・瀬戸麻沙美さんが好きな人
特に、ということでこちら。私は瀬戸麻沙美さんの演技の中でも芯が強くて凛とした演技が大好きで、「瀬戸さんが担当した役の中で誰が1番好き?」と尋ねられた場合、ほとほと困って「TARI TARI」の宮本来夏役と「ガールズ&パンツァー」の西絹代役と「ちはやふる」綾瀬千早役の3択まで絞って、うんうん唸って、「千早」と告げて力尽きると思います。
・宮野真守さんが好きな人
失礼を承知で書きますが(ごめんなさい)、私は宮野真守さんの太一を知るまで、宮野真守さんという役者さんについては「トークが面白いお兄さん」という認識でした。
役者としての演技より、ラジオやイベント、アーティストとしての活動が華やかな人なんだと思っていたんですね。「声優もやる人」というか。其処此処で「あの声優は芸人だ」みたいなコメントもよく目にしていたので「そうなんだ」と思っていました。
それらももちろん素晴らしい活動だとは思います。それを求めている方がたくさんいらっしゃることも理解できます。ですが、残念ながらそれらは私の守備範囲外の活動だったので、宮野真守さんのことはよく知らなかったんです。
ですが、真島太一は宮野真守さんです。私はこの方以外の真島太一は考えられない。まさにベストキャスティングだと思いました。
※以下、少しネタバレします。少しも知りたくない人は薄目を開けて飛ばしてください。ごめんなさい。
太一という「なんでもうまくできて、スマートかつ紳士で、しかも(というか当然)女性からものすごくモテる」のに「辛い状況で歯を食いしばり、ひたむきに努力し、逃げずに正面から立ち向かっているのに、なかなか報われない」という、書いているだけで鼻の奥がツンとするキャラクターの演技を見てしまうと世界が変わりました。
以上、ネタバレ終わり…。内容に触れないで魅力を語るのは難しいな…。
宮野真守さんは深い力のある役者さんだと思います。私の認識が間違っていました。声の演技なのに声にならない思いが伝わってくるんですよ。信じられますか?
もっとも、今挙げたお二人を含め全ての方について語りたいくらいなんです。各キャラクターごとに項目を作って。特にこのシーン、このセリフのここが!と。でもそうすると絶対に大きなネタバレを避けることはできない…。
ああ語りたい。語りたい!!
*
さいごに
どうでしたか…?
「1回読んでみるか」「1話観てみるか」と思ってもらえたでしょうか。そうだといいのですが。
私が「ちはやふる」に出逢えたのは全くの偶然で、たまたまその平仮名5文字のタイトルを目にして、「どれどれ」と1話を観たことから全てが始まりました。しかもこれも大きな声で言えませんが、私は実際に観るまで「ちはやふる」がどういう意味の言葉なのかわからなくて、日常系アニメか何かのタイトルだと思ってましたしね…教養の無い私…。
うわぁ書いた書いた。ここまで読んでくださった方、本当にどうもありがとうございます。あなたが「読んでも時間の無駄だった」と思うことがなければ良いのですが。どうでしょう(不安は消えない)。
また別の記事でネタバレ全開の「ちはやふる」を書いてみようかなという気持ちもありますが、まだわかりません。絶対むちゃくちゃ長くなる上に自己満足以上のクオリティにできる自信がないので…。
だからまだわかりません。
ですので、とりあえず、今日はここまで。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう!
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