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なぜ「Escape from Tarkov」はチートやラグをユーザー目線で改善できないのか

みなさんこんにちは。菊次郎です。

 「Escape from Tarkov」というハードコア対戦FPSの日本コミュニティで、開発・運営の対応にたいして一部炎上した件がありました。
 ゲーム会社の隅っこで働く私の視点で、今回の件を(あくまで予想ですが)少し解説したいと思います。

■開発・運営チームからのアナウンスの日本語訳

5.アジアのリージョンロックはかなり前に実装されましたが、チーターはVPNサービスを利用して異なるリージョンでプレイすることができます。我々はこのサービスの一部を禁止することを検討しています。それ以外にも、Ping制限を徐々に下げています。これは不正行為だけでなく、サーバーや他のプレイヤーの体験に悪影響を与えるためです。現在のPing制限は180ですが、今後は150~160にする予定です。(一部抜粋)

■コミュニティの反応(一部)

VPN(海外からゲーム接続してるが、日本からの接続のように偽装可能な技術)を禁止することで、アジア地域にチーターを封じ込め、アジア以外のユーザーを守っているようにも見えます。

一体なぜ開発・運営は僕たちユーザーの目線で改善することができないのでしょうか?これは事柄の複雑化がそう錯覚させていると考えて良いと思います。

■この件についての結論から

 チーターを特定リージョンに閉じ込める、ということは概ね間違いと思います。ですが、実はチーター排除にはとても重要なプロセスだということを、多くのユーザーが理解していないのも事実です。
 全体の割合で言えば、おそらく良くなってると考えるのが妥当そうです。
次になぜ妥当だと思うのか、話していきます。

■VPN禁止措置はチーター封じ込めの決定打ではない

 VPNへの対応は事実上関係ないかなと思います。

 まず、技術的にVPNの完全排除は出来ないので、開発チームでの対応は主要なVPNのアクセス元をブロックするような対応と考えられます。
つまり、VPNでのアクセスは現在でも可能であり、これだけでチーターが完全に封じ込められるということはありません。

■ping制限が実は本命

 VPN自体は素晴らしい技術です。高いセキュリティを維持しながら外部から特定のネットワークにアクセスできるからです。私もそうですが、在宅ワークをしている皆さんはお世話になっている技術かと思います。

 オンラインゲームにおいてのVPNは、不正行為に使われたり、対戦を行っているルームのpingを悪化させる原因になります。俗に言う「ラグい」という状態はpingが悪化すると発生します。これでは地獄のEFTです。
 そこでpingが悪いユーザーをルームに接続させないようにすることで、多くのプレイヤーをラグから守ると同時に、チーターも一般回線で接続しなくてはなりません。

 もちろんこれは完全な排除にはなりませんが、VPNを利用できる状況と比べ、チーターを遥かにBANし易くなります。

 実際にこの修正の後、開発・運営チームは多数のBANについて報告しています。

 わからないユーザーが悪い、もっと分かってよ、なんていうことは思いません。コミュニティと対話をして相互理解を深めるというのは、ゲーム運営における絶対条件というのが世界的な潮流です。

 でも、もっと僕たちユーザーも開発・運営チームについて知れれば、より楽しくEFTを遊んだり、コミュニティの醸成が図れるかもしれませんね。

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