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JW666 欽迎して創建

【景行征西編】エピソード37 欽迎して創建


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦83年、皇紀こうき743年(景行天皇13)。

東北地方の蝦夷えみしと呼ばれる人々が、ヤマトに侵入。

これを撃退するため、五十瓊敷入彦いにしきいりひこ(以下、ニッシー)が派遣されることとなった。

地図(蝦夷)
系図(ニッシー)

ちなみに、副将は、陸奥守むつのかみ豊益とよます(以下、トヨマ)である。

そして、ここは、国中くんなか(今の奈良盆地)の纏向日代宮まきむくのひしろ・のみや

「ニッシー」は、きさき淳熨斗皇女ぬのし・のひめみこ(以下、ヌーノ)とわかれの言葉をわすのであった。 

地図(纏向日代宮)
系図(ヌーノ)

ニッシー「・・・というわけで、行かなきゃならない。」 

ヌーノ「そんな・・・あんまりです。初登場で、わかれの場面とは・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

ニッシー「もう! 泣いちゃダメだよ! つま門出かどでを祝ってよね。」 

ヌーノ「は・・・はい。武運ぶうん長久ちょうきゅういのっておりまする。」 

ニッシー「うん。頑張がんばるからね!」 

トヨマ「では『ニッシー』様。そろそろ出立しゅったついたしまするぞ。」 

ニッシー「わかってる。それじゃあ『ヌーノ』。しばらくの、おわかれだ。風邪かぜくなよ。」 

ヌーノ「は・・・はい。」 

こうして「ニッシー」は、東北地方へと旅立っていった。

そして、しばらくの時が流れ、同年7月1日のこと。

ここは、筑紫ちくし(今の九州)。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、高屋宮たかや・のみやに滞在していた。

二千年後の宮崎県宮崎市みやざきし西都市さいとしあたりである。 

地図(高屋宮)
筑紫行幸参加者名簿

シロ「今日は、さき大王おおきみ命日めいにちじゃ。」 

いっくん「言われてみたら、そうですねぇ。」 

シロ「そこで、さき大王おおきみ御魂みたままつりたいと思う。」 

タケ「それは、良き、お考えかと・・・。」 

シロ「では、早速、神事かむわざりおこなおうぞ。」 

えっさん「かしこまりました。」 

こうして、さき大王おおきみ、すなわち垂仁すいにん天皇てんのうまつられたのであったが・・・。 

シロ「良し! 父上だけでなく、ほか神々かみがみまつろうではないか!」 

ヤヌシ「大賛成なり!」 

続けて、他の神々もまつはじめた「シロ」。

それをながめる集団があった。

地元民である。 

地元民(い)「てげすごく神々こうごうしい神事かむわざっちゃが。」 

地元民(ろ)「まこち本当に! こんげな神事かむわざ、初めて見たじ。」 

地元民(は)「良し! 大王おおきみ欽迎きんぎょうし、この地を聖地せいちとして、あがたてまつろうではないか!」 

地元民(い)「ちょっとってくんないください! 欽迎きんぎょうって、どういう意味なんや?」 

おやた「尊敬そんけいし、したうことじゃ。」 

地元民(ろ)「こ・・・これは『おやた』様。解説、かたじけないっちゃ。」 

地元民(は)「聖地とするだけでなく、やしろも建てまするぞ。」 

小左おひだり「して、やしろは、なんという名にするのじゃ?」 

地元民(い)「生目いきめ神社じんじゃにするっちゃが!」 

生目神社(鳥居と拝殿)

百足ももたり「なるほどのう・・・。先代、垂仁すいにん天皇てんのういみなは、活目入彦いくめいりひこ・・・。そこからったであろう?」 

地元民(ろ)「さすがは、百足ももたり様やじ。その通りっちゃ。」 

モロキ「当然ながら、祭神さいじんは、先代ということじゃな?」 

地元民(は)「言わずもがな!」 

もち「そいでそれで、二千年後の地名で言うと、何処いずこ鎮座ちんざしちょるんや?」 

地元民(い)「宮崎県宮崎市みやざきし生目いきめやじ。」 

地図(生目神社)

シロ「父上もよろこんでおられるであろう。」 

地元民「お・・・大王おおきみ!?Σ(・□・;)」×多数 

たっちゃん「いましら、おどろぎじゃぞ((´∀`))」 

ナッカ「仕方しかたないっすよ。なんてったって、大王おおきみですから!」 

シロ「では、みなしゅう。これからも、父上をまつってくれ。」 

地元民「かしこ、かしこまりまして、かしこ!」×多数 

やぁちゃん「されど、神社の伝承では、7月1日としか、書かれておりませぬよ?」 

シロ「ん? どういうことじゃ?」 

影媛かげひめ「今年のこととは、書かれていないのです。」 

野見のみ「では、今年というのは?」 

カヤ「作者の陰謀と思われまする。」 

ハッカ「そんなことが出来できるのですか?」 

もち「この物語では、出来できてしまうんやじ。」 

シロ「作者の陰謀か・・・。されど、われが、7月1日を忘れたことなど、一度として無い。今年のことで良いのではないか?」 

舟木ふなきわれも、それで良いとぞんじまする。」 

夏花なつはな「伝承の改竄かいざん、ダメ、ゼッタイ!」 

こうして、とにもかくにも、神社が創建されたのであった。

つづく

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